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十四話 ……泣けてくるね。

 次に目が覚めた時は、12月12日の午後。

眠りについて十一時間以上の時間が経過していた。

相変わらずの漆黒の空間である。

脳内PCのカレンダーと時計機能だけが、時間を知る手段になっている。


 落ち着いた時間が戻ってきたので、考えをまとめることにしよう。

とにかく、このシャボン空間から脱出して元の場所に戻らなければならない。

ここがどこなのか、どうして自宅とその周辺もろともこんな闇の中にいるのか……。

皆目見当がつかない。


 実際問題、状況は詰んでいる。

およそ五か月で水・食料は底をつく。

太陽光が存在しないこんな環境下で、そもそも五ヶ月もの間、衛生環境を維持できるかも疑問だ。

病気になってしまうリスクも決して低くはない。


 最大の懸念事項は発光少女である。


 今回は運よく助かった。

だけど、発光少女は本当に消滅して死んでしまったのだろうか?

とてもそうは思えない。

発光少女は五日前、突然、中庭に現れた。

どこからこのシャボン空間に入り込んだというのだろうか?

最初からこの空間内にいて、何か出現条件を満たしたために現れたとみるべきだろう。

そして、消失条件(おそらく時間経過かエネルギーの消耗)を満たしたため、消えてしまった。

なら、再び出現条件を満たせば俺の前に現れる可能性は高い。


 次に発光少女が現れれば、間違いなく捕まってしまうだろうな。

時間の経過とともに、向こうも思考を巡らせて俺の退路を潰しにきたり、効率的に浮遊や壁抜けを使ったりしてきていた。


 三日も鬼ごっこを続ければもはや地の利もあるまい。

発光少女の再出現は俺の死亡確定トリガーの一つとなりそうだ。


 今すぐに思いつく、俺の置かれている絶望的状況を打開する選択肢は大きく三つだ。


一.ダメもとでシャボン空間の外側に脱出を試みる。


 ぶっちゃけ、シャボン空間の外側は、宇宙空間以上の真空空間ではないかと推測している。

外に出た瞬間、死が確定してしまう気がしてならない。

本気で外に出るなら宇宙服を自作するとか、車を宇宙船に改造するとか吹っ飛んだ発想が必要になるだろう。

出来るわけがない。


……ため息しか出ない。


二.救助が来ることに望みを託し、半年間、生き延びることに全力を尽くして足掻く。


 最も現実的な選択肢に見えなくもないが、最も絶望的である。

そもそもここが日本国内とはとても思えない。

太陽系外の外宇宙だと言われた方がまだ説得力がある。

宇宙空間に救助の手を差し伸べられるほど、人類の科学技術は発達していない。

魔物の襲来で滅亡秒読み段階の地球に、行方不明者一人のために、捜索を行えるような国はどこにもない。

 何より、半年間生存できるはずがない。

発光少女がいつ再出現するのかがわからないのだから……。


三.次に発光少女が出現したとき、コミュニケーションを試みて脱出方法を聞いてみる。


 ……いやいや、無理だろう。

なんか意味不明の奇声を発していたような感じだったし……。

そもそも、ネットで上がっていたゴースト系の魔物に特徴が酷似しすぎている。

普通に魔物であると判断せざるを得ない。

魔物が出現するようになって四年とちょっと経つが、世界中のどこにも魔物との意思疎通に成功した例は一つとしてない。


 どの選択肢も失敗は確実な死につながる。

しかも成功率はどれも殆どゼロだ。


……泣けてくるね。


 まぁ、もともと引きこもって過ごすはずの一足早い余生だったわけだし……。

無事に生還できたとしても、遅かれ早かれ滅亡しそうな世紀末の地球だ。

ここにいればこれ以上、親族や数少ない親しい友人との死別、人類の滅亡を目の当たりにしなくて済む。

今の状況の方が幸せなのかもしれないな。

やはりどう考えても詰んでいる。


 もうあきらめるか……。


 なるようにしかなりそうにないので、一旦、思考を放棄することにする。



 とりあえず食事をとって寝ることにした。


 現段階の選択肢としては……。


四.諦める。


 なるようにしかならないので状況に身を任せる。

逆にすっきりした。


 地球では、急に家ごと消えてしまったはずなので、妹やその家族、友人たちはどう思っているのだろうか?


 こんな情勢だ。

一介のヒキニートの消滅なんて気にしていられないだろうな。

それでも、俺の人生において良くしてくれた数少ない知己には

『俺はもう駄目だ。俺の事は気にせず、自分たちの生活を最優先してくれ。こんな俺に良くしてくれてありがとう』

……くらいは伝えておきたかったが、どうしようもないな。

 

 仕方がない。


 最期の時が来るまで当初の予定通りオタクライフを満喫するか。

脳内PCのおかげで引きこもりオタクライフを送ること自体には支障は無さそうだ。

シャボン空間での新たなるオタクライフが始まる。

食料の備蓄的に最大五ヶ月の時間制限付きだが……。

 十五話の投下は1時間後、4月5日の23:30ぐらい見込みです。

どうか私に折れずに投稿し続けるモチベーションを下さい!

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