薬草採取inダンジョン
皆様ごきげんよう、晴れて一般ピーポーになったサヤですよ。
『一般ピーポーとやらはダンジョンには潜らんと思うが』
「細かいことは気にしな~い♪ハゲるよ」
『精霊はハゲたりせんわ!』
只今シーフゥとフリードルフ最西端にあるダンジョン『アータダ』に来ているよ。今は無きオーウェル家があったイーエステル側とは真逆の国境近くにあるんだけど、ここでしか採れない薬草が欲しいのよね。
『普通の錬金術師は魔獣討伐まではせんのでは?』
「いいじゃな~い♪家買ったからお金ほとんど無くなったし。薬草も直接仕入れた方が利益率アップするでしょ。序でに素材と魔石も獲れて一石二鳥♪」
『だからと言って中級魔法をポンポンぶっ放つのはどうかと思うぞ』
「そう言うシーフゥだってノリノリだったじゃない」
今居る所は9階層なんだけど、C~Eランク向けのダンジョンだから風の上位精霊であるシーフゥには物足りないんじゃないかな。さっきもゴブリンの集団を『風刃』で瞬殺してたし。
『……気のせいか、さっきから我を弾避けにしとらんか?』
「…………」
『目 を そ ら す な』
「あ……あ~!あとは12階層のサルガッ草も採っておかないと」
『話もそらすでないわ!まったく……』
いくら『気配遮断』していても鼻の利く魔獣は居るからね。魔法で撃退するのも疲れてきたわ。反対に本来の白虎の姿で魔獣を屠っていくシーフゥは全く疲れを見せない。
流石は上位精霊シーフゥ様々だねーお蔭で薬草採取が捗るよー(棒)
ジト目でこちらを見るシーフゥを躱して10階層へ向かう。
ここにはダンジョンでしか採れない薬草が多く、サルガッ草もその1つ。濃い青緑色をした三角形の葉が特徴のダンジョン草で、アンデッド系の魔獣避けのお香に必要なんだよね。フリードルフでは此処でしか手に入らない。
階段を降りて行くと、先程までは森林バージョンだったが10階層は岩がゴロゴロした洞窟バージョンのようだ。
この世界のダンジョンは10階層毎に強い魔獣が現れる。所謂中ボス戦というヤツだ。
出来れば中ボスとはエンカウントしたくないので『索敵』で調べてみる。
「え……っ!?」
『どうした?』
「なんか割りと直ぐ側の所に集まりだしてる……?角熊って群れないはずよね?」
大きな鋭い4本の角を持ち3mを優に越す角熊はCランクの魔獣で縄張り意識が強く、群れるなんてあり得ない。
『!この匂いは……魔獣寄せの香!?』
「避けじゃなくて?!どんだけ自信家なのよ!?それとも自殺志願者!?」
魔獣寄せの香を焚いているであろう冒険者がいる所をそっと伺うと1人の少女が足から血を流して倒れている。
「……う……あ……助…け………て……」
「!!」
――気付くと駆け寄っていた。
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