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強盗なう。  作者: 凪子
9/30

09

赤くれた額に鬱血うっけつした頬の鴇宮は、よろよろと顔を上げた。


「ひどいなあ。痛いじゃないですか」


笑う唇の端が切れて、血が流れている。


包丁男は彼女をパンコーナーに引っ張っていくと、


「食わせろ」


「はい?」


「いいから食わせろって言ってんだよ!」


鴇宮はにこっと笑うと、


「えーっと、どうします?何パンがいいですか?」


「カツサンド」


「クリームパンですね、分かりました」


「カツサンドっつってんだろ!死にてえのか糞アマ!」


やりとりをうつ伏せになりながら聞いていた女の子が、


「ねえ、なんかやばくない?」


棚と床のわずかな隙間から覗きこんできて目が合った。


「あのお姉ちゃん死にたいの?」


「やー、あいつは元からああだから。残念な女子なんだ」


と俺は言いつつ、目まぐるしく頭を回転させていた。


籠城ろうじょうされた場合、警察が突入してくるまでには時間がかかる。


鴇宮が素直に従ってくれればいいのだが、あいにくそんな希望は最初から捨てたほうが身のためだろう。


「なんでだよお。そんな、俺、こんなつもりじゃ。スーさん、逃げようよ」


情けない声で銃男が言った。


「ほらね。あいつに人殺すなんて無理無理。だって威嚇射撃の一発もしてないしさ」


うろたえる銃男を見つめて航平が言う。


「んだよてめえ、裏切る気か!?」


鴇宮の手からカツサンドを食べさせてもらいながら、物すごい眼光で包丁男は銃男を睨みつける。


ひいっと銃男がすくみあがった。


「だって普通にやばいよ。依頼とかさあ、何かやばいと思ってたんだよ。俺たち、はめられたのかも」


「うっせえうっせえうっせえ!」


と包丁男はわめき散らした。

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