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凍りついたような視線が俺に注がれる。
「榎本君?」
鴇宮と航平は怪訝な顔でこちらを見つめている。
俺は低い声で呟いた。
「逮捕されるのはあのチビとデブだけじゃない、あんたもだろ。強盗教唆、立派な犯罪だぜ」
俺は指をデコピンの形にし、笹沢の額に近づけた。
「つまりさ、あんた最初っからこの店と店長が気に食わなかったんだろ。退屈な日常に、ちょっとした刺激を添えるつもりだったんだよな?だからネットであの包丁男を煽って、強盗させたわけだ」
「いきなり、何を」
笹沢の視線が泳ぐ。きょろきょろと落ちつかなげに警察官たちの姿を見回している。
俺は無慈悲にデコピンを食らわせた。「ぎゃっ」と声が上がる。
「まあ別に俺は?ただの高校生だし?こんな死人も出てないチンケな事件、警察もいちいち丁寧に調べないだろうし?このまま放っときゃ、あんたはおめおめと逃げおおせることができるんだろうけどさ。それじゃあ俺の気がすまねえんだよ。お前の気まぐれのせいで、こっちがどんだけ迷惑したと思ってんだよ」
「いっいい加減にしろよ。これ以上言いがかりをつけるっていうんなら」
「言いがかりじゃねえよ。ちょっと調べればすぐに分かることだ。あんたがネットであの包丁男を唆したんだってことはな」
俺はドスの効いた声で言い、笹沢を睨みつけた。
「どうして分かるんです?」
いつの間にか隣にしゃがみこんでいた鴇宮が、至近距離で尋ねてきた。
うわ。こいつ睫毛長げー。やっぱ顔整ってんなー。
ちょっと頬っぺた腫れちゃってるけど。早く冷やしたほうがいいな。
とか何とか思っていた俺は、反応が遅れた。
「つまりだねえ、鴇宮君。名探偵ルカ君は強盗に襲われたときの店員の反応に不審なものを感じていたんだよ」
横からじいさんっぽい声が聞こえてきた。航平だった。何のモノマネですか?
「不審なもの?」
「な、そうだろ。ルカ」
俺は二人に頷いた。




