26/30
26
「これにて一件落着ってやつだね」
航平は組んだ両手を頭の後ろに回し、悠々(ゆうゆう)としている。
俺はその横をすり抜け、店長と店員の元へ向かった。
「ルカ?」
後ろから航平と鴇宮が追いかけてくる。
店長は腕の傷もろもろを手当てするため、救急車に搬送されるところだった。
「これに懲りて、もう万引きとか捕まえんのやめよう、とか思ったりします?」
担架に乗せられ運ばれる店長を見下ろし俺は言う。
店長はぐいと口の端を歪めた。笑っているつもりらしい。
「思わないね。社会のルールを守れない奴はクズだ」
これだけの満身創痍で言えるのだから大したものだ。
ある意味、あんたのせいで事態は余計ややこしくなったんだけどな。
愚痴めいた言葉は胸の奥にしまっておくとして、
「大丈夫ですか?」
床の上にへたりこんでいる店員に近づき、俺はしゃがみ込んだ。
「ほ、ほっとしたら、こ、腰が抜けちゃって……」
店員は気弱そうな笑みを口の端にこびりつかせている。
俺は目を細めた。
「警察行く前に、聞いておこうと思うんですよ。笹沢さん」
店員の視線が俺の顔と自分の名札の間を交錯した。
「ななな、何を?」
「またまたあ。分かってるくせに」
俺は笑って笹沢の耳元に口を寄せ、
「あんたが首謀者なんだろ?」
笹沢の笑みが強張った。




