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「ぐっ」
航平が撃ったBB弾は、見事に眉間に命中した。ぐらりと包丁男がよろめく。
よくもまあ、俺や鴇宮に当らず犯人を狙えたものだ。
感心しつつも俺は雑誌ごと包丁男から包丁を奪い、馬乗りになって押さえつけた。
蹴りが二、三発入るが、ひるまない。
航平が走り寄ってきて、銃口を目に突きつけた。
「動くと撃っちゃうぞ。痛いよー。失明しちゃうよ」
包丁男は「くっ」とうめき声を洩らす。
鴇宮は肩で息を切らしたまま、入口に向かう。航平がドアのガラスを蹴り破った。
「警察さーん。犯人、確保しちゃってください」
同時に、警察官が圧倒的な勢いでなだれ込んでくる。
「確保ー!!」
叫び声が上がって、肉まんと包丁男に手錠がかけられた。
「離せ!離せよおっ!!!!うわあああああああああ!!!!」
包丁男は叫び暴れまくっている。肉まんはしくしく肩を震わせていた。いい大人が情けねえ。
「逮捕。午後八時四十一分」
と警官が言うのが聞こえた。
何が市民を守る警察だよ。あんたら全部終わってから手柄だけ奪えばいいんだから楽なもんだよな。
ほっとすると同時に力が抜けて、俺はずるずると床へ崩れ落ちた。
「榎本君、血が」
駆け寄ってきた鴇宮が、ポケットからハンカチを出して腕を縛る。
「大丈夫だよ。それより鴇宮こそ顔、痛いだろ」
鴇宮は首を振った。
「全然平気です」
「お疲れー」
と、能天気な声がする。
航平がにやりと笑ってしゃがみこみ、手の中の銃を物珍しげにもてあそんでいた。




