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「分かりました!では、わたくし鴇宮朱鞠、先陣を切って脱がせていただきます!」
鴇宮は手を真っすぐ上げ、いそいそと靴下を脱ぎだした。
おいおいおいおい。ちょっと待て。本気で脱ぐつもりか?
店長と店員がぽかんと口をあけて見つめている。
「ま、待ってください。いくらなんでも女の子にそれはひどいんじゃないですか」
と、口をはさんだ勇者は店員だ。
「そうだ。それにこの子は関係ない。辱めを受けるのは俺一人で十分だろう」
店長は険しい顔で言った。
いや、おっさんの裸なんかもっと見たかねえよ。手錠で両手を拘束されていて本当に良かったです!
鴇宮は自分の部屋にいるかのように無造作に赤いスカーフをほどき、スカートのホックに手をかけた。
やれやれ。しょうがねえな。こうなったら一か八かだ。
「犯人さん」
俺は立ち上がった。
鴇宮は動きを止めて、こちらをじっと見つめる。
「何で殺したんですか?」
「あん?」
包丁男が俺をぎろりと睨む。
俺は慎重に一歩ずつ間合いを詰めた。
「いや、さっき言ってたじゃないですか。一人殺すも二人殺すも一緒だって。ババアって人を殺したんでしょう?」
包丁男の眼球の動きを俺はつぶさに観察する。
右斜め下に黒目が動き、それから慌ただしく左右に揺れて、再び正面に戻ってくる様子を。
「勝手に口開くなっつったろ。死ねボケが」
ふらふら歩きながら包丁を向けてくる。
俺はごくりと唾を飲んだ。
さあ、勝負どころだ。




