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強盗なう。  作者: 凪子
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「殺すぞデブが。てめえはさっさとポリ公に電話しやがれ!」


「さっきから殺す殺すて、ボキャブラリー貧困やなあ。どうせそんなんできへんやろ。あいつら中途半端やねん」


と主婦が抑えた声でディスった。


包丁男は店内の食物を食いあさっている。


なるほど、コンビニは籠城にはうってつけの場所らしい。


「でもさあ、何かおかしくね?何で肉まんさんは包丁さんの言いなりなわけ?共犯っつうか、手下っぽいよね」と航平。


「それより、何とかしてこの状況を打開しないと、鴇宮が殺される」


青紫色に鬱血している鴇宮の目元を見つめて、俺は真剣に言った。


「ある意味、自業自得じごうじとくって感じはするけどねえ。鴇宮っていつもあんなんじゃん?」


「そうだとしても、目の前でクラスメイト殺されたら寝ざめが悪い」


「ルカ君、かっこいー」


ひゅーひゅーと棒読みで航平が言う。


「えみかね、依頼ってゆうのが気になるの。あいつら、たまたまここを狙ったんじゃなくて、誰かにここを強盗するよう指示されたんじゃないかなあ。でもその前に、包丁の奴が人殺してて、デブはそれを知らなかった、みたいな?」


女の子が淡々と言った。


「事情はどうでもいい。まず肉まんをどうにかしないと。包丁男一人なら、取り押さえるのはそんなに難しくないはずだ。俺ら全員で飛びかかって押さえつければ」


「あかん、あかん。えみかにそんなことさせられへん」と主婦。


「てゆーか、肉まんはほっといていいんじゃね?あいつ完全にびびってるし、俺らが反撃したところで何もできないと思うよ」


「思うよ、じゃ駄目なんだよ。不確定要素がでかすぎる。万一後ろから撃たれでもしたら死ぬだろ。とっくみ合いの最中に加勢かせいされたら面倒だ」


「つまり包丁さんをやるまえに、肉まんを完全に無力化しておきたいってわけだ」


「普通なら下手に行動を起こさない方が安全なんだろうが、鴇宮は生きた爆弾みたいな奴だからな。事がややこしくなる前に俺たちで何とかするしかねえだろ」


我ながら苦々しい顔つきで俺は言った。


「店長さん怪我大丈夫かな。店員もびびってるから使えねえし。実質俺とルカしか戦力なくね?」


「うちもやるで。主婦の底力なめたらあかん」


と力強い声が言った。


ひそかに腕まくりしている。

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