表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
強盗なう。  作者: 凪子
1/30

01

「肉まん食いたいなんて言い出したお前が悪いんだよ」


「肉まんじゃないよ、ピザまんだよ。てかあっちの人、体型肉まんぽくね?絶対小学校の頃とかあだ名肉まん星人だったよ」


「分かったからお前は肉まん星へ帰れ。二度と戻ってこなくていいから」


俺の名前は榎本ルカ(えのもとるか)、高校一年生。


寒風吹きすさぶ十二月のある日、同級生の花房航平はなぶさこうへいとテスト勉強帰りにコンビニに立ち寄ったことから、何の変哲もない日常は、オセロの盤面が白から黒へ埋め尽くされるような鮮やかさで変転へんてんした。


「動くな!!」


心地よい温かさの店内に、凍てつく風とともに侵入してきた叫び声。


ピンポーン、と間の抜けたベルの音が、遅ればせながら来客を知らせた。


漫画雑誌をめくっていた俺は手を止めてそちらを見た。


目と鼻の先に、黒いジャージの上下にマスクをし、サングラスをかけた男が二人立っていた。


一人はデブで、一人はチビ。


ひっ、と息を呑んだ店員が両手を上げる。


客たちの視線が示し合わせたように注がれた。


真冬にサングラス。一体どういう趣味をしているのだろう。芸能人気取りか?


なんてのん気なことを考えていられたのは、男のうちの一人が包丁を、もう一人が黒光りする銃器を周囲に向けて店内を制圧する一瞬の間だった。


「全員手を上げろ。……上げろ!」


デブの方が銃を振り回しつつ、興奮に上ずった声で恫喝どうかつした。


おいおい。そんなに乱暴に扱って、暴発でもしたらどうするんだよ。


「やべー、何これ。超展開なんですけど」


航平は、金髪にピアスというチャラい見かけどおりの軽薄けいはくな反応を示した。


スマホを取り出して何やら打ち込もうとしている。


通報するのかと思いきや、画面はツイッターだった。


『強盗なう。』


いや、それどころじゃねーだろ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ