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ラズライト 短編集

こころ、こころを探しています

作者: ラズライト

「こころ、こころを(さが)しています」


かじかむ手を、こすってあたためながら、ひっしになってみちゆく人に(こえ)をかけます。


でも、こころがつめたい手を(だれ)かにむけてのばしても、みちゆく人は誰一人(だれひとり)、ふりむいてくれません。


ちっちゃい手、かわいい手、クリスマスの(よる)には、みんな(だれ)かと手をつないで、たのしそうに笑っています。


だけど、こころの手は、(だれ)にもとってもらえません。


そっと手をのばしても、あたたかい(いえ)にかえる人は(だれ)も、手をとってくれません。


「こころ、こころを(さが)しています」


(つめ)たくなっていくこころのなかの、小さな小さなしんぞうが、こおりついて、つめたくなって、じめんにながれていくみたいに、こころのおめめから、ぽつりぽつりとなみだがあふれてきます。


一人(ひとり)ぼっちのこころは、ばっと(だれ)かのむねにとびこもうと、みちゆく人にとびかかりました。


でも、こころの(からだ)は、スーッとかれらの(からだ)をすりぬけて、(だれ)にもさわれず道のむこうまではしって、いってしまいます。


なんどもなんどもためしても、こころは(だれ)にもさわれません。


かなしくなったこころは、一人(ひとり)ぼっちで、すわりこんで、しくしくとなきはじめました。


えーん、えーんとないていると、お(かあ)さんがこころを見つけて、ぎゅっとだきしめてくれました。


「こころ、こころを見つけましたよ」


やさしくお(かあ)さんがこころをだききしめてくれました。


さみしくて、ないていたら、お(かあ)さんがぎゅっとだきしめてくれました。


ゆらりゆらりと(からだ)がゆれて、こころはどんどん、ねむたくなってしまいました。


「おやすみなさい」


こころのたいせつなお(かあ)さんの(こえ)がきこえてきます。


こころ、やさしいお(かあ)さんでよかったね。おやすみなさい

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[一言] こころを包んで温めてくれるのは、自分のことを「本当に」大切に思ってくれているごく少数だけなのかもしれませんね。 こころちゃんの感じた温かさ、いつかはお母さんにも返してあげられたらいいですね。…
[一言] 「こころ」の声が聞こえないのは、道行くひとびとに「心」が宿っていないからなのでしょうか。「こころ」のお母さんは、「心」を持つ唯一のひとだったのかしら。 思いやりや優しさを持たない人間には、…
[一言] 優しいお話ですね。 こころちゃんは人とは違う存在なのでしょうか。 柔らかな余韻を残して終わるところが好きです。
2020/12/28 11:56 退会済み
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