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銀の鍵  作者: みすみいく
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境界

 様々な思いが交錯していて、ままならないことが過ぎ去っていく。思うことを信じて貫くより他に方法は無いのだった。

 「銀の鍵」の終わりなのですが、1つの話として終わると同時に、次の話の下敷きになっていて、対になります。

 まだ熱い吐息を零しながら、薄く汗を纏った胸が合わせた肌を伝って速いままの鼓動を伝えている。


 甘いデザートキスを繰り返した唇が聞く。


 「…どう?!俺、良くなった?!」

 「かいが有ったようだ。リェージェはどうだった?!良かったか?!」

 「…凄かった」


 まだ俺を入れたまま、無心にキスを繰り返していた。ふと、思い出したように笑う。


 「なんだ?!」

 「俺が、店で勤まるってさ」


 艶やかな白い肌の下で、薄く層を成し始めた筋肉が、雄に成り切る前、少年からの移行期に入ったばかりの躰を構成していて、得も言われぬ儚さを醸し出している。


 綺麗で素直なブロンドがさらさらと動く度に零れ、深い海の瞳と、まだあどけなさを残す輪郭と、紅く熟れた唇とが混在している。


 知り初めた雄としての情欲と、守り育まれる子供と。抱かれる喜びを知った女とも。


 初めての客となった経緯からリエージェにこいつを預けた。飼い殺しにするつもりなど毛頭無いから、雄としての成長を促してやる。


 聞こえは良いが、どれも俺の真意とは違う。

 俺はこいつを通して納得できる答えを模索しているに過ぎないのだ。


 「今のお前になら国1つくらい訳は無い。」

 「俺に、国1つ?!」

 「ああ。くれてやる。」

 「シェリンデから手を引くって?!」

 「黙殺してやる。見ていて遣るから取りに来い」


 言うと、自分で切り出したくせに、少しムッとした顔で言う。


 「取り引きの積もりで、あんたに抱かれたんじゃ無いもの」

 「…ったく」


 まだ精神の方は雄になりきれない…のか…


 「何だよ?!」

 「…それ程…彼奴が好きか?!」

 「…アウルの事?!」

 「他に誰が居る?!」

 「…アウルは、そんなんじゃ無いよ。彼の隣に立ちたいだけだ」


 呆然とした。


 触れて、目覚めさせ、追って来る眼差しを知りながら、切って捨てたなら、こう言うもの言いに成るのだろうか?!


 まるで恋した心を不当なもののように。

 切り捨てるも敵わず、離れる事も敵わぬように。

 お読み頂き有難うございました。

これまで書かせて頂いた話は、この部分が書けるか書けないかが1番の問題だと思っていました。

 「秘められた紫」は、漫画でコマ割りまで総て描いた原稿も存在します。彼等の特別な関係を書かずに書いたものも…


 四苦八苦した結果。

 まさに清水の舞台から飛び降りる、積もりで始めたことです。


 今暫くお付き合い下さいませ。

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