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死後から始まる無双奇譚  作者: ヨベ キラセス
2/3

襲来の兆し 1

「起きなさい!」

 そんな声に俺はベッドから転げ落ちた。いや、布団を引っ剥がされて反動で落ちた。

「いってーな!もっと優しくできないのか!!」

「あんたが悪いのよ! もー、早くしないと遅刻しちゃうじゃない!」

 やたら「!」が多い赤髪ポニテの少女は、幼なじみの『如月キサラギ 未斗ミト』が仁王立ちで「ふん!」とそっぽ向く、お決まりの「ツンデレ」少女だ。

「ほら、早くごはんよ! 早く降りなさい!!」

 そう言ってプンプンしながら部屋を出た少女の背を見送り、俺はあぐらをかき腕を組む。

 いろいろ言いたいことはある。まず「!」がしつこいこと、「ツンデレ」の「デレ」が見れなかったこと、時計の針が『7:54』だったこと……。だが、そんなことは置いといていい。

 なぜなら、その中から選りすぐったこの「決意」が全部解決してくれるから。


「……さて、起きるか」




 というわけで目を覚ます。ベタベタな《ツンデレ幼馴染もののギャルゲー》を昨日帰ってから夕飯前までやっていたためか、変な夢を見てしまった。

 時計の針は『4:56』と表示されている。ああ、本来は夢と現実が逆なんだよなー、と悲観しながら、ベッドの温もりをなんとか退けて一階キッチンへと足を進めた。



『6:54』


 二時間たった今、二階のドアの前にいる。もちろん自室じゃない。

 二回ノックし、聞き耳を立てる。しかしなんの反応もない。

 三回ノックする。物を投げつける音が、しない。

「起きろ」と言う。「………じゃあ起こして」と返ってきてため息をつく。

「わかった、じゃあ入っていいのか?」と聞く。「………ばっちこい」と返ってきたからドアを開けた。


「……はぁ…」

「ため息、しつれい」

 彼女は座り込んでいた、少しはだけたパジャマで。


 彼女こそが正真正銘『如月 未斗』本人だ。同い年で、全く表情が変わらず、しかし内面は感情豊かで、家事と早寝早起きが苦手で、抜けている点が多くて、しかし学園一の秀才で、生徒会の書記にして次期会長候補で……

「いいからはやく支度しろ。飯はいつものだからな」

 といい早々に出ようとしたが、いつのまにか立っていたミトは、ふり返った俺の背中の服の部分を掴んでいた。

「……いやだ」

直感が警報を発した。

「まだ何も言ってない」

「いーやーだー!」

「まだ何も言ってない」

「いーーやーーーだーーーーー!!」

「まだ何も言ってない」

「NPCかお前は!?」

 俺は頭をかく。ああ、最近よくかくからハゲないか心配だ。

「ハゲても一緒にいるよ?」

「心を読むな!!」

 ……俺は深く、ふかーーーくため息をつき、問う。

「……………で、なんだ?」

「着替えさせて」


 ………俺はさらに倍、深くため息をついた。一応言おう。こいつは同い年の高校一年生、胸も一般くらい発育がよく、生徒会長に押されるほどの頭と容姿を持つ奴だ。そして––––『準・生活破綻者』だ。

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