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冒険者は国境付近へ行く

お久しぶりです。

長らく温めておりましたが、ようやくかけましたので投稿します。

よろしくお願いします。


これよりも前の話についてもほんの少し修正しているところがあります。

流れとしてはまったく変わっておりません。

 御者台に座りながら、代わり映えのしない田園風景を見るでもなく眺めていると、ゴトン、と大きな音を立てて馬車が跳ねた。

 どうやらくぼみに車輪が落ちたようだ。


「いったぁ…。」


 座席に強かに打ち付けられ、思わずお尻をさする。

 本当に今回はついていない。


「はぁ…」


 思わずため息が出た。

 今回もいつものようにギルドで依頼を受け、遠出をしたが、まさかこんな目に合うとは。

 報酬の良さに飛びついたのがばかだったかもしれない。




 遡ること一月と少し前。

 掲示板の前にがやがやと冒険者たちが集まり始めた頃、その中に腕を組み仁王立ちする女性が一人。

 眉間にしわを寄せ、魔物と対峙するような眼光で依頼内容を睨みつけている。

 周りはその雰囲気に気おされて、女性の周りはぽっかりと空いている。

 魔物を殺せそうな眼光のままスッと手を伸ばし、複数の依頼用紙を引きちぎった。

 そのままツカツカと受付へ近づくと、ヒッと喉を引きつらせるような声が聞こえた。

 周りからは受付嬢へ同情のような視線向けられている。


「…エマ様、依頼の受理でよろしいでしょうか?」

「あぁ、よろしく頼む。」


 最初は頬を引きつらせ、おぼつかなかった手元は受付処理に入ると、さすが受付令嬢だけあって、次第にしっかりとした動きになっていった。


「こちらで受け付けは完了しました。すぐ出発されますか?」

「そうだな、今日装備を整えて…明日には立つつもりだ。」

「かしこまりました。気を付けていってらっしゃいませ。」


 先ほどとは打って変わって口角は少し上がっている。

 足取りも軽やかに街の雑踏へ消えていった。




 翌日馬車で揺られながら再び依頼内容を確認する。


「国境で魔物が大量発生、ね」


 今回の依頼は、国境で頻繁に出没するようになった魔物の調査である。

 この調査で魔物の集落や原因がわかれば、騎士団の派遣や傭兵、冒険者を募って大規模な掃討戦が行われることになるだろう。

 往復するだけで二週間ほどかかるため、依頼を受けるか非常に悩んだが、報酬がよく商隊の護衛と並行してできるため、いつも以上に収入が見込めたことから、受けることにしたのだ。

 最近防具がだいぶ古くなってきており、新調するにはいい機会だし、と資金繰りの意味も多分に込めている。

 行きは特段何もなく、町々をめぐりながら国境へと向かった。

 気分は旅行そのもので、久しぶりの休みを満喫しているようなものだった。

 強いて言うなら、国境付近は魔物が増えていると調査依頼が出されていただけあって、いつもに比べ多いような気はしたが。


 それよりも問題は、調査に入ってからだった。

 調査が思うように進まなかったのだ。

 魔物が大量発生している原因がわからず、日にちだけが過ぎていった。

 近くに魔物の集落ができているのだろうと踏んでいたが、集落らしきものは見つからず、魔物は神出鬼没で減る傾向はない。

 二週間ほど周り一帯をくまなく捜査し、そろそろこれはおかしいと思い始めた。

 これほど探して見つからないとなると、さらに範囲を広げるか、人数を増やすか、はたまたもっと別の角度から調査をしないことには手詰まりになってしまった。


(仕方ない、一度ギルドに持ち帰るか)


 帰りも商隊の護衛を受けつつ帰るつもりだったが、こうなると少しでも早く帰って報告した方がよいだろうと、馬を借りて帰ろうとしたが、たまたま居合わせた旅人たちに護衛を頼まれてしまった。

 最近魔物が多く、移動が困難なため護衛してくれる人を探していたのだという。

 断ることもできず、結局馬車で帰ることになった。

 馬で一人駆ける方がかなり早く帰れるのだが、とは思わないでもなかったが、今更じたばたしても仕方がないと、あきらめて御者台に座った。

 なんにせよ、当初は護衛をしつつ帰るつもりだったので、予定通りと言えばそうである。


 そんなこんなで、田舎道を馬車で走っていると、轍に車輪がはまったのである。

 思わず大きなため息をつきたくもなるというものだ。


「どうしました?」


 後ろから男性が顔をのぞかせる。


「どうやら、車輪が轍にはまったみたいです。車体を押すのを手伝っていただけますか?」


 そう声をかけると、ぞろぞろと皆一様にお尻をさすりながら出てきた。

 

「皆さんもぶつけましたか。」


 皆で顔を見合わせ思わず噴き出した。

 ひとしきり笑ったところで、馬車の後ろに回り全員で押す。


「せーのっ!…ぅっ」


 何度か押すとやっと車輪が上がった。

 皆一様に顔を赤くして、大きく息を切らしている。


「はぁ…やっと上がった…」

 ようやく順調に走り出した馬車に揺られて王都に戻ったのは王都を出てから一月以上たってからだった。

ありがとうございました。

次もいつ出せるかわからないため、気長にお待ちください。

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