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【作品打ち切り 改訂版に移行しました】ニートな俺が山でスキルを習得させられて強くなったし、お金が必要なのでダンジョンで働きたいと思う  作者: MRプロジェクト
呑み込まれた者達

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ー 4 ー 島兼孝

30/12/20 投稿遅延について謝罪いたします。

話のない場所に章が出ていた事についてですが、別作品のコピペでして誤りです。すいません。

「先輩、どうしたんっすか? 何か言いにくかったら大丈夫っすけど」


 話を終えてすぐの事。何かを言おうとするのだが、目を落として、口をもごもごと動かせる先輩がそこに居た。唸ったり、どうしようと言葉にしたり。

 だから聞いたのだが……。


「あ、いや、そうじゃないんだ……が。ぁ……いや、そうだな……」


 中々見ることの出来ない、煮え切らない先輩。

 話し声は少しばかり聞こえたが全く全てという訳でもない。しかし、先輩が悩むまでの話であった事は聞いてでも、見てでも分かる。


 だから、知りたい。知るべきである事だろうから。しかし、問い詰めるべきでもない。そう思った。


「……そうっすか。了解っす……。良いっすよ話せる時で」


 こうなったのは初めてだけど、まぁ俺ももう大人だ。気配りくらいできる。先輩だって、言いたくないことのないことの一つや二つはあるはずだ。

 だが、言おうとしているところから考えれば言わなければならない事だ。俺も気になるし、予防線に。


「……そうか、助かる」


 先輩は気を落とすようにして返事する。

 しかしうーん、何かあるのだろうか。と一考してみたが、よく分からない。

 何かの関連性を求めるのなら先程の、先輩が倒れたアレだ。


 あの茅乃という女に弱みを握られたのか、何かやられたのか。どちらかに一つだとは思うが……。あの女は人間なのかとも思う。何せ、ダンジョンに一番早く潜った俺たちと同じ階層にいるんだ、おかしすぎる。魔物が人間に擬態した何かにしか見えない。


「……集合だ」


 そんな事を考えていると先輩はふと声を上げて「ふぅ」と息を吐いた。


「詳しい事情は後で話す。彼女は茅乃茜と言う。少しばかり同行するからよろしく頼む」


 その一言が静寂を生む。しかし、束の間の瞬間であって、それは事情のわからない俺たちにとっての戸惑いを生んだ。


「どう言う事っすか先輩」


 いや、先輩の事だ。さっきの言えないことと同じ話なのだろう。けど、分からない。分からなさすぎる。

 人を同行させる理由すら言えない事なんて一体、どんな事を隠しているのだろうか。

 押し黙るよりも、どうしても聞きたかった。


 だからもう一度聞こう。


 と思ったけど、口から出る前に抑えた。先輩が、悩む事だ。何か考えがあるのかもしれない。それに、スケジュール通りの性格だ。口も固いから本当に帰るまで何も言わないつもりだろう。


 しかし、他の隊員も異議を唱える権利がある。そもそも、同行理由が不明という時点で怖いに決まっている。何が起こるか分からない。異議を唱えるのも、わからないことでもない。


 時を追うごとに増す異議の声。

 初めは一人だったのが、今では8人、9人。隊長の発言であっても流石に無理があったか。


 だからか、先輩は渋々と嘘をついた。


「……救助だ。これ以外は何もない、頼む。帰ったら話すから、頼む」


 それも、頭まで下げて。


「先輩……」


 やはり、それ程までに黙っておきたいのだろうか。一体この女は先輩に何を言ったと言うのだろう。

 だけれど、そうか。


「わかったすよー、先輩。貴官らも、それでいいっすよね。帰ったら話してくれるっぽいっすし」


 すると各々頭を縦に振る。一見民主主義っぽいけど、半分は圧だから何とも平等とは言えないが、平等である風を装って黙らせた。


 さて、そうなったら。


「茅乃さん? だっけ? 僕は副隊長の島兼孝(しまかねたか)っす。少しの間よろしくお願いするっすね」

「ええ、よろしく頼むわ」


 それから、直ぐに今後の方針が決まった。帰還だ。残り潜伏期間と食糧が底を尽きてきているかららしい、が実際はあの女が帰還を早めたと思う。

 そうしてある程度休憩を取った俺たちは、4階層を歩いていた。いや、どちらかと言えば歩調が早く速歩きだ。

 だが、黙々と歩き続けるしかない。


 茅乃と言った女は最後尾を付いてきている。一応救助されている身ではあるのだが、自分で自分を守るくらい出来るのだそう。そう言う理由で一番危険な最後尾についている。

 しかし、疑問点はいくつもある。


「……」


 のだが……幾ら考えても直ぐに行き詰まる。情報がなさ過ぎてどう考えたらいいものかわからないのだ。


 怖い、今回に限っては知らなすぎて事が怖い。

 未知の領域に何故人間がとかより、先輩が押し黙ってる事が怖いんだ。


 はぁ。


「なぁ、島」


 深い溜息をつく、そんな時先輩が語りかけてきた。そして、続けてこうも言った。


「こんな時だ、昔話をしないか」


 と。


「……なんっすか? まだ移動中っすよ」


 普段はそんなこと言わない。言うことはない。しかし。


「……まぁ、いいじゃないか」


 と、何処か戸惑っていると言うか彷徨った目をしていた。何か気を紛らわせたそうに見えた。

 だけど、俺たちの位は隊長、副隊長。規範にならなきゃいけない。だから注意する。


「良くないっすよ、どうしたんっすかほんと。気にしてないっすから、後で話してくれるんっすよね? なら、ささっと帰るっす」


 どうしたものだろう、何と声をかければ良いのだろう。分からないから、自分なりに言葉を選んだ。どう見てもいつもの先輩じゃないのは確か。

 だけれど分からない。


 分からないぞー異例の事態すぎて。

 それに、移動任務中に話を持ち出すとか特に変だ。


「島副隊長、隊長はどうなさったのでしょう」


 そんな違和感に考え込んでいると後ろから声がかけられる。突然だった為にピクリと身体を動かせてしまったが、気にせず「んー」と唸ってみる。


「僕にも分からないっすねー。あれは、中々、いや寧ろあんな事初めてっすよ」


 そうチラリと視線を動かすと、高津隊員も目線を下に落としている先輩をみた。何時もの前を見る姿勢でもない。何となく俺の考えも察してくれたのだろう。

 高津隊員は直ぐに目線を戻した。


「そうですか……。移動任務中失礼しました」

「いいっすよ、全然。隊長も喋ってたっすし」


 そう辺り感触のない言葉を選ぶ。


 しかし8年くらいの付き合いになるけど、分からないことはまだまだ沢山あるな。

 今回の様なことはないと言えばないのだが、基本が「キッパリ」してるからこうなるとはあまり思ってなかった。


「……昔話か」


 先輩がさっき言っていたこと。

 当分は暇だ。なんなら、魔物と接敵するまでは何か考えてもいいだろう。


 そう思い、俺は思いかえす。俺と先輩は実は同期という事や、ずっと先輩って呼んでたし、あの図体のせいで上だと自分でも思っていた事とか。色々と。

 でも、そうだなぁ。今思えば先輩後輩の関係でもなかったし……。いつからなのだろうか、そう呼び始めたのは。



 そう考えて直ぐ、8年前くらいの事について思い出そうとした。



「お前達は今日から自衛隊員の一員である! しかし、甘い考えを持ってきている奴は今すぐ捨てろ! ここはそんな甘い場所じゃないぞ!」


 何百と居る自衛隊員は迷彩柄の帽子を深々と被り、きちりと姿勢と隊列を揃えて、その発言に耳を傾ける。堅苦しいというか厳しいというか、ここがそう言う生易しい場所じゃないことは理解していたが、耳にタコができるくらい同じ事を聞かされているので疲れてきた。


 それだけじゃない。脚も突っ立っているだけだから痛くなってきた。そろそろ集中力も切れてくる。長い。

 そんな時。


「おいお前、姿勢を伸ばせ。ダラけるな」

「は? え、ああ。悪い」


 突然声がかけられたと思えば、それは隣の奴だった。筋肉質というか、ムキムキしている。身長も180位。でかい、怖い。


 故に言われた通り姿勢を戻す。


 そうして更に10分程。


「平和は勝ち取るものだ! 私からは以上になる! 最後に、第63期生諸君! 訓練に励め!」


 ああ、やっと終わった。なげーよ。

 疲れたわ。


 はぁと息を吐く。


 それに、この後訓練だろ……。怠い。


 そう思っていると横っ腹が痛くなった。物理的に。

 だから何だと顔を向けるとそこには大男、隣の注意してきた奴からの攻撃だった。


「な、なんだよ、やんのかよ」


 と、威勢を張ってみるが怖い。寧ろ脚が竦む。

 それに、蔑まれるように下ろされる目線には思わず目を背けてしまう。こんな巨人と俺みたいな日本人平均身長の男とで対峙させんなよ。と愚痴りたいが、突っかかってきたのはこいつだ。

 こいつからはどうしても賢い君オーラを感じる。


 またそれは勘違いでもないのだろう。

 凡そ40分の演説を、態勢を変えずに聞き終えた。それも、他の隊員に注意するだけの余裕を持って……。


 はぁ、となるとだ。俺にまた何らかの否があったのだろう。


 そう思い、もう一度顔を上げる。


「なんだよ、だから」


 すると大男は「いや」と続けて言った。


「……もう少しきっちりしたらどうだと思ってな。そんなだらけ方をしていたら、これからに行き詰まるぞ。それに、目の輝きが不十分だ、悪い意味でな」


 言ってることが分かるからなんかムカつく。


「ほっとけ、お節介を焼き続ける性格もどうかと思うけどなっ」


 だから言い返してみるが、そんな事、意にも返さない様子でキッパリいう。


「規範や態度は重要だ。疎かにしていいものじゃない」


 無駄に正論だからめんどくせぇ。てか普通にコイツの存在が___


「めんどくせぇ」

「やれば誰もなにも言わないさ。さて、訓練が始まる。行くぞ」


 ただ口が滑っただけだっつーの。


「……わあったよ」


 そんな感じが先輩との出会いだった気がする。大方間違いでもなかった気もする。この頃の俺はまだやんちゃだった。というか、子供だった。


 それから数ヶ月、同じ部隊の仲間だ。ちょくちょくと顔をあわせることや訓練でのペアになる事があった。

 しっかし、それにしても先輩という人は嫌いだった。


 何せ、何でもかんでもあれやれこれやれ、あれ守れ、これ守れ。規則に従いすぎて面倒すぎる。それに、変に慎重だ。行動が何から何までスケジュール通り、話せばどれも遠回しで分からない時もある。人に心を開かないのかとも思ったが、態度がそうでもないから違うとも思った。


「いや、この際もういいや、疲れた……」


 へたる様に、見方を変えれば怠そうに汗を流して歩いている。

 だが、それにも理由がある。それは、今回の訓練内容だ。匍匐前進。今回は第3と5の匍匐前進をやらされた。


 いやー、キツイ。5なんてもう、這いつくばってるだけなのに鉄線潜れ! 早く行け!!


 死ぬっつーの。てか腰が死んだわ、腹筋も肩の筋肉も痛い、全身痛い。


 てのに……。


「うっ、つー……ってーなー、ボケ!」


 肩を撫でながらそいつを見ると、いつも通り涼しげな顔で言った。


「貴官は口が汚いな、今すぐ直せ。いや、もうそれは病だ。治せという方が正しいか」

「叩いてきたお前が言うな。てか、なんで俺の時だけそんなどストレートなんだよっ」


 普段は「貴官の言動は少々目に触れる。上官に叱言を言われる前にやめた方がいい」程度なのに、なんだよ治せって。腹立つわ。



 っと、思い出していると時間ってすぐ過ぎる。

 気づけば進路方向に魔物が3匹……。そして、それにすぐさま反応する先輩。

 鞘に収めた劔を、少しばかり前に抜いて。


「全隊員戦闘態勢。全体で連携を取り、速やかに討伐。ゴー!」



 それにしても、やはり面倒だこの大男。

 無駄にうざいし、無駄に正論言うし、規律ばっかだし、スケジュール通りだし、力強いから偶に肩がずきりとするし。


 晴天を仰ぎ見れば雲が太陽にかかる。まるでそれは、今の自分のようで……太陽が自分だ。そして、あの大男が雲で邪魔ばかりしてきて、それも大きいから余計に鬱陶しい。


「おい、想定訓練中だ。気を抜くな」

「はいはい、そーだねー」


 銃口は下を向いている。ちゃんと持ってる。

 気は少しばかり抜けていたが、やる事はやってる。


 はぁ、細かい。うざい。

 ほんと、なんだよコイツ。


「……右前方に敵部隊を確認。背後から捉える、物音を立てるな」


 そう言うから先頭を歩く大男の横を通り、草叢から顔を出す。


 ほーほー、結構遠いな。目を細めんと分からない。


「お前よく見えたな」


 そう思い振り返ると顰めっ面で大男は肩を掴んだ。


「勝手な行動で隊列を乱すな。戻れ、実戦なら死んでるぞ」


 ま、これは流石に俺が悪いか。


「悪い悪い、そう言うつもりじゃなかったんだ」

「なら俺……小隊長の命令位聞き入れろ」


 そうそう。

 そう言えば、訓練中か。

 めんどくさ過ぎて少し忘れてた。この野外戦闘は想定訓練である。小銃は空砲だが、ある程度打ち合う。砲弾の爆撃も音と黄色い煙だけだが打つは打つ。その他に戦車も走るし、敵の偵察ヘリも飛ぶ。

 毒ガス警報があれば、ゲリラ警報もある。


 実戦形態の訓練なのである。

 だから大男はいつもよりも厳しく、本腰を入れていた。


 だから余計にメンドくさく感じたのは言うまでもない。

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