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【作品打ち切り 改訂版に移行しました】ニートな俺が山でスキルを習得させられて強くなったし、お金が必要なのでダンジョンで働きたいと思う  作者: MRプロジェクト
呑み込まれた者達

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ー 1 ー 不審者

 コツコツと鉄靴の甲高い音が、この部屋一帯に鳴り響く。金属の音はコツコツとリズムは良いわけではなく、どちらかと言えば慎重ということが聞いて取れる感じで歯切れの悪い。


 だが、それもそうだ。彼、藤田 孝太郎 は冒険者としてダンジョンに潜るよりも前、昔から物事には慎重なのだ。


「でかいっすね、この扉」

「島、容易に触れるな。警戒を怠るな」



 これは、冒険者抽選を行われる3ヶ月程前の事。



「まさか、本当にこんな空間があったとは」


 5m程の大扉は軽く押すだけで扉が開いた。事よりも、あの壁にある扉の先には次へのステージがあるという予想が当たっていた事に、やはりと頷いて感嘆の声を漏らす。またそれは俺だけではなく、仲間の中にも驚きを孕んでいる声を上げている奴もいた。


 ここが5階層。

 あの、大きなドアの先にある巨大な空間。

 灯りはある。この大きな空間でさえ照らし出す大きく明るい炎がそこにはある。


「なんか、不思議っすね」

「いや、不思議通り越して可笑しいぞ」


 俺以外のやつらがコソコソと笑い合う中、俺は注意深く観察していた。

 一つ一つ慎重に、見落としがないようにとじっくり。


 だがここは赤色煉瓦で存在している空間である事以外何もなかった。灯火が何よりそれを記していた。


「何故?」


 俺は思わず顔を顰めて思考した。前情報ではここがボス部屋であるという話があった。それはなんとも不確定要素である「ゲーム」という主観からの話だった。当然、信じるわけがなかった。

 だが、信じることとなった理由は一概にはいえないが、出てくる魔物がゲームの敵キャラとして出てくる造形のものと一緒であったことや、ゲームの世界でも存在するアイテム、常識を逸脱した効果を持つモノが存在していたことが大きな要因とも言える。


 それに、その他にもゲームのような要素や仕掛けがよりその可能性の色を強めていった。

 が為に、俺は不自然だと警戒度を高めた。沸点ギリギリの所まで。


 だけれども、やはりそこは何もないただの空間でしかなかった。


「どうしたんっすか? そんな顰めた顔するなんて先輩らしくないですよ」

「え、あ、ああ。そうだな」


 後輩の (しま) に軽く言葉を入れながら、再び警戒の質を上げることにした。


 何もないわけは無いはずだ。もしかしたら視認できないような魔物、カメレオンのような同色化ができる魔物なのかもしれない。

 ならそれは、物音に敏感に注意する必要性がある。


 その時、コツンコツンと石ころが転ぶような音がした。その瞬間に目を向けると石ころがやはりあった。そして、石ころの音はゆっくりと静まり、動かなくなった。

 やはり、何か居る。


 そう思って注意喚起を促そうと思い後ろを振り返ると島が、足を振り切った形で静止していた。


「何もいないっすね。ってことはセーブポイント的なもんすかね」

「……はぁ。おい、物音は最小限にしろ」

「でも、流石に___」


 島は天井を見ながらいった。

 天井は高い。今の身体能力でのジャンプでも届かないくらい高い。

 だが、そこにもちゃんと光は行き届いているから、上に誰かいるわけでもない。


 要するに。


「これはボス部屋じゃないと思いますよ」


 的外れ……。

 そう言われて、少しそういう考えに成り掛ける。でも、今までが今までだ。そう簡単に相似点を失うわけがない。


 そういえば島がいっていたセーブポイントというのは休憩ポイントの事だろうが、それである可能性はあるものの少ないだろう。

 それは、相似点を失うからだ。


 基本的なダンジョン探索ゲームについての資料にも書かれていたが、発案当初のものと作りは変わらないものが多く、セーブポイントはその階の何処かにあるというだけで、階層ごとに設置はされていない。

 逆に設置されているのはボスであると書かれている。また、それは正しく、現在では2、3、4層にセーブポイントを確認している。


 そして、この5階層に入る時点で階段ではなく大扉であったところがなにより、違いを見せつけられた所だ。ここまで異様な変化は、例に則ってボスであるという事もよく分かった。


 故に、この考えは捨てきれなかった。


 ボスは絶対いると。


 そんな時、コツンコツンと甲高い音が聞こえた。また島かと思い目を向けるが、首を振られるだけ。ほかの隊員達にも目を向けるが、何も行動を起こしていなかった。


 じゃあ、誰だ。


 音は確かに聞こてくる。それは他の隊員も同じらしく、手に剣の柄を収めている者もいた。


 誰だ。


 警戒心が限度を振り切って集中力を底上げする。


 誰だ。


「あー、そんなに警戒しないでよ」


 それは女の声だった。声には少々幼さがある事に加えてトーンの高さ。鑑みるに、女性であると思われる。


「……誰だ、このダンジョンのボスか」


 聞き出す情報は最低限の証拠にさえなればいい。だからそんなに聞かない。ボスかそうではないかの二択なのだ。


 女は俺の問いかけに対して、一間置いて答えた。


「あー……あーね。この部屋の化け物なら私が倒したから、後二日は出てこないよ」


 声は聞こえる。

 けれども姿は見えない。


 どういう事だ。


「何処にいる」

「何処って……」


 そして女は姿を現した。


「目の前だって」

「っ……何処から」


 下手にリアクションは取らない。いきなり現れた事については呆気にとられたが、冷静さが重要だ。

 俺は目の前のヒトを見つめる。


「だから、目の前からずっとだよ!」


 女はそう叫ぶように言うと、頬をぷくーと膨らませながら俺を睨みつけた。


「……お前はなんだ、敵だな」

「なにそれトンチ? 聞いておきながら断定するなんて、酷くない?」


 心外だよー。そう言ってケラケラと笑った。


 そして俺といえば、そんな女を見て動揺していた。

 冷静さの欠如に近い状態に陥っていた。


 な、何故ここに人間が……。

 どう言う事だ、もしやこれは人間じゃなくて人間に化けた魔物か……? 分からない……。


 そう考えながら、いつでも戦闘に入れるように構えを取る。そうでもしないと落ち着かなかったからだ。


「あー、だから、そうキリキリしないでよ。こっちも疲れるから」


 女は気づけば目の前にいた。

 目に捉えたという事はなく、それを裏付ける見たと言う記憶が一切ない事が事態を証明していた。分かる事は突然目の前に現れたと言うことだけ。


「な、なにを」

「なーにも」


 していない。

 女がそう言った言葉を俺は信じなかった。タネがなきゃ何も生まれない。


「何故偽る」

「……あんた、彼女いないね」

「何故それを」


 それから彼女は目を瞑り、手をぶらぶら振ると地面に胡座をかいて座った。


「はぁ……。わかった、わかった」


 呆れたというより疲れた風に彼女は言った。


「元からそのつもりだし、いいよ面倒くさい。私はあんた達と交渉したかったからここに来たんだよ」

「交渉……?」


 交渉……。交渉となると、俺たちの存在を知っていないと来ることもない。つまり、何処かで会った……いや無いな。となると、付けられていたか、何処かで偶然見られていたか。


「ちょっと手伝って欲しいんだよ、ちょっとね」


 女は腕を組んで顔を上に上げる。


「先ずは自己紹介ね。私の名前は茅乃茜(かやのあかね)。現役の高校3年生だよ!」


 高校生……?


「まて、どうやってここに入った?」

「え?」


 ふと疑問に思い言うと、女は驚きに口を開けた。

 ダンジョンはゲートを越えて、さらに入り口付近を通るから必然的に二度認識される。

 しかし、高校生。冒険者は20からだ。

 壁を越えてきたとしてもカメラが捉えるだろうし、そもそもの身体能力じゃあの壁を超えることはできない。不法侵入をするにも無理がある。


 となるとだ。


「やはり、お前は人に化けた魔物か」

「いや、え、いやいやいや。あ、ジョークねジョーク。はーはー」

「俺は(ジョーク)を好まない」


 無音状態。沈黙の重たい空気が充満する。その間女は顔をしかめて、ムスッとしだす。眉をひそめたり目を瞑ったり。目もキョロキョロとしだして、挙動不審になってきて、そして、口をパクパクさせながら俺に目を合わせた。


「あ、あのさ。待ってよ。東京の大部分が飲み込まれたんだよ。人がここにいるって事くらい分かるよね?」


 この女の言うことは正しい。ダンジョンは一部の区画だが、東京を飲み込みながら聳え立っていた。

 しかし、だ。


「お前は何を言っている___」


 馬鹿げている。


「ダンジョン出現において、死亡、行方不明、重軽傷者は0なんだぞ」


 その言葉に女は戦慄していた。

 目を大きく見開いて。

さぁ、鍵ネコよ。筆を取るのだ、取って、書くのだ。1ヶ月もずっと待ってくれていた読者様の為に。

リアルが何たらとか言い訳は言わない。書けばそれが証明になるのだから!


明日か明後日に投稿します。

それと、誤字報告でしたっけ? あれ凄いっすね。もし宜しければお使い下さい。

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