06.ガイダンス
「それでは、冒険者についてのガイダンスを始めます。僕の名前は河田と言います。よろしくお願いします」
話を進めて行くのは、このお兄さんのようだ。
書類に河田翔寺と書かれていた。現役の自衛隊員で、今はダンジョン探索部隊の小隊長を務めているらしい。それなりに場数を踏んできたのは、本能的に分かる。これは多分あの山で培われたものかもしれない。
「では早速ですね、1枚目を見て下さい。先ずはダンジョンに挑むに当たっての心得です」
漸くめくる目の前のホチキスで留められた書類。
俺は言われた通りにぺらりとめくる。すると、そには3つ、大きく文字が書かれていた。
1.無理をしないこと。
2.原則2人以上で行動すること。
3.準備は確実にしておくこと。
「これは冒険者として活動するに当たっての心得になります」
河田さんはそう言うと後ろのスクリーンも使って話をする。分かりやすくパワーポイントで纏めており、ややこしくものなく、納得のいく話で進められた。
「ページをまくって下さい。こちら1つ目の心得ですが、絶対に無理をしない事です。体調が悪いのにダンジョンに潜ったりすると、本来の力を発揮出来ずに死ぬ事になるでしょう」
アニメーションで分かりやすく表現する河田さん。
「なので、体調は万全に、それでも潜る場合は自己責任です。こちらからの拘束はありません」
スクリーンに映し出される罰の画像を見て俺はふむふむと心の中で頷く。
「次に2つ目の心得ですが、次のページです。原則2人以上で行動して下さい。今回、先行冒険者の方々には5人4グループを作っていただきますが、来年の年では個人活動も可能になります」
しかし、と付け足す河田さんは次のアニメーションを動かした。
「一人ですと正直何も出来ません。荷物運び、索敵、睡眠中の安全、収穫する素材の量、その他にメリットはあるのですが、圧倒的にデメリットが多いです」
こちらでは___
「ダンジョンに潜る際に忠告しますが、それ以上は自己責任ですのでお気をつけください」
ふむ、なるほど。無理するな、一人で行動するなが1と2にきていると言うことは、これが疎かになる事が多いのだろう。
「最後に3つ目です。次のページです。これは基本ですが、一番計画性を持ってしないといけません」
理由としては___
「三つ。食糧の、積荷量、消費ペース。仮説テントや寝袋のスペース。他、武器の手入れ用品。魔物の素材を入れる時のスペース。その他に色々と」
パワーポイントではパンパンになったリュックが映し出される。
「その為、最小限で最大限を発揮しなければならなくなります。しかし、余裕もないので最小限に。魔物の素材を別バッグにする方法もありますが、その場合、所持物が増えるデメリットがあります」
ですので___
「潜伏期間を決め、最低限お腹を満たせる量の食糧を積む事が冒険者活動でのコツです。また、特に武器の手入れ用品無いようにした下さい。心得については以上になります」
次の3も、サバイバル環境での融通を利かすための鉄則のようなもんだろう。ま、基本を忘れるなってことか。
「次は5ページ目を見て下さい。こちらではダンジョンに潜る際に必要な、主な準備品が書かれています」
・水、カンパン、ジャーキーなどの保存の効くもの
・ライター、懐中電灯などの灯りを確保できるもの
・包帯、消毒液などの怪我を治療できるもの。
・武器(初期配布用武器以上の性能を持つもの)
・砥石などの武器手入れ用品
「この5つが基本となります。余裕があれば寝袋やテントを持っていくと野営が楽です。また、武器については右ページを見て下さい」
そこには剣や斧、鎌などの銀色の光沢を放つ武器の写真が載っていた。
「これらは、ダンジョン内で生成される鉄と、生息する魔物の素材を使って作成した武器です。この何れかの中で、初期の武器として一つ配布いたします。また、事前に掲載させていただいていた武具の購入についてですが、新規武具購入は350万円までこちらが負担いたしますので、購入時は冒険者協会二階武具取り扱い窓口にお立ち寄りください」
しかし、武器がタダとは、本当に助かる。たしかに事前情報にも書いていたけど、半信半疑だった。
いやぁ、あれもこれも抽選に当選した結果だろう。
「次に7ページをまくって下さい。今回の講習で行ってもらう1階層の地図です。これは、見た目に反して広いので、1階層と言っても侮らないで下さい」
円形に描かれた地図。そこには森、草原とあり、序盤ステージのような感じだった。
所々森の色が濃い場所があるのが、ほんと序盤感。
「1階層なので、魔物の出現頻度や強さは最も低いです。しかし、適正レベル外の魔物と出会う確率が少し大きいので、敵わないと分かったら即時撤退して下さい。では、最後に最後のページを見て下さい。主な魔物に関してです」
そこには1階層と左上に書かれており、その下に10匹の魔物の写真が貼られていた。
こうしてみると色々グロい物があったが、1番分かりやすかったのはゴブリンとスライムだった。
ゴブリンは本当に凄い顔をしていて、スライムはスライムって感じだ。
こういう時、自身の語彙力のなさを感じる。
そして、このページで冊子は最後となっている。時間にして30分ほどのガイダンスとなった。
「では、以上になります。次は、場所を体育館に移し、体力・戦闘測定をさせていただきます。皆さん、僕についてきて下さい」




