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【作品打ち切り 改訂版に移行しました】ニートな俺が山でスキルを習得させられて強くなったし、お金が必要なのでダンジョンで働きたいと思う  作者: MRプロジェクト
第2難 行きつく先は未知であることを

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ー1ー 形容し難い生物

 元東京スカイツリーの隣に位置するところ。そこに突如現れた塔の警備を始めて早10日。

 警備にあたっているが、何も起きていない。いや、何も起きていない事は悪いわけじゃない。

 でも俺たちは、この塔について何も知らされていない。任務内容も警備だけ。

 だからこそ、何が起きるのかも分からない。


 まぁ、初めて見たものを事を詳しく教えろなんて、無理もいいところか。


 チラッと、銃口を下に向けながら後ろを振り返る。


 元々あったスカイツリーの隣に聳え立つ塔。それは、物々しいと言えるほどにドンと立っていて、その周りは乗り越え防止線と20mのガードウォールが設置されている。


 そんな人工物の物々しさを見れば分かるが、今はこんな感じで厳戒態勢。

 それでも、後数日もすればここに建てられる設備も、人員も、減るだろう。


 89式5.56mm小銃。所謂アサルトライフル。

 コイツは一般的な自衛隊用の武器だ。


 サイトを軽く覗きながら構えるが、この前の実践演習で使った、細部まで模された色銃(ペイントガン)のサイトよりもしっくり来る。


 俺は、的もない、何にもない虚に向かってサイトを覗いて大きな欠伸をかいた。


 そしてサイトからも目を離し、また銃口を下に構える。


 ダメだ。訓練とかなら張り切れるんだけど、待機任務は疲れるし暇だ。


 だから欠伸をした。


 仕事中に欠伸をしてはいけない、常に集中しろとというここだけの鉄則を破ったが、今回だけいいだろう。

 だけど、お目付役みたいな奴がここにいるんだよなぁ。


「翔寺。欠伸をかかない。これ、何回目の注意?」


 再び欠伸をする俺を呆れながら咎めたのは、この壁の中に入るゲートの前を警備する、ペアの 白那(しらな)恵美(えみ)だ。こんな感じで口煩い奴ってのは、この10日でよく分かった。


「はいはい。そーですねー」


 手をヒラヒラ動かし冷やかして答える。すると案の定キレ気味で言ってくるのはこの10日繰り返しているから、少し飽きて来たところ。


「もう! そんなんだから怒られるんだよ」

「へいへい。どーせ、俺は怒られ役なんだよ。ふぁーあ」


 自衛隊に入って早半年。

 厳しい訓練と、美味いと言える美味しさとは程遠いご飯を食べ続けた、長い半年が正しいか。


 でもたった半年。それだけの期間で大体の同期は辞めていく。精神的にも疲労が溜まり溜まって、もう無理だったんだろう。

 まぁ、それは俺にも当てはまる事で自ら願って入隊をしたが、この良いとも言いづらい環境に疲れた。


 だから、許してちょ。


「ふぁーあ。寮に帰って寝たい」


 目尻に浮かぶ涙を拭い、壁にもたれてそんな事をいえる___


 なんて束の間の時間は、今、この時に掻き消された。



 ダダダダダダダダダダダダ



 勢いのある発砲音。薬莢もその中の音に混じりながらキーンと耳に鳴る。ここにきて小銃の銃撃音。


 その音に二人はすぐに反応した。


 翔寺は直ぐにゲートを越え、状況を確認しにいった。緑迷彩の帽子が少し頭から飛びそうになるほど、急いで中に入っていく。ゲートを通過し、その先の扉を開けて、肺にパンパンの空気を吸って。

 そして、漸く見えた光景。そこは地獄絵図と化していた。


 全てが真っ赤。鉄臭くて血生臭くて。

 見たことのない臓腑という臓腑が___

 目の玉が___

 腕が___

 脚が___

 頭が___

 顔が___

 小銃までもが___


 ゴフッと、思わず嘔吐しかける。


「な、なんだこれ……」


 戦闘開始の銃声が響いたのはついさっき。だが今は100人常駐していた兵が、目算で50人近くまで減っていて、なおの事、まだ減り続けている。


 その原因となったのは、間違いなくあいつだろう。血濡れた(なた)を振り回す、緑色の体皮と小さなツノを持つ、醜悪な顔の小さな生き物。


「化け物だ……」


 ただ、その造形には見覚えがあった。

 元は優しい妖精なのだが、話が伝わるごとに顔が醜悪だからと、悪役と変わっていった想像上の生き物。という、絵付きの辞典に書いていた。


 それはゴブリン。


 そして、目の前にいる生き物も、俺の記憶にあるそのゴブリンの特徴と一致する。


「なんで、ゴブリンが……?」


 そう、考え込もうとした時、ゴブリンは目に追いつくだけでも精一杯の速さで、兵に肉薄した。

 その速さに、兵は驚きながらも小銃を片手に打ちまくる。


 が、全ての玉は体皮に弾かれた。


「う、嘘だろ」


 今、目の前で起こっていることが夢なのか、はたまた現実なのか分からない。だが俺は、ただむざむざと人が殺されたところを観ていた事に変わりない。


 俺は、恐怖に押し潰されるのではなく、走った。


「ヤバイ! 滅茶苦茶にやられてる! 急げ! はやくブザーを鳴らせ!! 50人を切った!!」


 ゲートから直ぐにでて、恵美にそう命令する。


「今やってるよ!!」


 反抗的に言った恵美は、今も上がる悲鳴に、涙目だった。それでも、ブザーと連絡の手順を急いで行なっている。


 そして、ゲート近くにあるブザーのパスコードを解き、ブザーを鳴らした。


 ブーーン ブーーン ブーーン


 避難用ブザーが鳴り響く。


 次に、タッチパネルを右にスライドさせ、緊急連絡の表記を押した。


「応援要請! 応援要請! こちら、白那 恵美。突如現れた塔のゲート内にて戦闘が開始。状況は数秒で50人の死者! 直ぐに応援を要請します!」



 こうして、長い長い戦いが、今始まった。

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