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第1話 おむすびころりん
おむすび、ころりん。俺の手を滑り落ちたコンビニおにぎりは、ころころと転がって手首が入るくらいの広さの口を開けている穴に落っこちた。
なんてこったい! こんな秋晴れの素敵な日なのに、誘ってた彼女に当日ドタキャンでフラれて傷心ぼっちハイキング中。ただでさえ天気とうらはらの憂鬱さなのに、昼飯まで俺を裏切るのか!! ……まあ、包装開ける前だから、拾えば食えるけどね。
ってわけで、おにぎりを拾おうと穴に手を突っ込んだ俺だったのだが……
ヒューン!
ゴロゴロゴロゴロゴロ……
ドスン!!
なぜか、手首ぐらいしか入らないはずの穴に吸い込まれてしまって、転がりながら落っこちた先は……巨大なネズミの像!?
そこに現れたのは、筋骨隆々、まるでプロレスラーのような肉体を持った大男!
その体にはズボンと靴しかまとっておらず、上半身は裸。そして、その顔にかぶっている覆面は……ネズミ?
何だか肉体と似合わない微妙に可愛らしいデザインのネズミ覆面の男は、俺を見てうなずくと、重々しい声で宣言した。
「ネズミだ、お前はネズミになるのだ!!」