昔の話
木々がこすれ合い不気味な音を立てる夜の森
本を読んだ
帝国の初代皇帝とその騎士の英雄譚だ。
彼らの物語はとてもかっこよかった
彼らの出会いに感動した、騎士のあり方に感心した、
魔獣退治に心が躍った、人同士の争いに心を痛めた、
そしてなにより、
登場人物の信じるものへの一途さに憧れた
影響をすぐに受けてしまう僕は、
なにを思ったのかその日、夜に家を抜け出し森に入っていった。
自分でもバカだと思う、
夜の森は怖くて次の日に死体でなんて当たり前だから。
なによりその時の僕は剣も碌に扱えない
本ばかり読んでいる少年だったから余計に。
多分、英雄譚の始まりが、運命の出会いが起こると思ったのだろう。自分でも正直よく分からない。
倉庫にあった小さな弓と小刀を手に
英雄になった気分で森に
でも、すぐに道に迷ってしまった、
半泣きになり蔦に足を取られながらもなんとか前に歩いた。
止まったらもう二度と戻れない気がして。
虫の音に驚き、鳥の羽ばたく音に身構え、
魔獣の鳴き声に身を竦ませた。
もう歩けない。
そんな、心が折れ立ち止まり蹲ってしまった時、
女の子の悲鳴が聞こえた気がした。
なけなしの勇気を振り絞りその方向に駆けていった、
泥にまみれ体の擦り傷を増やし涙を目に浮かべ
とにかく前に進んだ。
そこには木にすがるように抱きつき
怯えた目で目の前の熊を見つめている女の子がいた
恐怖に怯えながらも助けなくちゃいけない
そう強く思って弓を構え、
手を大きく恐怖で震わせながらも矢を放ち、
女の子の前に立ち、熊と正面から向き合った、
恐怖で足が震えひどい有様だった、でも僕がここで助けなくてはいけない
その強い使命感だけでなんとか立っていた。
熊は矢にムカついたのだと思う。
前足を地面につけ僕の方を向き、
大きく吠えた
その後の記憶がない。
次に気がついた時にはいつもの自分の部屋にいて、
今までの出来事は夢なのかと思った。
横を見ると心配そうな顔をした母上と父上がいた、
でもその表情は僕の顔をみて少ししてから怒りの表情へと変わる
母上からの強力なビンタと父上からの拳骨
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いつもこの夢を見る時この二撃を食らって目がさめる。
どうしようもないぐらい情けなくなる。