転生
まだかすかに聞こえる蝉の声、夏の終わり俺は静かに息を引き取った。
死、それは人にとって最も短で最も遠いもの。
今日俺は自室で家族のこの世を去った。
「……ま。」
先程まで消えようとしていた意識が今度は次第に覚醒していく。
「…‥くま。」
あれおかしいな、俺は確かに寿命で死んだはず。
「…たくま。」
誰かが俺を呼んでいる?
「さとうたくま!」
聞き覚えのない声だ。
「おい!佐藤拓真!」
重く開かなくなったはずの目を開ける。目の前には見知らぬ女性がいた。
「ここは、えっと。」
「やっと、起きた。まったくこれだから寿命で死んだ奴らは鈍いんだから。」
だめだ 、全くもって状況が理解できない。」
「佐藤拓真!貴方をこれから別の世界に転生させるから、何か希望をいってくれる?あとがつかえてるのよ。わかった?そうね世界は無数にあるから希望は通るわよ。」
転生?別の世界?希望?えっと整理すると、君は死んだよ。これから来世で新たな人生を送ってね!来世の希望はある?世界は無数にあるから行きたい世界を選んでね!という事か。
「えっと、その世界ってのは魔法がるとか翼があるとかですか?」
「えぇまあそんな感じ。」
「その希望するのはどこまで可能なんですか?」
「簡単な話割と細かくよ。あ、でも特定する感じのは無理。例えばハーレムとかテンプレ幼馴染とかね。そういうのは完全に運だから。」
「わかりました。」
「あ、でもこれまでの記憶を保持する代わりにランダムな世界に飛ばされる、というのは出来るわよ。」
「それは少し魅力的です。」
「でもあまりお勧めはしないわ。さっきも言った通り個人的な能力とかわ運。だからね。」
成程、記憶を保持して転生できる代わりに色々と運勝負って訳か、だとするといきなりgameoberaもあるって事か。余り賭け事はしないけど良い機会じゃないのかな。
「じゃあ記憶を保持して転生で。」
「貴方がそれを望むなら止めないわよ。じゃあそこにある転生ゲートの上に立って。」
今まで退屈に生きてきたから楽しく生きてみようかな。
「神の祝福をこの者に与えたまえ。祝福の鐘とともにこの者を転生させよ。」
ガコン!
何かが開くような鈍い音とともに俺の体が宙に浮き始める。
「では来世を楽しんでくださいね。」