表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/80

魔術師による魔術講座 6


 先程放った水鉄砲の魔法。冗談でもその威力は水鉄砲とは言い難く、明らかにウォーターカッターくらいの威力はあった。つまり、たったあれだけで人を殺傷できるくらいの事をしてしまったと言う事だ。もしあそこに人がいたならば、サイラスは確実に誰かを殺してしまっていた。

 その事を考えるととても恐ろしくなって、技術も知識も持たずに魔法を一般社会に持ちだすことは、非常に危険な事だと理解した。だから、マーリンからの特訓には素直に従う事にした。

 マーリンから最初に言いつけられたのは、コップの中に100ml丁度の水を出現させることだ。この特訓の際には杖などを使う事は禁止された。便利アイテムを使った調整をしても、自分の力にはならないからだ。

 そうしてサイラスは、だいたい100mlはこの位、というイメージで力を流しながら、コップに向かって掌を向ける。

「ケントゥム・アクア・ウォカーレ」

 コップの底から水が湧きだしてきたのはいいのだが、その水はコップからあふれ出してテーブルから滴り落ち、床まで水浸しにしてしまった。サイラスは慌てふためいたが、水が溢れて止まらない。それを見てマーリンがパチンと指をスナップすると、ぴたりと水が止まった。サイラスがほっと息を吐いて、マーリンを見た。

「魔力量が多すぎたのはわかるけど、なんで今水が止まらなかったの?」

「君が術式のキャンセルをしなかったからだよ。君の指定した時間と量が見合わなかったら、キャンセルしなければ」

「あーそっか」

 魔法の出現には発現時間も組み込まれるのだ。サイラスは5秒くらいで100mlを想定していたが、一気に100ml溜ってしまったが、5秒という縛りは継続されてしまったのだ。

「術式のキャンセルってどうやるの?」

「その術式が崩壊する術をかける。例えば相反する属性の魔法をかける、術の構築式自体を壊す、術式の発現を妨げる。こういうのが一般的だね」

「壊す為にはどうしたらいい?」

「今回の様に簡単な魔法なら、呪文を逆から読むのが手っ取り早い。それ以外では、術式を解体・解除させる魔法をぶつけるのが常套だね」

 今の魔法の場合はマーリンが呪文を逆から詠唱したものをぶつけた。ちなみにマーリンくらいになると、無詠唱魔法も使えるので、実際に詠唱する必要はない。その術式の構造を理解していればいいわけだ。

 サイラスはマーリンから読まされた本に記載してある術式の構造は全て把握できていた。だから、次に失敗したらマーリンに言われたことをすればよい。とりあえず床を雑巾で拭いてから、サイラスは再び水を出現させる魔法を行い始めた。

 メモを取りながら、自分の認識と実際の魔力量、水の量をすり合わせて、徐々に調整していく。多すぎたり、少なすぎたり、そう言う事を何度も繰り返して、少しずつ水量が100mlに近づいてくる。

 最早何度同じ魔法を行使したかわからなかった。昼に始めた特訓が功を奏し始めたのは、もう夜もとっぷりと暮れてからだ。

「……あーっ、106ml! 難しいな本当に!」

「確かにな。だが、調整出来て困ることなど何もないぞ。無駄に消費せずに済むしね」

「だよね。基本は大事って俺もわかってる。よし、もう一回」

 そうしてサイラスが同じ魔法を延々と続け、3回連続で100ml丁度の水を出現できるようになったのは、日付も変わって日が昇った、イギリス滞在3日目の朝方だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ