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療養生活とその後


 吸血鬼たちはそれぞれ行きたい所に去って行って、サイラスたちもアンジェロによって、アンジェラの診療所に来ていた。アンジェラの診療所で1か月近くも療養して、ようやくサイラスは起き上がれるくらいには回復していた。

 だが、サイラスは目が霞んでよく見えないし、足の膝から下が動かなくて、車椅子生活を迫られた。少し動くだけでも息切れして、まだまだ自分の障害を受け入れられそうになかった。

 自分の境遇を絶望して、悲観して、こんな事なら死にたかったと嘆いた。メリッサは献身的に支えてくれて、彼女がいてくれることが、本当に癒しだった。

 もしかしたら回復するんじゃないかと、ありもしない希望に縋って、それが希望的観測だとわかると絶望して、それを何度も繰り返して。

 最近になってようやく、障害を持ちながら生活するためにどうしたらいいか、という事に考えが及ぶようにはなって来たが、生活の至る所に支障が出てくるので、どうしても自棄になりがちだった。

 それでも、生き続けると決めた。頑張ろうと思った。そう思えたのはメリッサの存在と、彼女から聞かされた話だった。


「落ちついて聞いてくれるかしら。実はね、私は妊娠しているの。あなたの子どもよ」


 アレックスの事があるから、最初は激しく動揺した。だが、以前読んだ文献を思い出した。メリッサは吸血鬼だが、自分は人間だ。人間と吸血鬼の間に生まれた子どもは、ヴァンパイアハンターにはならない。残念ながら死後吸血鬼化するようだが、アレックスの時のような事は怒らない。

 その事を思い出して、メリッサとの子どもが出来た事に喜びを感じたと同時に、自分が父親になれるのか不安にもなった。

 サイラスはまだ20歳で、まだ若いから不安になるのも当然だった。それに、サリンの後遺症で歩く事も出来ない。だけど、ヴィンセント達も力になると言ってくれたし、お金を作るのも難しくはないし、不自由な生活をさせることはないはずだ。

 だからサイラスは素直にその事を受け入れて、心からメリッサの妊娠を喜べた。子どもが生まれる。自分は父親になる。子どもを守っていく責任がある。その事が、サイラスが生きる活力になった。


 回復してからインドに戻った。ボニーとシャンティと再会を喜んで、その話をすると、二人は涙ながらに喜んでくれた。アレックスはどうしてもボニーと会うと、殺害の衝動を抑える自信がないと言って、墓参りはしたもののボニーには会わずに警察に出頭し、その場で逮捕された。収監されたアレックスは、逃げることも出来るのに大人しく過ごし、弁護士と裁判の話し合いをして過ごしていると、アレックスからの手紙に書いていた。

 ミナとアンジェロは時々連絡をくれて、色々と相談にも乗ってくれて頼りになる。大分元気になったので、サイラスはあの時孤児院が襲われた時の状況を尋ねた。


「あー? あんな奴ら、敵じゃなかったぜ」

「何人ぐらいいたの?」

「さぁ? 1万いるかいないか?」

「それをミナさんと二人で全滅させたの? ヤバい。なにしたの」


 アンジェロから聞かされた話は、とってもファンシーで、かつファンキーだった。

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