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魔法使いのパーティ 1


 ヴィンセントが怒涛の攻撃を繰り広げる中、レオナルドはもう一度アメリカの方を見て溜息を吐く。

 正直な話、レオナルドはあんまり心配してはいない。何しろあそこにいる親友夫婦は、ただの経営者ではない。

 最強の超能力者と、最強の吸血鬼の眷愛隷属の夫婦。子どもたちの為に、テロリストに喧嘩を売り、政府に喧嘩を売り、マフィアを潰し、イスラエルまで戦争をしに行くような、超親バカチート夫婦である。

 あの二人のバカみたいな攻撃力に加えて、他にも超能力者が集まっているし、ジョヴァンニの絶対防御もあるのだから、孤児院は建物ごと安全だ。


 身の安全の心配はしていないが、子ども達のトラウマになるんじゃないかと、そっちの方を心配して、加え煙草で見つめるレオナルドの視線の先では、ミナが子どもたちの前で、いつもどおりにこにことしていた。

 今日孤児院では、たまたまパーティが開かれていた。今日は記念すべき、魔法使いの家設立記念パーティの真っ最中だったのである。なので、階上となっている孤児院は豪華に飾り付けられ、所狭しと料理が並べられ、ドレスコードに身を包んだ来賓がひしめいていた。


「みんなー! 今から院長先生と私で、ちょっとしたショーを始めるよー! でも危ないから、孤児院から出ちゃダメだよ。わかったかなー?」

「「「はーい!」」」


 小さな子どもたちが無邪気に返事を返す中、偶然設立パーティに出席していた、既に大人になった卒業生たちは半目になっている。ミナとアンジェロが、また派手にやらかす気だろうというのは、これまでの経験で十分にわかっているのだった。


「アンジェラ。これが終わったら、来賓客の暗示は頼むぞ」

「……仕方ないわね。兄さん、あんまり派手な事はやめてよ?」

「そりゃ相手次第だ。俺のせいじゃねぇ」

「まったく、兄さんも義姉さんも……」


 アンジェラやミカエラを初めとした卒業生たちは、大体がやれやれと溜息を吐いているが、後始末を頼まれるのもよくあること。いい加減彼らも慣れたもので、さっさと「ショー」を鑑賞するスタンスに切り替えた。


「奥さん、子ども達のトラウマになるから、えげつないのはやめてよ」

「わーかってるよぅ!」

「ホントかな……僕は結構トラウマになったけど……」

「ファンシーになるように頑張るって!」

「ファンシー……」


 ファンシーな攻撃とはなんだ、と突っ込みたい卒業生たちだが、既にミナとアンジェロは玄関に向かっていた。

 とっくにジョヴァンニの結界は張られている。玄関を出て、結界を抜けて姿を現した、ミナとアンジェロ。

 青いドレスを着た女と、黒いスーツに身を固め、ステッキを持った男。たった二人で姿を現した、その前に居並ぶのは、庭を埋め尽くす黒衣の騎士団。早速警戒態勢に入った聖職者たちに、アンジェロ達は笑って言った。


「お前らは招待した覚えはねぇが、折角だから楽しんでいってくれ」

「魔法使いのパーティへ、ようこそ!」


 窓辺に子どもたちが集まって、背の低い子は椅子を引っ張ってその上に立っている。何が始まるのだろうとワクワクする子どもたちの目に映るのは、数えきれないほどの黒い服を着た人間と、院長先生と奥さん。ジョヴァンニが子どもたちの後ろに立って解説を始める。


「いいかい、みんな。アイツらは敵なんだ。黒い服を着ているだろう? 悪者なんだよ」


 一斉にざわめく子どもたち。


「敵!? 悪者は倒さなきゃ!」

「いんちょーせんせー! やっつけろー!」

「おくさんがんばれー!」


 あっという間にヒーローショーの開催である。子どもたちの声援を一身に受けたアンジェロとミナ。アンジェロはステッキの先にバチバチと電流を纏い、ミナは血液から杖を作り出し、その杖を炎が纏う。そんな小道具を使う必要はないのだが、一応子ども向けの魔法使い仕様である。


「きゃぁぁぁぁ!」

「いんちょーせんせーカッコイイー!」


 一層興奮して、絶叫し身もだえする子どもたち。   

 その様子をイタリアから見ていたレオナルドは、やっぱり大丈夫そうだと煙草の煙を吹き出して、目の前の現実に視線を戻した。

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