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神の啓示

今回は結構短いです


 アレックスはただひたすらに、祈りを捧げていた。

 神よ、神よ、お答えください。何故レスターをお見捨てになった。自分にとってレスターは師であるとともに友だった。かけがえのない人だった。そのレスターをお見捨てになったのは、何故ですか。

 普段のレスターはちょっとチャラくて、オヤジくさくて、説教臭くて。だけど、アレックスにとっては、あの事件以来初めて自分を見てくれた人間だった。だからアレックスにとっても大切な人だったし、ビビアンにとっては兄妹同然で、二人にとってかけがえのない人だった。

 そのレスターはアンジェロによって殺害され、神はレスターを助けてはくれなかった。吸血鬼のジュリアは人造人間に守られたというのに、神を愛する人間は、誰にも守られなかった。その悔しさを、恨みを、悲しみを、怒りを、一体どこにぶつければよいのか。

 神よ、いつまで沈黙している気ですか。お答えください!

 ほとばしる怒りが神への侮辱へと変わりかけた時、アレックスの前に一筋の光がさした。その光をアレックスは恍惚の表情で見つめる。

「……神よ、お答えください」

「嘆くな、我が子よ。あれは天運だった」

「納得できません」

「唐突な死を納得できる人間などいない。そなたの悲しみに呼応して、私も悲しみに座している」

 柔らかい光と共に姿を現したものに、アレックスは複雑な感情のまま問いかけた。

「名を、お聞かせください」

「吾名はヤハウェ。この土地を司る者」

 間違いない。ヤハウェが、カトリックの神がアレックスの元に舞い降りた。レスターも、ヴィンセントですら叶わなかった神降ろしを、アレックスはやってのけたのだ。

「神よ、われらをお導き下さい」

「導こう。そなたらは、異形の者を打ち倒す。その星の元に生まれたのだ」

 神の言葉を伝え聞いたビビアンも、話を直接聞いたアレックスも、当然の様に神に跪いた。


 そしてアレックス達は再びヴァチカンに戻って、レスターの遺体を利用した、侮辱に等しい宣戦布告を聞いたのち、神からの言葉を伝えた。

 神の啓示を以て、聖職者は剣を取る。それは後の世代で第10次十字軍と呼ばれる、大規模な宗教革命。

 ステファノ騎士団、マルタ騎士団など、世間に名をとどろかせるカトリックの武装勢力が剣と槍を手に持って立ち上がる。

「戦争だ」

「魔物に死を」

「信徒の安寧の為に」

「神の為に」

「一人残らず駆逐する」

 彼らは神の剣、神の武力。その武力の先人に立つアレックスは、神への畏敬とともに、レスターへの惜別と、レスターを奪ったアンジェロに対しての敵意を漲らせて、レスターの忘れ形見であるナイフを握った。

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