おまけ みにくいもの
2018.6.28 おまけ編ラスト。ニーナ視点。
ユンたちが観光にくる少し前の話です。
空気は古ぼけた匂いがし、静まり返った室内には私の動く音だけがする。
窓からの柔らかい日差しがぼんやりと室内を照らし、漂う僅かな埃がキラキラと反射していた。
ここ最近、私は師匠が新しく作った『図書館』というこの施設に通い詰めている。
図書館とは簡単に言えば、本を収集しその蔵書を一般に開放するという施設らしい。
紙が貴重品であるこの大陸では、本という物は高級品だ。
下々の者が本に触れる機会など、通常であればまず無い。
なんとも素晴らしい施設ではあるが……それを民衆側ではなく、為政者側が用意するのはよく分からない。
知識とは『力』だ。
大勢がそれを手に入れれば、たしかに出来ることは飛躍的に増えるだろう。
だがそれはつまり、民衆が力をつけるということ。
要するに権力者の力を相対的に弱める行為でもあるのだ。
教養という強みを失えば、いずれ民衆を制御できなくなる日が必ず来る。
全ての人間が平等の立場として扱われ、権力者たちは身分という高い制度から引きずり降ろされてしまうかもしれない。
(――まあ、師匠ほどになれば関係無いか)
もし大陸中の人間が私と同等の知識量を有したとしても、師匠には勝てないだろう。
師匠はそれこそ、暴力という名の『力』そのものなのだから。
……さて、そのような圧倒的強者はともかく、我々小物にはそういったことを考える必要がある。
それで私がこうして働いている訳だ。
私は抱えた本たちの題名を確認し、中身をさらりと流し読みしては棚に分類していく。
――今回、この図書館を作るにあたって師匠が用意した本には2種類があった。
1つは師匠の故郷のものだという本。
そしてもう1つは、『王宮の書庫』から複製してきたという本である。
もちろん後者には指摘するのも馬鹿らしくなるほど問題がある。
なにしろ王宮の蔵書を……つまりは一国家の機密情報を丸ごと複製してしまったのだ。
世間に流出させてはならない内容のものが大量にあり、要らない本をはねるというよりは、置いてもいい本を選ぶという方が近いぐらいの作業である。
当然他の者に内容を見せる訳にもいかず、私が1人でこの役を買って出たのが今回の顛末であった。
本当は部外者の私が見るのも良くないのだが、それでも私は賢者である。
内容のほとんどが既知の情報である上に、悪用するつもりも無いので一番マシなのは間違いない。
弾いたものは最後には火の魔法で燃やしてしまうつもりだ。
バルドゼオン公国の成り立ちを記した古典を歴史書の棚に分け、時計を見る。
作業を開始してから既に2時間近く経っている。
少し休憩しよう。
私は定位置の長椅子に腰かけ、その端に積んであった本の山から1冊手に取った。
題名は――『みにくいアヒルの子』。
表紙には可愛らしく簡略化された絵が描かれ、中を開けば同様のものが私を出迎える。
これはおとぎ話を挿絵と共にまとめた幼児向けの本――師匠の故郷で『絵本』と呼ばれているものだ。
おとぎ話らしく内容には教訓が込められており、幼児向けなので文章は簡素にまとめられている。
私はこの絵本というものが割と好きで、こういった小さな時間が出来ては読み漁っていた。
中には師匠が暮らす『故郷』とやらに繋がる情報もある。
---
正午になり、この集落での昼食の時間帯になる。
私はいつも通り、師匠たちを探して集落の中をぶらぶらと歩く。
師匠はその時の気分によって動くので定位置というものが無い。
中央広場に続く道を挟むようにして、木々が並ぶ。
図書館と同じく、最近師匠が作った並木道だ。
灰色の幹から目に眩しいほどの緑色が生い茂っている。
力強い命の色だ。
――この木の名前は、『桜』。
大陸北側では割とよく見られるが、この集落周辺には生えていなかった木だ。
桜は春になると白から薄桃色の可憐な花を付ける。
大抵は果実の収穫のために育てられるが、たしかに見物用に整備すれば観光資源としては良いかもしれない。
観光客が押し寄せた場合、少々維持が大変そうだが。
桜は傷が付くとそこから腐りやすい性質をもつ筈だ。
――美しいものほど汚れやすい。
純粋さとは弱く、脆く、儚いものだ。
だから剪定し、害虫を取り、守ってやる者がいる。
師匠の――先代クラリカの、一番最初の教えを思い出す。
“知識とは力であり、要するに『暴力』の一種じゃ”
だから過剰に持つ者は、道を踏み外しやすくなるのが道理なのだと。
“――生まれつき才がある者は、存外におる。じゃがそこから大成するには、1人ではやってられんのだ。盛り、削り、滑らかに擦り、見栄えを整えてやる者が要る。でなければ――出来の悪い粘土細工のように、ただの異形が生まれるだけじゃ”
だから師が……この場合先代クラリカが、あえて情報を歪め、与える知識に方向性というものを与えてやる。
弟子が狂ってしまわないよう、順序を決め、量を定め、正しく導く。
――賢者を作るということは、『いかに軌道修正してやるか』、ということだ。
それが賢者が師より最初に教えられることだった。
「――――……」
風が吹き抜ける。
サワサワと涼しく揺れた命の合唱に、いつか舞い散るであろう白を幻視する。
その純白の姿は美しく、そして神々しくも――常に儚く、散り続けている。
それは桜か、それとも雪か。
仮に桜だとしても、やがて凍える世界に身を削がれ、消えゆく者の寒々しい姿を晒すのだろう。
……だが、それならば。
冷たい世界に枯れた後――いつか訪れる温もりに、再び咲き誇る事もある筈だ。
「――――……」
風が――風が、吹いている。
やがて全てを風化させていく、強い風が。
(――それとも)
それは重く降り積もる雪で――枝を折られてしまうのか。
---
師匠を探し居住区まで足を運ぶと、調理場に住民たちがたくさん集まっていた。
大抵の場合、この集落でこうなっている時はその中心に師匠がいる。
どうやらこの集まりには森人族がほとんど参加していないようだ。
となれば最初期の住民にだけ関係のある集まりか。
なんとか中の様子を伺えないかと背伸びしていると、それに気付いた人垣が勝手に割れてくれた。
少々恥ずかしく思いながら退けてくれた人々に会釈しておく。
このおとぎの里でも私の扱いはあまり変わらない。
用意された隙間から調理場を覗くと、机の1つには案の定師匠が座っていた。
それを挟んで向かい側の人垣には、数少ない森人族側の野次馬としてティアさんとルルさんの姿も見える。
意外なことに、師匠以外の中心人物として存在していたのが、北の村からの移住者であるコナさんだ。
色と長さはともかく私と同じ三つ編み2本という髪型、そして年齢も同じという控えめな性格の少女である。
コナさんはかまどで何やら料理をしており、師匠はそれをぼうっと眺めている。
そしてそれを外から野次馬しているのが私たちという図だ。
……いや、本当に何の集まりなのだ、これは。
やがて料理を作り終わったコナさんは、師匠の前にそれらを並べていった。
(――まさか)
師匠に、手料理を振る舞おうとしているのか?
私は愕然として、隣にいた野次馬の1人に小さく訪ねた。
「……あの。今日は何か、師匠にお祝い事でもありましたっけ」
「へ? ああ、いや、料理の腕が上がったか確かめてくれって嬢ちゃんが頼んだみたいですよ」
雷に打たれたような衝撃。
ただ料理を作って、食べてもらうだけ。
そんな夫婦みたいなことがあっていいのか? ……いや、いいか。
その手があったか。
そうか、言ってしまえばたかが食事だ。
別に大した理由が無くとも誘っていいものなのか。
「あ、あの、どっ、どうぞっ!」
「ありがとう。いただくよ」
事前にどのようなやり取りが行われたのか知らないが、師匠はコナさんの作った料理をすんなり食べ始める。
コナさんが固唾をのんで見守る中、師匠は用意されていたたくさんの食器から匙を選び、最初に汁物に口を付ける。
そしてふわりと笑顔を浮かべた。
「……うん、すごく美味しい。文句ない出来だと思うよ」
「ほ、ほんとですかっ!」
師匠は食事というものを楽しんで食べる人だ。
気取らず好きなものから遠慮なく頬張り、食感の違いを楽しむようにリズムよく噛みしめる。
特別に何かを言うことはない。
だが鼻歌でも歌いだしそうなほど陽気な顔を見せてくれる。
それをコナさんは幸せそうに見ていた。
――いいなぁ。
私を含めて女の何人かはそう思っただろう。
自分が料理を作って、それを美味しそうに食べてくれて。
それはとても幸福な時間に思える。
(……先を越されてしまいました)
まだ師匠と2人きりだった頃があるので、実際にはどちらが先かは分からないのだが。
だがコナさんが羨ましい。
理由が無いという部分が特に良い。
師匠は黙々と食べ続け、すぐに全てを平らげた。
器にはソース一滴残っていない。
あれだけ綺麗に食べてくれたら作る方も気持ちいいだろう。
師匠は用意されていた布巾で口元を拭ってから、やっと口を開いた。
「俺が最初に思ったのはね――」
意味深な語り出しに、コナさんの肩が縮まる。
「――これは、『君の料理』じゃない、ってことだ」
「え?」
師匠の言葉の意味が分からず、コナさんを筆頭に皆疑問の表情を浮かべる。
その反応も想定通りなのか、師匠は続きを口にした。
「俺の故郷には『料理は愛情』という言葉がある。この言葉はよく、愛情を込めて料理しろという意味だと勘違いされてしまうんだが……これはそんな感情論じゃないんだ」
師匠は静かな微笑みを浮かべて説明する。
「例えば、盛り付けに気を遣ってみようとか。自分が食べる時にはしない、面倒な下処理もやってみようとか。出す前に、皿のフチに付いた水滴を拭いておいたりとか。……そういう相手への細やかな気遣いを、『愛情』という言葉で表現したものなんだ。『好きな人に作るならそれぐらいするだろ?』ってのが本質な訳だね。そしてこの料理には、その食べる人への愛情が――この場合は、敬意なのかな。そういう物を感じる」
師匠は食刀や匙、挙げ句に師匠の故郷の食器である箸まで用意された食器入れと、口元を拭いた布巾を示しながら言う。
それらはコナさんが師匠へのもてなしを精一杯考えた結果、用意されたものなのだろう。
「内容もそうだよね。全部俺の好物で揃えられている。俺って好き嫌い多いから、出されたものを我慢せず心おきなく食べられるのって実は珍しいんだ。だからすぐ分かった。でも内容が偏らないように野菜なんかもしっかり入ってて……だから」
師匠はコナさんの目を真っ直ぐに見て言った。
「――これは『君の料理』じゃなく、『君が俺のために作った料理』なんだ。自分を知って貰おうとか、そんな押し付けがましいものじゃなく……ただ相手を喜ばせたいという、そんな真心が伝わってきた。君は、相手のことを思い遣れる人だ。君の料理が温かいのは、君が人の心を温められる人だからだ。とても美味しかったし、何よりも俺には嬉しい食事だったよ」
ありがとう――と、師匠は子供のように笑った。
――このように、師匠は時折歯の浮くような言葉を大真面目に漏らすことがある。
普段は悲観的なことしか言わないのに、ふと正反対の異様に前向きな発言をする時があるのだ。
コナさんは顔を真っ赤にし、感極まったのか目に涙まで浮かべていた。
その後ろではコナさんの家族たちがうんうんと頷いている。……焚き付けたのは彼らか。
「こりゃ店長は決まりかな――」
師匠はなぜか泣きながらペコペコと頭を下げるコナさんを宥めた後、何かを思考している様子だった。
――同じ人間から飛び出す、正反対な物の見方。
一体、どちらが本当の貴方なのか。
それとも、どちらもあって貴方なのか。
私は『識り』たい。
貴方が今の貴方になった、その訳を。
---
――しかし、今はそれよりも先に私の料理も食べてほしい。
という訳で、夜。
私は早速コナさんの真似をして、師匠の家に突撃をかけようとしていた。
食材の入った袋を下げて道を歩く。
さすがにコナさんと比べると苦しいが、私だってあの頃より腕は上がっている。
問題は師匠自身が料理の出来る人だという点だが、最低限不味いとは思わせない自信がある。
決戦だ。
私は私の女としての力を今夜こそ見せつけてみせる。
そしてあわよくば夜はそのまま……などと頭の隅で考えてしまうのは否定できない。
ボッツさんのお店から帰ってくると、師匠の家の前に2つの人影が歩いてくるのが見えた。
「あ」
「あ」
「あ」
ルルさんとティアさんだった。
手には私と同じく買い物袋を提げ、足は師匠の家の玄関に向いている。
――――かぶった!!
ここで黙ると大変なことになる――。
何か第六感的なものが働き、咄嗟に口を開く。
「こっ――こんな所で会うとは奇遇ですね」
「う、うん! そうだね」
「ほ、ほんとに。ははは……」
よく考えればこの可能性はあった。
2人も昼間のあれを見ていたのだ。同じように動いても不思議ではない。
思いつきもしなかったのは私が浮ついていたからだろう。
「……に、ニーナは、なんで?」
ルルさんが真意を探るようにして伺ってくる。
――まずい、これは世にいう修羅場というものなのではないだろうか。
この場面を穏便に済ますにはどうすればいいか、頭を回転させる。
とりあえず双方にとって逃げやすい道を作っておくのが無難か――
「……昼間のあれを見て、私も師匠に成長を見て貰おうかと……ルルさんは?」
「えっ? あっ、ああ、うん。ボクもそんな感じ」
「あっ、わ、私も」
逆に問い返された2人は咄嗟に私の言い訳に飛びついた。
「そうですか。なら、行きましょうか」
「え?」
私はさも当然という風に師匠の玄関へと向かう。
2人も困惑しながら後についてくる。
この後の展開をいくつか考えながらも、私には気になったことがあった。
(――まさか、ティアさんも?)
どうも今回はルルさんの付き添いという訳ではなく、ティアさん単独で行動したようだ。
ということはティアさんも師匠と2人きりになろうとした訳で。
程度はともかく、そこには他の女たちを出し抜こうという下心があったということだ。
だとしたら不味い。
ルルさんはともかく、ティアさんはコナさんと双璧を成すぐらいの料理達者だ。
特に今回の目的を考えると、私とルルさん2人にとって不利すぎる。
ティアさんという競争相手が増えること自体には別に感想がない。
危ない場面で2度も救われれば、好意を寄せても不思議は無いだろう。
特にティアさんは森人族の中では師匠と一番接点が多い人でもある。
そもそも力と金と知識を持つ師匠は、世の女たちから見て魅力的すぎるのだ。
問題があるとすれば、時折垣間見える尋常ならざる思想ぐらいだろう。
だから増えるのはもう仕方がない。
この集落だけで見ても、恐らく師匠に好意を寄せる女は私たちだけではない筈。
むしろ顔を見たことも無いような貴族の女たちに言い寄られているのを見るよりは、ティアさんの方が心情的にはマシだ。
師匠宅の呼び鈴を鳴らすと、少しして師匠が出てくる。
「あれ、どうしたのお前ら」
「3人で、たまには師匠に夕飯でも作ろうかと話して来ました」
「えっ」
「えっ」
先手を取って共同作業ということにしておく。
後ろで2人が戸惑いの声を漏らすが無視して押し通す。
3人いようが作る料理が1つなら味に優劣は付けられない。
師匠は「ふーん」と一言言って私たちを招き入れた。
一見して私たちに興味が無いかのように思えるが、そうではない。
師匠は人に理由というものを尋ねない。
それが師匠なりの優しさだと気付いたのは、少し前のことだ。
「何作ってくれるんだ?」
師匠が無邪気に尋ねてくる。
ルルさんとティアさんが目だけで私を見たのを感じる。
何を作るかというのは確実に問題になるので、廊下を歩きながら考えておいた。
3人分……いや、6人分もの食材があれば大抵のものは作れるだろう。
大人の味が分からなかったりお酒が飲めなかったりと、師匠が意外と子供舌なのは日頃から見ていれば簡単に分かる。
料理は愛情。
昼間言っていたことを考えれば、2人も似たようなもので固めてきているだろう。となると――
「カレーです」
大抵の肉と野菜を消費でき、複数人分作ることを考慮したらこの料理しかない。
カレールーについてはティアさんの手腕に期待しよう。
南辛子のような香辛料は敵対国である帝国産なので我々王国民には馴染みが無い。
だが森人族は森に住むおかげで薬草学などが発達しており、香辛料の使い方が私たち王国民より上手かったりする。
王国民の例に漏れず私は辛いのが苦手なので、申し訳ないが少し甘口にしてもらおう。
師匠はカレーと聞いてとても嬉しそうだった。
師匠が嬉しそうだと私も嬉しい。
食事の幸福はこういう所から既に始まっているんだなと考える。
誰かと共に生きるとは、そういうことだ。
異様に広い厨に着いて、まずは調理器具や調味料の準備をする。
この宮殿のような新居は交易が始まったら宿としても利用するつもりらしい。それで厨もこんなに広くて充実している。
たしかに、私も北の村の時は村長の家に泊まっていたが……だからと言って、ここに一般人を泊めるのはどうなのか。
準備している間、師匠が一瞬だけ席を外した。
何かの作業中だったのだろう。
その隙に私たち3人は急遽会議を開く。
「ルルさんたちは何を作ろうと?」
「ボクはハンバーグ作ってあげようと思ってた」
なるほど、理に適った選択だ。
ルルさんは焼くだけの料理は比較的得意なようだし、ハンバーグなんて師匠の好みど真ん中だろう。
「私はトンカツ……だと面白みが無いので、玉菜とパンに挟んでカツサンドにでもと思っていたんですが」
「あっ、ちょっと格好つけてる」
「い、いえ、そんなことは……」
なんとも程度の低い争いだった。
「私は肉じゃがと、他にも野菜を中心に色々……あとお米を」
「…………」
ほら、やはりティアさんだけ毛色が違うではないか。
ちゃっかり師匠の郷土料理だとかいう『和食』を選んでいる。
和食は使用する調味料の多くがこの大陸に無いものなので味付けが難しいのだ。
しかも主食にパンではなく米を選んでくるとは……。
彼女からすればほんの最近出会った食材ばかりなのに、もう使いこなす自信があるのだろう。
それともこれこそ愛情のなせる技か。
「ハネット様って好きなものばかり食べてるみたいだから、野菜も食べさせてあげた方が良いかと思って……」
我々の間では普通、料理は食べられることが最優先であり、何を食べるかまでは大して気にしない。
食材が偏らないように考えるのは森人族独特の文化だ。
初めてその事実に気づいたのは私ではなく師匠だった。
というのも、師匠の故郷では食べたものが偏ると体調を崩すというのは一般常識であるらしい。
これはとても興味深いとにわかに興奮していた師匠の様子を思い出す。
森人族には光の魔法に適性を持つ個体がいないので、そういった食事療法のようなものが進んでいるのではというのが師匠の見解だった。
たしかにとても面白い話だ。
でもそんな面白い話は私しかついていけないので、やはり師匠は私と結婚した方がいいと思う。
師匠が席を離れていたのは本当に一瞬だった。
私たちは慌てて離れて作業に取り掛かる。
まあティアさんが肉じゃがを選んでくれたおかげで、カレーに材料の多くを流用できる。
野菜は夏野菜らしいので、それも入れて季節感を楽しもう。
適当に仕事を割り振ってカレー作りを開始する。
ティアさんが厨にあった香辛料とトンカツ用の小麦粉を炒めてルーを作る。
その間に私は自分で用意した豚の塊肉を切り分け、ルルさんが肉じゃが用のジャガイモやニンジンの皮を剥いていった。
「ルルは本当に料理が上手くなったな」
ルルさんの手際を見ながら師匠が言った。
「え、そ、そうかな」
「ああ。――それだけ努力したんだろうな。凄いことだ」
師匠の言葉に、ルルさんはくすぐったそうにしていた。
私にも何か言ってくれるかと密かに期待していたが、別にそんなことは無かった。
まあ肉を切り分けるぐらいで良し悪しもないか。
失敗した。仕事の割り振りを間違ったかもしれない。
世に言う恋愛上手な女たちは、きっとこういう所にも気をつけているのだろう。
良い女主張というやつだ。
「――師匠、今日のカレーはハンバーグカレーにしてあげましょうか」
「マジで!? して! 凄い!」
「あっ……!!」
仕方ないので物で釣る。
どうやったってルルさんの作業より私の作業の方が早く終わる。
私は早速ハンバーグの準備に取り掛かった。
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「――いただきます。みんな、ありがとうな」
「い、いえ……」
あまりにも真っ直ぐ見つめてくるので、目を逸らしてしまった。
実際こうやって笑顔を向けられると案外照れてしまうものだ。
完成したカレーと生野菜などの小物を並べて食事を始める。
夏野菜と豚肉のカレーに小さなハンバーグまで乗った、若干豪華なカレーだ。
昼間の話を思い出し、最後にパン粉を散らして火の魔法で炙るなど盛り付けにも凝ってみた。
飲み物は師匠が私のために果実で味付けされた牛乳を出してくれた。
なんでも辛いものには牛乳が良いらしい。
どういう理屈かはまた今度聞こう。食事の席であれこれ尋ねるのも失礼だろう。
「いやー、まさかハンバーグカレーなんて豪勢なものを人生で食べる日が来るとは……」
(…………?)
師匠がよく分からないことを言う。
普段からもっと良いものを食べているだろう。
師匠は大きな匙でガツっとカレーを掬い、一口目を頬張った。
「んん……! 美味い!」
「そうですか? 良かったです」
師匠は私たちのカレーをとても喜んで食べてくれた。
それはもう食べに食べまくった。
何しろ、既に3杯目だ。
いや食べ過ぎだろう。
「そ、そんなに食べて大丈夫なんですか?」
「んー?」
ティアさんが体を心配するように尋ねる。
いくら男性と言っても無理がある量だ。
「『この体』ではどれだけ食っても限界が来たことが無いな。前に解剖してみたら胃に――あ、いや、この話はやめとくわ。まあとにかく大丈夫だ。魔法魔法」
師匠は適当に話を切り上げて3杯目を完食しにかかった。
6人分もあったのにまさか無くなるとは思わなかった。
「だってせっかく作ってくれたのに残すなんて良くないだろう?」
そういえば昼間の料理も綺麗に完食していた。
もしかしたらそれが師匠なりの作ってくれた人への礼儀なのかもしれない。
「もちろんそれは嬉しいのですが……私たちとしては、無理されるよりは普通に1人分だけ食べて美味しかったと言って下されば満足ですよ」
ルルさんとティアさんも数回頷く。
師匠は困ったように眉尻を下げた。
「ああいや、言い方が悪かったかな。そういう意味じゃない。そもそも美味しかったからそうしたいと思ったんだよ。自分で作るよりずっと美味しかった。だから特別に思ったんだ」
「別にカレーぐらい……大体、師匠の方が料理は上手いじゃないですか」
私の言葉に、師匠は薄く微笑んで首を振った。
「一人だと手を抜きがちになる。温かいものが出てくるって、幸せな事だよ」
こういうところがずるい、と思う。
私たちはしばし顔を赤くしていた。
この人に今まで女っ気が無かったのが一番の謎だ。
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「ハネットは何してたの?」
そのまま食休みとして談笑していると、ルルさんがふいにそう尋ねた。
ちなみに師匠はあの後アイスクリームまで食べた。
お腹は本当に平気らしい。
「お前らが来る前か? 暇だから絵描いてた」
絵か。
師匠が趣味で絵を描くことは意外だったのでよく覚えている。
というかこの人は絵だったり料理だったり農業だったり割と多趣味な気がする。
「絵?」
絵を描くと言われてもルルさんたちはピンと来ないようだ。
もしかしたら森人族には本格的な絵画の文化が無いのかもしれない。
文明的に未熟な環境下では、紙に絵画として残す絵よりも、刺繍など道具の模様として自然に伝えられていることの方が多い。
「前に言っていた趣味ですか。1度見てみたいですね」
正直、描かれた背景や歴史ならともかく、絵画自体にはあまり興味が無いが……師匠という人間をより良く『識る』には良い機会だ。
「あー……まあいっか。じゃあ見てみるか? 面白いもんでもないと思うが」
師匠は一瞬何かを考えた後、それも面倒になったように頷いた。
何か含むものを感じたが、そこまで重大でもなさそうなので乗っかっておく。
「是非」
「あ、じゃあボクたちも行く」
師匠に案内されて移動する。
師匠はたくさんある部屋を毎回適当に使うので、案内されないとどの部屋にいるのか分からない。
「ん」
師匠が部屋の扉を最大まで開いて中に入る。
その後に続いて入り、待ち受けていたその絵とやらに目を剥いた。
――雄々しく羽ばたく鳥の絵だった。
黄色いクチバシに、特徴的な首までの白い頭。白頭鷲と呼ばれる猛禽類の一種だろう。
しばしの間、言葉を失う。
今にも木枠から飛び出してきそうな躍動感。
羽毛の1枚1枚に軽さを感じるような質感の表現。
――上手いなどというものではない。これだけで一生食べていける。
はっきり言って、これほどの作品は王宮にも飾られていない。
師匠が時折出してくる『写真』にすら近いような出来だった。
「ふわ~! 絵ってこんなの描けるんだ。凄いね」
「絵も上手いんですね」
あとの2人は呑気に感嘆している。
恐らくこれが人間の世界の一般的水準だとでも勘違いしているのだろう。
それか、師匠ならこれぐらい出来ても不思議は無いという妙な信頼が原因か。
「こ……これは本当に師匠が描いているのですか?」
「一応な。こうやって描くんだ」
師匠はいつものように空中から、使用中といった様子の道具類を取り出す。
恐らく先程一瞬席を外したのは、絵の具が乾燥しないようにこれを片付けに戻ったのだろう。
師匠は板から平筆で絵の具を取り、白頭鷲の羽毛に影の色を乗せていく。
先にそうしておいてから細かい模様を描き込んでいくようだ。
既に完成だと思っていた絵が、ひと筆追加される度にどんどん現実のようになっていく。
「へー、そんなに細かくペタペタ……絵を描くのってどれぐらい時間がかかるの?」
「んー、一概には言えないが……とりあえず、こいつはここまでで10日ぐらいかかってるかな」
「そんなに!」
魔法を使っているようには見えない。
正真正銘、技術のみで描かれた絵なのだ。
ルルさんたちは分かっていないが、これは異常だ。
つまり師匠は何の裏技や卑怯な手段も使わず、実力のみでこの水準の絵画が描けるのだ。
生涯を絵に捧げてきたような宮廷画家たちよりも、優れた絵を。
――そういえば、それこそ農業や料理だってそうだ。
彼は何をやっても非現実的な水準に達している。
「このような絵をこれまでにずっと……? 他のものも是非見てみたいのですが」
「いや、今までに描いた絵は残ってないな」
「――は?」
師匠は私の言葉に何でもないように首を振った。
「描き終わったら捨てちゃうから。所持枠の邪魔だし」
「なっ――!?」
全て捨てている?
価値とか金額とか、そういう話ではない。
この水準に到達するには、恐らく何年もの努力があった筈だ。
そうして磨いた技術で、何日もかかって描くという自分の作品たちを?
「――別に? ただの紙と絵の具じゃないか」
師匠はどこまでも平然としていた。
久しぶりに彼を大魔法使いとしてではなく、1人の人間として『怖い』と思った。
このハネットという青年は、日頃から多くのことに関心をもつ。
魔法、食事、本に文化、そして芸術。でも――
――そこには、『情熱』だけが無い。
彼にとっては努力や苦労すらも価値が無い。
だから、怖い。
見ていて、怖い。
――あまりにも簡単に、自分の無価値を肯定してしまうから。
「まあそんな感じで描いてるんだよ。……もういいだろう? 片付けに戻ろう」
師匠は私たちの感想を煙たがるように厨に戻ろうとする。
褒められることに慣れていない――のではなく。
それは、褒められることに苦痛を覚えているかのような。
師匠は自分の努力と、それを評価する世間の目から逃げるようにして部屋を出ていった。
---
「それにしても師匠、絵を描く暇があるなら今後の財政についての話をいい加減まとめて下さい」
長い洗い場で皆で皿洗いをしながらそう愚痴った。
師匠は私の小言に面倒臭そうに目を逸らす。
今回交易が始まるにあたり、一番問題となっているのがこの集落の財政制度だ。
師匠が金を払い、住民はその金で生活する。
住民が税を納めているその他とは、真逆の在り方である。
だから、その2つが交わると齟齬が生まれる。
今までは師匠が金を出し、その金がそのまま師匠に返ってくるという循環の形が出来ていた。
ここに外部からの接触で金が出ていったり流れ込んだりするからややこしくなるのが今回の話。
この先交易で出た利益は、その施設と師匠、どちらが管理していくのか。
それが今回出てきた問題だった。
交易の度に毎回師匠が出張るのは非効率だ。
個人規模のやり取りに毎回領主が関わるようなものである。
だから住民はそろそろ自立しなければならない。
要するに金銭面で師匠から独立するのである。
だがこれを実現するには、集落内の『金の流れ』を構築し直す必要がある。
住民たちに給与を支払う『雇用の責任者』を新たに選出する必要があるのだ。
これからはその責任者――つまりは『雇用主』に自組織の利益を管理させ、従業員の給与もそこから支払わせるという従来通りの形にしたい訳だ。
師匠が行わなければならないのは、この雇用主の選出と独立資金の用意である。
「めんどくさッ……!」
師匠は人員選択に関しては割と光るものがある。
恐らく面倒臭いと思っているのは独立資金、特にそれの『金額決め』についてだろう。
「だってこっちの相場とか知らねーんだもんよ」
正直、師匠が嫌がるのも理解できる話だった。
通貨すら違うような場所から来た人間には、いささか難しい問題だろう。
だが――
「師匠、そこまで難しく考えなくてもいいのです」
「ほう」
「師匠は別に、お金を出すこと自体が嫌な訳ではないのでしょう?」
「まあ、それはな。金ならいくらでもあるし」
「なら最初はとりあえず適当に決めればいいのです。まずはその金額で運営させ、雇用主から足りないと報告があった時だけ継ぎ足しましょう」
「――ふむ。なるほど」
何も最初から完璧にする必要はない。
その都度徐々に修正していけばいいのだ。
人数が少なく距離も近いこの集落なら、この手段が即日使える。
「んー……じゃあやるかぁ、いい加減」
師匠は筋肉をほぐすように首を回した。
どうやらやる気を出させることには成功したようだ。
「それにしても、意外ですね。師匠ならもっと適当に片付けるかと思っていましたが」
「んー……」
私の言葉に、師匠はしばし唸っていた。
なにか理由でもあったのだろうか。
言うか言わまいか迷っている風だったが、やがてその口を開く。
「――というか本当は、単にこの集落のために何か行動を起こすのが面倒だったんだ」
「……え?」
「どんな問題が出てこようが、俺には本来どうでもいい――」
師匠は遠くを眺めるような目をして言う。
とても不穏な、その理由を。
「――どうせいつか、破綻する集落だ」
師匠はそれが決定事項であるかのように、そう呟いた。
私はその言葉の意味をいくつか考え……そして、理解してしまった。
「師匠……貴方は、まさか――」
「――終わりだ」
「えっ――」
「皿洗い」
師匠が拭いた皿を棚に置きながら言った。
ルルさんもティアさんも既に手ぶらだ。
私が洗っている皿しか流しには残っていない。
「今日はみんなありがとう。美味かったぞ」
師匠は最後にそう言って、自分の部屋へと帰っていった。
絵の続きを描きながら、先程の話に出た責任者でも考えるのだろう。
私はその背中を見送ることしか出来なかった。
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窓から差した朝日で目が覚める。
今は初夏で随分と日の出が早い。
まだ他の皆は起きていないだろう。
珍しく早起きしたようだ。
結局昨日は3人で師匠の家に泊まった。
交易が本格的に始まれば、こんなことも出来なくなるだろう。
カーテンを開け、窓から早朝の世界を眺める。
いつもお茶会を開いている表の机に、師匠が1人で座っていた。
私より更に早起きしたらしい。
それとも、いつもこの時間には起きているのだろうか。
師匠は何をするでもなく、本当にただ座っているだけらしかった。
誰も動かぬ静寂の中、ぽつんと座っている師匠。
――その目が、とても『つまらなそう』に見えた。
虚空をぼんやりと見つめるその瞳には、高い崖からでも平気で飛び降りてしまいそうな……そんな、静かな不穏さがある。
その黒い瞳にふと、昨日読んだ絵本のことを思い出す。
(醜いアヒルの子は、自らの置かれた世界――現状からの脱却手段として、『逃避』を選んだ――)
“みにくいアヒルの子”
――むかしむかしある所に、1羽のアヒルのお母さんがいました。
アヒルのお母さんは巣の中で卵を温めます。
やがて卵が1つずつ割れ、中から可愛らしい黄色いヒナたちが生まれました。
ですが、一番大きな卵だけが中々生まれてきません。
しばらく経ってやっと生まれたそのヒナは、たいそう体の大きな黒く醜い姿をしていました。
他の兄弟やアヒルたちは彼を醜いと苛めます。
仲間外れにされていた彼はいつも1人で遊びました。
はじめは庇っていた母親も、「本当に醜い子。いっそ生まれてこなければ良かったのに」と言うようになりました。
それでとうとう耐えられなくなったアヒルの子は、家族のもとから逃げ出します。
他の群れを頼るアヒルの子でしたが、どこに行っても嫌われます。
アヒルの子は人目につかない場所で眠り、起きては逃げる毎日を送りました。
そんなある日、アヒルの子はこれまでに見たこともないような、美しいものを目にします。
――それは、純白の白鳥の群れです。
「あんなに綺麗な鳥になれたら、どんなにか幸せだろう」
まだ飛べないアヒルの子は、その美しい鳥たちが空の彼方へ飛び去っていくのを、いつまでも眺めていました。
そうしてすぐに、寒い冬がやってきます。
アヒルの子はうずくまって、孤独と寒さに震えながら厳しい冬を過ごしました。
しばらくしてようやく春を迎えましたが――その頃にはアヒルの子は、生きることにすっかり疲れ切ってしまっていました。
「みんなから酷い目に遭うより、あの美しい鳥に殺されたい」
白鳥に殺してもらおうと考えたアヒルの子は、あの日見た湖に向かいます。
――しかし、そこで水辺に映った自分の姿にアヒルの子は驚きます。
そこに映っていたのは黒く醜いアヒルの子ではなく――白く光り輝く、美しい白鳥だったのです。
彼はいつの間にか大人となり、見事な白鳥へと成長していました。
自分を醜いアヒルの子だと思いこんでいた白鳥の子は、こうして白鳥の群れに仲間として迎えてもらえたのでした――。
(才ある者の立身出世物語なのか……それとも、自分を慰める小人物の妄想なのか)
師匠を――ハネットという青年について、考える。
この集落を、『暇潰し』のために作ったという彼のことを。
“何もかも、どうでもいい――”
念じれば敵が死に。
指を鳴らせば家が建ち。
手を伸ばすだけで欲しい物が向こうから飛んでくる。
そんな、孤独な大魔法使いのことを。
(……ああ、そうか)
願った時点で、結果を得ることが出来るのなら。
――きっとその者には、『目的』というものが、無い。
目的に、目標になりうるほど困難なものなど、存在していないのだから。
ただ目覚め、息をするだけ。
それが彼にとっての、生というもの。
――彼には、『生きている意味』が無いのだ。
絵画に用いる顔料は、混ぜれば混ぜるほど黒に近付いていくと言う。
それともそれは混沌とは正反対の、泣き疲れて枯れた先の無であるのか。
貴方の紡ぐ言葉は、あんなにも慈愛に溢れているのに。
――貴方自身の瞳には、深い絶望だけがある。
やがて、机に1羽の小鳥がやってくる。
小鳥は師匠から一番遠い位置に止まり、机の上をぴょんぴょん跳ねる。
師匠は動かぬように気をつけながら、それを微笑ましそうに眺めている。
その慈しみに溢れた空間は、まるで大聖堂の聖母の絵のように神聖な光景に思えた。
――師匠は、小鳥に決して触れようとはしなかった。
まるで、自分が触れたら傷付けてしまうと――そう言うかのように。
自分は1人きりなのに。
彼は楽しそうにしている誰かを――世界を眺めて、それなのにただ、満足そうに笑っているのだ。
――この青年を苦しめる全てのものが滅びればいいと、そう思った。
(醜いアヒルの子は、最後に自分が白鳥であった事を知る……)
――だが、現実とおとぎ話は違う。
彼が白鳥であるのならば、どちらにしろアヒルの世界に居場所は無いのだ。
ここは鳥の住まう青空ではなく――人という名の獣が這いずる、地獄なのだから。
私は簡単に準備を済ませ、彼へと歩み寄る。
彼を独りにさせないために。
醜いアヒルの子は、その逃避の果てに死を求め……そしてそこで、自らを映す湖と出会った。
――ならば、私がこの青い瞳で、湖の代わりに貴方を見よう。
そして、いつの日にか。
貴方が歩みを止めた時には……教えてあげよう。
――貴方に、価値があることを。
桜を美しいと思うか、美しすぎて下に死体が埋まっているのではと考えるかは人による訳です。
●桜の花言葉
・優れた美人
・精神の美
・純潔
・高尚
・善良な教育
・淡白
・冷静
・気まぐれ
・ごまかし
・私を忘れないで
・あなたに微笑む
そして次回、サイコ回。