おっちょこ
歪みましておめでとうございます
♠︎深夜のコンビニにて
「いらっしゃいませー。」
「おい、手を上げろ。強盗だ。」
「…。」
「手を上げろ。」
「…。」
「手を上げろ。」
「…。」
「手を上げろ!殺すぞ!」
「…フッ。」
「な、何がおかしいっ。」
「だって…。アハハ。」
「何がおかしいんだ!教えろ!」
「目出し帽の裏表が逆じゃないですか。」
「…えっ?」
「ほら。そこの鏡見て。」
「…あっ。」
「登場からずっと面白かったですもん。」
「…。」
「逆の立場で考えてみてください?あなたはコンビニに一人。そこに強盗がやってきます。しかし目出し帽は裏表逆。そんなやつが言う、手を上げろ!って超面白くないですか?」
「…フッ。」
「ねっ?面白いでしょ?そんなやつすぐミスしそうだもん。バターナイフで脅して来たりしそうだもん。カラーボールとかすぐ当たりそうだもん。」
「ゴッ、ゴチャゴチャ言ってると本当にやっちまうぞ!」
「あれ?図星?どうせアレでしょ?逃げるときもときどき小銭をチャリンチャリン落とすんでしょ?」
「お、おい!これが怖くないのか?」
「あっ、本当にバターナイフじゃん。」
「…くっ!」強盗は逃げる。店員はカラーボールを投げる。
「あっ、一発目で当たった。あれ?小銭落ちてる。あっ、こっちにも。あれ?こっちにもある。」
店員は店内を出て小銭を探す。そして叫ぶ。
「これあいつの家にたどり着くんじゃねぇ?」