現実世界の勇者の日常
各章の終わりに、現実世界に飛ばされた勇者の話を載せたいと思っています。
現実世界 6時30分 葉隠家2階
ここはどこだっけ?
「グハッ!!」
少年にはいままで感じたことのないほどの『重力』がかかっていた。
そ、そうだ。ぼ、僕は現実世界に来たんだった!!
お、重い!!
スキルの効力が切れかけてる?
早く『対重力用スキル』を発動しないと潰れちゃうよ!!
「お兄ちゃん、朝だよ…お兄ちゃん!?」
た、助けて!!
助けを呼ぼうにも、声が出ない。
「大丈夫お兄ちゃん、しっかりして!!」
や、やばい、意識が!!
勇者は必死の思いで、声をふりしぼった。
・・・ス・・キル・・・発動!!
ハー、ハー、ハー、ハ~。
「・・・ま、間に合った」
女の子は心配そうにこっちを見ていた。
「・・・お兄ちゃん、大丈夫?」
「・・・お~い!お兄ちゃん?」
まずい!
完全に不審がられてる。
「う、うん、大丈夫。心配いらないよ」
「・・・ならいいけど」
「妹の私に心配かけさせないでよねーもう!!」
この女の子はこちらの世界の僕の妹で、名前は葉隠若葉。
「おはよう、若葉。紅葉。」
「おはよう。と、父さん。」
新聞を読んでいる眼鏡の男は、この世界での僕の父。
「うう~、母さん!!」
父さんが急に泣き出してキッチンに向かった。
「母さん。紅葉が1年と263日ぶりに私を『父さん』と呼んでくれたぞ!!」
そんなことを言う父の顔面に次の瞬間、拳がめり込んだ。
「てめーは朝っぱらからウルサイんだよ!!」
今、粗暴な口をきいたのが僕の母だ。
なんでも、父と結婚するまでばりばりの『ヤンキー』だったらしい。
こっちの世界は、毎日にぎやかで楽しい!!
毎日新しいことに出会う。
・・・狭間の世界の僕はなにをやってるんだろーなー・・・
そんなことを、たまに思っている。