最強の勇者!?
「この程度のモンスターに勝てねーようなやつが、この先、生き残れるわけがねーんだよ!!」
「そんな、無茶なのです。第一紅葉さんはなんの武器も持ってないのですよ」
「そんなの、素手で戦えばいいじゃねーか」
「ギャウァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「ああもう完全にキレてるのです。紅葉さんがそんなになめたこというから」
「まあこれくらいの方がおもしろいってww」
「…来いよ!!1分で終わらせてやる!!」
先手を取ったのは黒龍の方だった。
紅葉に向かって『黒い炎の玉』をはいたのだ。
「うお!なんだありゃあ!!」
「よけてください紅葉さん!!あれに当たったらいっかんの終わりなのです!!」
ワイシャツの胸ポケットから妖精が顔を出した。
「…お前、逃げたんじゃなかったのか?」
「今あなたに死なれては困るのです!!この場は私がサポートするのです!!」
「…振り落とされるなよ!!」
「龍の『弱点』は頭のこめかみ周辺です。それ以外の場所は、堅い外甲におおわれていて打撃ではほとんどダメージを与えらないのです!!」
「…頭、か」
「奴は口から炎を出すのです。チャンスは限られてくるかと」
「は!何言ってやがる、チャンスってもんは待っててもやってこねー、自分で作るもんだ!!」
「チャンスを作る?いったいどうやって」
「…まあ見てな」
ズドーーーン!!
紅葉は龍の『腹部』を力いっぱい蹴り上げた。
「だめです、腹部は堅い外甲でおおわれて…」
「ギャウァアアアアアアアア!!」
「…え?…効いてる!!」
「でもどうして!?」
腹部の外甲の一部が砕けていた。
「堅い外甲つっても攻撃を無効化してるわけじゃないんだろ」
「防御力が高いってだけで、その防御力を上回る衝撃を与えれば…ダメージがあっても、なんら不思議じゃねえだろ!!」
「ただの蹴りで外甲を砕くなんて、どんなパワーですか…」
「さあ、どんどんいくぜ!!」
紅葉はモンスターを蹴りつづけた。
腹部、足、腕、、背中、肩。
紅葉は龍の体を蹴りつづけ、殴りつづけた。
外甲のほとんどが砕け散り、龍はもう虫の息だった。
「そろそろとどめだな!!」
紅葉は高く飛び上がり、龍の頭を踵で蹴り落とした。
龍の体は地面にめり込み、肉片や外甲が四散した。
「…討伐完了だ!!」
妖精チルは四散した黒龍を拾い集める作業をしていた。
「…すごい、ここまで圧倒的だなんて」
「これならば本当に、世界を変えてしまうかもしれないのです」
「あーあ、『クロちゃん』やられちゃった。か弱くてお気に入りのペットだったのに」
「お気に入りのペットで『腕試し』をしたお前の自業自得だ!!」
「…それに、ペットを殺されたのに随分と嬉しそうじゃないか!!『サタナキア』」
「ええ、そう?」
「…でもあなたも随分うれしそうね、『アスタロト』」
「ふふ、まあな。久しぶりに、おもしろそうな奴にあえたからな!」