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不良勇者のチートな異世界物語!!  作者: 白猫
第2章 不良勇者の武者修行
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決着!!

ハルカの大剣が体をかすめる。


たった数分の戦闘で、体中に無数の切り傷。

幸いなことに、どれも致命傷ではない。


懸念すべきは、ハルカのスピードである。

最初は大したスピードではないが、徐々に加速して目では追えなくなる。それどころか、ハルカが加速するにしたがって足音がしなくなるのだ。


一体…どんなトリックつかってんだ?

加速するには地面を強く蹴る以外の方法はない。

では、なぜ足音が消えるのか。


足音が無いせいで、簡単に背後を取られてしまう。

このままでは、とてもではないが勝てない。

勝つためには、ハルカの加速トリックを見破らなければ。


ハルカの走り出しから加速までを観察する。

全身をくまなく観察することで気づいたことがあった。

ハルカは加速する瞬間、何かをしゃべっているのだ。


「***************」

ダメだ、何をしゃべっているのかさっぱりわからない。

どうやら俺の知っている言語ではないようだ。

そもそもあれは言葉なのだろうか?


決闘を初めて10分が経過しようとしていた。


俺はまだ、ハルカの高速移動のトリックを謎をつかめていない。

体の傷は増えるばかり、戦局は俺の防戦一方である。


だが、だんだんとハルカのスピードに慣れてきたのも事実ではある。

ハルカを目で追えるようになってきた。

ハルカに攻撃がいくらかは当たるようになってきた。


「…やるね、このスピードまで着いてこれたのは君が初めてだ。さすが、伝説の勇者だ。戦いの中で強くなっている。すばらしいセンスだよ。」

「…絶賛ボロ負け中の俺をほめるなんて、ハルカはやさしいんだな。」


実際のところ、俺は非常に悔しかった。

始める前は、ここまで歯が立たないなんて思わなかった。

だが認めるしかない。これが今の俺と超級勇者の力の差なのだ。


「もう少し君と戦いたいのだが…こちらも君からのダメージで限界だ。全力で決めさせてもらうよ。」


体力の限界?…いったいなぜ。

俺の攻撃は、まだ数発しか当たっていない。

それも体に少しかすった程度の攻撃しか…。


そんなことを考えている暇はなかった。


ハルカの攻撃は、今までとは比べものにならないほど速くなった。

俺は、絶望にも似たものを感じる。


あのスピードのさらに上があるのか。


ハルカの姿を目で追う事はもはやできない。

もう俺に、勝ち目はないのか。


俺の背筋に悪寒が走った。

俺は、その方向に蹴りを入れる。

考えての行動ではない。それは反射的な行動だった。

人間は身の危険を感じると、考えるより先に最前の行動をとる。それが『反射』だ。

俺の放った蹴りはまさにそれだった。


蹴りは見事ハルカの胴にヒットした。

蹴りをくらったハルカの体が宙を舞う。

そして地面へと落ちる。


今の一撃で気づいた事がある。

蹴りがハルカに近づくにつれて足が軽くなり、蹴りが加速した。

そして、蹴りがハルカに当たる瞬間足が重くなり失速した。


「わかったぞハルカ。お前の加速トリック!!」


「お前は自分の周りの重力を変えて、加速していたんだな。」


これで、わかった。

なぜ、かする程度だった俺の攻撃でハルカがダメージを受けているのか。

戦闘中は反撃に集中しすぎていてわからなかったが、あれも重力の関係だ。

おそらく、ハルカに攻撃が当たる直前に重力が下がり攻撃が加速したのだろう。

加速した俺の攻撃は、かするだけでもかなりのダメージになっていたのだろう。


ハルカは、ゆっくりと立ち上がる。

俺の蹴りが当たる瞬間に、重力を強くして蹴りの威力を殺したのだろう。

それでも胴への一撃、かなりのダメージだったようだ。


「すばらしいよ紅葉くん。『スキル』すら何なのか知らないきみが気づくとはね」

「きみの言った通り、僕が加速に使用していたのは『重力変化』だ

 …本当は他のスキルもあるんだけど。知識のないきみに複数のスキル同時使用はフェアじゃないよね」


それにしても困った。

なにかのトリックで加速していると思っていたが、違った。

これはハルカの能力だ。

加速を止めるすべはない。


「**************」

ハルカがまた何かの言語をしゃべっている。


「…うぐ、な、なんだ、これ!?」

急に体が重くなった。


「私のスキルは『重力変化』。紅葉くんの周りの重力を変えさせてもらったよ。」

これでは反撃はもちろん移動もままならない。


「大人げなくないか?」

「そんなことはないよ。僕はキミとはいいライバルになれると思ったんだ。ライバルには負けたくないものだろう。…でも今回は、僕の勝ちだね。」


ハルカの斬撃が、俺の胴を打ち抜く。

ハルカの攻撃は美しいまでにクリティカルヒットした。


体が真っ二つになっていない。

どうやらみねうちだったようだ。…だがもう立ち上がる力は残っていない。


ハルカは大剣の先をこちらに向ける。

「僕の勝ちだ。これできみは、僕の弟子だね。…それとも、まだヤるかい?」

今の俺では、いくら戦っても結果は同じだろう。

「…わかった、降参だ。俺を弟子にしてくれ、ハルカ。」


勇者紅葉vs勇者ハルカ

15分36秒 勝者:勇者ハルカ


こうして、俺とハルカの決闘は幕を閉じた…。












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