ランクup!!
俺とチルは、『役所』に向かっていた・・・・・
もちろん理由は存在する。
チルの話によると、役所に一定量の金を納めることで、勇者としてのランクが上がるらしい。
「紅葉さんは、今回いくらの寄付をするのですか?」
チルは、俺にそう質問してきた。
「ん、まあ当面の生活費も必要だし、今回は100万ってとこだな。」
しばらく歩くと、役所に着いた。
役所の前には、立札があった。
その立札にはこう書かれていた・・・
『以下の金額を納めた者のランクを1上げるものとする。』
下級勇者
100万円 ランク1⇒2up 下五級勇者
500万円 ランク2⇒3up 下四級勇者
1000万円ランク3⇒4up 下三級勇者
2000万円ランク4⇒5up 下二級勇者
3000万円ランク5⇒6up 下一級勇者
中級勇者
1億円 ランク6⇒7up 中二級勇者
2億円 ランク7⇒8up 中一級勇者
上級勇者
10億円 ランク8⇒9up 上級勇者
超級勇者
100億円 ランク9⇒10up 超級勇者
俺たちが今回納める金額は100万円。
現在、ランク1の俺は、これでランク2になることができる。
役所の中は吹き抜けのロビーになっていた。
なんて広さだろう・・・
ここで野球ができるのではないだろうか。
そう思ってしまうほど広いロビーが、目の前に広がっていた。
ロビーの中には、一定間隔で『受付』のような場所が置かれていた。
どうやら、あそこで金の入金を行うようだ。
「いらっしゃいませ。こちらへどうぞ。」
受付嬢は笑っていた。
だがそれは作り物の笑顔にすぎない。
コンビニやスーパーなどで買い物をした後の『愛想笑い』のような物だ。
俺は、その女の前に座った。
「今回、勇者さまはいくらほど寄付されるおつもりですか?」
女はさらに続けた。
「ランク1の勇者さまでしたら、最初は10万円ほどが妥当な金額かと思いますが・・・いかがでしょう」
「じゃあ・・・コレで」
俺は、女の前に100万円の束を出した。
「100万円ですか。よろしいので、こんな大金を!!」
女は動揺した様子だった。
普通、ランク1の勇者が100万円の束を出すなんてありえない。
ホームレスが100万円の束を出すくらいの暴挙である。
「100万でいい、金には困ってねえし」
女は釈然としていない様子だった。
「・・・はあ、ではすぐに、『赤の勲章』をご用意いたします」
「少々お待ちを・・・」
勇者のランクの見分け方・・・それは胸についた『勲章の色』で見分ける。
ランク1には勲章がない。
ランク2~6は『赤の勲章』。
ランク7~8は『銅の勲章』。
ランク9は『銀の勲章』。
ランク10は『金の勲章』。
このようにして、勇者のランクは見分けが付く仕組みになっている。
しばらくして、奥の扉から女がでてきた。
その手には、赤の勲章が握られている。
勲章を胸にあてつけ、俺は役所を後にした。
「しっかし、こんな小せえもんが100万円と同価だと思うと・・・気がめいるな。」
「その勲章は勇者としての証、証は自分の価値を証明するもの。勲章には、それだけの価値があるということなのですよ。」
一日の用事を終えて、俺は宿屋を探していた。
「ちょっとそこの勇者さん。」
振り返ると、そこには15歳くらいと思われる少女が立っていた。
その少女の胸には、『金の勲章』が光っていた・・・・・・