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プロローグ!!
俺は1年に1度、もったく同じ夢を見る。
それは、俺が勇者をやっている夢。
勇者は、モンスターと戦っている。
普通の勇者なら、ここでモンスターを蹴散らしてカッコよく決めるところだろう。
だが、夢の中の俺は違う。
勇者がとる行動は『逃げ回る』だけ。
高い技量や能力があっても『度胸』がない。
モンスターを前にすると、逃げ回ることしかできなくなる。
いわば『ヘタレ』である。
そんな俺を見ていると、なんだかもどかしさを感じる。
そんなに恐いなら戦わなければいいのに。
変われるものなら、俺と変わって欲しいくらいだ。
俺は、この世界でいうところの『不良』である。
別にやりたくてやっているわけじゃない。
問題やら何やら、すべて自分では起こしたことは1度もない。
喧嘩などは、『ふっかけられる』のが日常である。
昔はいた『友達』も、ここ数年、できたためしがない。
…まあ、常に喧嘩三昧の俺と仲良くなろうとする物好きもめずらしいか。
…はあ、『異世界に行けたらいいのに…』
まあ、そんなことが無理なのは俺でもわかることだが…。