星に願いを
冬の空は星がきれいですよね。
冬の湖の上で、満天の星空のした。
そんな情景を思い浮かべながら。
冬のある日、私はなるべく灯りのない、湖で空を見ていた。
満天の星空はどこまでも吸い込まれそうで。ふと見上げてはずっと見続けてしまう。
それはこの空が綺麗なのもあるかもしれないけど、――いや普通はそうなんだけど――今の私はもう一つ理由があった。
それはきっと彼女が星の魔法使いだから。
彼女もこの空を見てるだろうか。でも、その傍らには例の雑貨屋の店主の姿があるかもしれない。それでもいい。もし、同じ空をみていてくれていたら。そう思うだけで、胸の鼓動が高まる。そんな事を伝えたら、びっくりしそうね。
でも私は彼女の傍らにいたい。だから私はこのあまりに多い、星座も分からない様な満天の星空に願いをかけよう。近いうちに彼女の隣に並べるように、と。
「んあ?早苗か?」
「―――ッ!?」
私は驚きで悲鳴をあげようとしたけどそれさえ出来なかった。
それはいきなり声をかけられたから。考えていた内容か内容だけに、声に出ていたら恥ずかしいから。そしてなにより、声を掛けてきた相手がずっと頭の中を支配していた霧雨魔理沙その人だったから。
「落ち着いたか?」
「まぁ、はい。それなりには」
嘘だけど。
さっきは15秒ぐらい絶句してそのあとパニックになり、それだけでも恥ずかしいのに制御を誤って湖に落ちそうになってしまった。そんな私を見かねてなのか、魔理沙は私を彼女の家にと招いてくれた。
はっきり言って、ドキドキが止まりません。落ち着ける訳がありません。
「で、あんなところでなにしてたんだ?」
さぁ、困った。まさか「あなたの事を想って夜空に願い事をしてました」なんていえる訳がない。ちょっと変な事を言う事はあってもそんなロマンチストタイプだとは思われてないだろうし、そんなのは告白同然じゃないか。ここははぐらかすしかなさそうかな。
「そう言う魔理沙さんはなにを?」
「私は…その…なんだ。正直に言うとパチュリーと弾幕やってたらこんな時間になっただけだ。」
なぜ言いずらそうだったんだろう。
「で、早苗は何を?」
「て、天体観測ですかね」
あながち間違ってはないと思う。そら見てたし。
「じゃあなにか呟いてたのはなんだ?」
その時魔理沙の顔が一瞬だけ自虐的な笑みを浮かべた。様な気がした。「どう答えるんだ?」みたいな。…。要するにずっと後ろにいたし、声に出ていたことも全部聞いていたと。そう言うことですか。
もう言い逃れは出来ないだろうし、聞かれたみたいだから素直になろうかな。
「…全部聞いてたんですか?」
「まぁな」
あっさり言ってくれましたよ、この人。
「じゃあ、私の気持ち、分かってくれたんじゃないんですか?」
「………。」
なぜそこでだまるの…?
この気持ちは厄介なの?
…。
どうしようもない沈黙が流れて、しばらくして沈黙は破られた。
「同じ、だったんだよ」
「え?」
「気持ちが、さ。早苗と。」
…。つまり、魔理沙さんも私の事が…。
急に体中が火に炙られた様に熱くなった、気がする。
「そこで黙んなよぉ…」
「え、と。つまり…」
「あんたが私を想ってくれてる様に私もあんたを想ってたんだよ!そこまで言わせないでくれよ…。………。とんだ羞恥プレイだぜ…」
これは!?
いわゆる両想いってやつでは!?
「魔理沙さん」
「んだよぉ…」
「好きです」
「あ、あぁ。」
「だから付き合って下さい。お願いします」
「…なぁ。」
「は、はい」
「その、なんだ。さっきの気持ちの確認は私なりの告白…みたいなつもりだったんだが。」
「あ、すいません。テンパってて。そ、それじゃあ不束者ですが…」
「気が早くないか?」
かくして私の願い事はあっさりと、と言うかこんなにも早く実現したのです。
だから私は星空を時折みては、暖かな気持ちになっていくのでした。
Fin
はい。
早苗はどんなキャラでもいけますが、
純朴、純粋、健気もアリですね。