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異世界で可愛い動物カフェを開店したのに、なぜかみんな僕を怖がるんですが!?  作者: ファースト


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第6話:閑散とした市場と、最高級のドリンク素材!

家具やお店の装飾品の手配を終え、僕の次の目標は……食材の調達だ!


カフェを開くのに、飲み物やスイーツがないなんてありえないでしょ?お菓子作りはあまり得意じゃないけど、コーヒーや紅茶を淹れることに関しては絶対の自信があるんだ。サラリーマン時代、毎朝上司や同僚にコーヒーを淹れる係を任されていて、すっかりプロ級の腕前になっちゃったからね!


「市場に行こう、お前ら!コーヒー豆と茶葉、それからクロのために新鮮なお肉も買いだめしておかないとな」


「ニャ〜」と、僕の腕の中でクロが返事をし、頭の上に乗っているモチもぽよんぽよんとリズミカルに震えた。


僕は『マップ』スキルを使って、アルテラの街の市場エリアへとナビゲートした。道中、機嫌よく鼻歌を歌いながら歩いていたんだけど、市場の入り口に到着すると……。


あれ……?


なんで市場が、墓場みたいに静まり返ってるんですか!?


屋台やお店は開いていて、テーブルには商品が山積みになっているのに、客引きをする商人の声が全く聞こえない。行き交うはずの客の姿も完全に消え失せている。辺りを見回すと、何人もの商人たちが自分のテーブルの下に隠れ、ガタガタと震えているのが見えた。中には野菜のカゴを頭から被っている人までいる。


これって、この世界の祝日かなんか?それとも、みんなでかくれんぼでもしてるの?


僕はポリポリと頭を掻きながら、一番近くにあったハーブや種子を売っているお店に近づいてみた。屋台越しに覗き込むと、立派な髭を生やした商人のおじさんが、店の奥で目をぎゅっとつぶって体育座りをしていた。


「あの……すみません、おじさん。コーヒー豆とか、香りのいい茶葉って売ってますか?」


髭のおじさんはビクッと体を震わせ、目を開けて僕を(そして僕の頭の上のスライムを)見たかと思うと、紙のように顔を真っ青にした。そして慌てふためきながら這って店の奥にある鉄の箱を開け、震える手で真っ黒な布袋を二つ取り出し、僕に差し出してきた。


「そ、そのような品は持ち合わせておりません!し、しかし、死の火山で採れた『漆黒の獄炎豆』と、『魂喰らいの魔樹の茶葉』ならございます!あなた様がお求めなのはこちらでしょう!ど、どうかお受け取りください!私が最高の状態に抽出いたしました!お、お店に呪いをかけるのだけはご勘弁を!」


うわぁ……この世界の食材の名前って、中二病全開だな。『漆黒の獄炎豆』?『魂喰らいの魔樹の茶葉』?なんて大げさなネーミングなんだ。ここのマーケティング戦略は本当に優秀だな。


袋の口を開けてみると、一つ目の袋には、ツヤが出るまで焙煎された濃い色の豆が入っていた。最高級の深煎りエスプレッソのような、濃厚で素晴らしい香りが鼻をくすぐる!もう一つの袋に入っていたのは深緑色の茶葉で、ミントとカモミールをブレンドしたような、涼しげで爽やかな香りがした。匂いを嗅いだだけで、ものすごくリラックスできる!


「すごくいい香りですね、おじさん!最高の匂いです。これ、両方とも麻袋で一つずつください!あ、それと、新鮮な肉を売ってるお店はどこですか?うちの子たちに美味しいお肉を食べさせてあげたくて」僕は満面の笑みで言った。このお店の食材、すっかり気に入っちゃったよ。


髭のおじさんは震える指で、3本先の路地にある肉屋を指差した。


「じゃあ、お支払いはこれで。麻袋の分も含めた食材全部の代金です」僕は布袋の中に手を入れた。金貨は価値が高すぎるということを学習したので、今回は小さな赤い宝石(宝箱の中で一番小さかったやつ)を取り出し、テーブルの上に置いた。


その赤い宝石を見た瞬間、おじさんは目を限界まで見開き、口をパクパクさせたかと思うと、そのまま後ろに倒れて気絶してしまった!


「あれっ、おじさん!立ちくらみですか。今日は暑いですからね」僕は心配になって身を乗り出したが、ちゃんと息をしているのがわかったので、そのままにしておくことにした。宝石をそこに置き、僕は『コーヒー豆』と『茶葉』の入った麻袋を肩に担ぎ上げた。


その後、肉屋にも立ち寄り、巨大な『極上の牛肉』(肉屋の主人は『狂乱のベヒーモスの肉』とか何とか言っていた)の塊を手に入れた。立ち寄ったすべての店で、商人たちは僕の手に商品を押し付け、僕が買ってくれたことに感動の涙を流さんばかりの表情(たぶん?)を見せていた。


僕は荷物を担ぎ、上機嫌で街の端にある館へと歩いて帰った。


しかし、館の門の前に到着した時、僕は驚きの光景を目にした。


商人ギルドの仕事、早すぎでしょ!!


何十台もの馬車が館の前にずらりと並び、マッチョな運送業者たちが猛ダッシュでテーブルや椅子、ソファ、装飾品を運び込み、光の速さで広間に綺麗に配置していたのだ!


「おい!早く配置を終わらせろ!魔王……いや!あのお方がもうすぐお戻りになるぞ!万が一にでも傷をつけたら、俺たち全員食い殺されるぞ!」現場監督らしき男が、滝のような汗を流しながら裏返った声で部下に指示を飛ばしている。


門の前でニコニコと立っている僕に気づくと、彼らは全員ビクッと飛び上がり、手に持っていた空箱を放り投げて馬車に飛び乗った。そして、嵐のように土煙を上げて一目散に走り去ってしまった!


「あれ、行っちゃった。まだお礼も言ってないのに!この街の配送・設置サービスって、迅速すぎてISO基準すら超えてるよ!」僕は遠ざかる彼らの背中に向かって叫び、ひらひらと手を振った。


館の中に足を踏み入れると……おおっ!


かつて空っぽだった大広間が、超高級なクラシック風のカフェに生まれ変わっている!ピカピカに磨かれた木製のテーブルとふかふかの椅子がゆったりとした間隔で配置され、お客さんがペットと遊べる大きなソファもある。飲み物を作るためのバーカウンターも部屋の隅に完璧に設置され、おまけに部屋の中央には分厚くて柔らかな絨毯まで敷かれている。


「すげええ!まさに夢にまで見たカフェだ!」僕は食材の入った麻袋をカウンターに置き、その見事な仕上がりを誇らしげに眺めた。(他の人がやってくれたんだけどね)


「ニャ〜」クロは自分の役割を理解しているかのように、高価な布張りのソファに飛び乗って丸くなった。モチも僕の頭からぽよんと降りて、バーカウンターをピカピカになるまで磨き始めた。


全てが整った!食材ヨシ!店舗ヨシ!従業員ペットヨシ!


明日の朝……サトウ・サトルの『もふもふモンスターの可愛いペットカフェ』が、いよいよ正式オープンだ!!


……しかし、開店日を目前に控えウキウキしている僕が知る由もないことだが、その頃、冒険者ギルドは『魔王の拠点が遂に完成し、明朝にも総攻撃を開始する準備が整った!』として、王国全土にSSS級の指名手配と緊急脅威警報を発令していたのだった!!

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