表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で可愛い動物カフェを開店したのに、なぜかみんな僕を怖がるんですが!?  作者: ファースト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/7

第3話:呪われた館?何もいないじゃないですか!いるのはスライムの清掃員だけですよ!

僕は宿の店主が言っていた通り、アルテラの街の北へ向かってクロを抱きながら歩いていた。奥へ進むにつれて人通りはまばらになり、やがて民家すら一軒もなくなった。辺りは静まり返り、自分の足音とクロの小さな寝息だけが聞こえる。


ホラー映画に出てくるような薄暗い霧が立ち込めている。でも、深夜2時のオフィスでたった一人、点滅する蛍光灯の下、エアコンの唸り声を聞きながら残業していた僕にとっては……こんなの全然余裕だね!


しばらく歩くと、目の前に目的地が見えてきた。


うおっ……これ、館っていうかお城じゃないか!?


目の前にそびえ立つのは、巨大なゴシック様式の洋館だった。真っ黒な石壁は濃い緑のツタに覆われ、巨大な鉄格子の門は古びて錆びついている。敷地内は雑草が生い茂り、一見すると誰も近寄らないお化け屋敷のようだ。


でも、自分のビジネスを持つことを夢見ていた元社畜の僕の目には……これは超・好立地ゴールデンロケーションにしか見えない!これだけ広い敷地があれば、もふもふの子たちのためのプレイスペースだって余裕で作れるぞ!建物自体も大きいから、カフェエリアと居住エリアに分けるのにもぴったりだ!


「よし、クロ!ここが僕たちの秘密基地……いや!記念すべきカフェ第一号店だ!」僕は興奮気味に言った。


「ニャ〜」とクロは小さく鳴き、館の奥を見つめた。その琥珀色の瞳が一瞬鋭く光ったかと思うと、再び僕の胸に顔をうずめた。


大きな鉄扉を押してみると、想像していたようなギシギシという嫌な音も立てず、あっさりと開いた。敷地内に足を踏み入れると、周囲に立ち込めていた霧が、まるで僕のために道を空けるかのようにスッと晴れていく……。ちょうど風が吹いたのかな。


建物の巨大な木製の扉の前に着き、僕はそれを押し開けた。


ギィィ……。


中は薄暗く、埃まみれで、カビ臭い匂いが鼻をつく。家具にはボロボロになった白い布が被せられている。僕はその辺に落ちていた木片を拾い、簡易的な松明代わりにして奥へと探索を進めた。


すると突然、腕の中からクロが飛び降りた。僕の前に立ちはだかり、全身の毛を逆立て、尻尾を膨らませて威嚇の声を上げたのだ!


「シャーッ!!」


「ん?どうしたの、クロ?ネズミでもいた?」僕は顔を覗き込んだ。


大広間の隅で、巨大な黒い影がうごめいていた。それは小型車ほどもある、濃い紫色のドロドロとした塊だった。そいつは木製の椅子を飲み込み、一瞬で跡形もなく溶かしてしまった!シュウシュウと酸が溶ける不気味な音が響き、石の床すらも欠け落ちている。


ちょ、待って……あれって、スライムじゃないのか!?でも、なんであんなにデカくて超危険そうなんだよ!僕が読んできた異世界小説や漫画じゃ、スライムってもっと小さくて、ぷにぷにしてて、鮮やかな水色で、可愛いもののはずだろ!


【システムステータス】警告:『捕食スライム(都市壊滅・災害級)』に遭遇しました。

状態:極度の飢餓・凶暴化


目の前にシステムウィンドウがポップアップした……。都市壊滅級!?ふざけんな!完全にボス級モンスターじゃないか!そりゃみんなこの館を怖がるわけだよ!


巨大スライムがバッとこちらを向いた(目はないけど)。そして猛スピードで突進してきた!僕とクロを飲み込み、一瞬で溶かすつもりだ!


ヤバい!なんか使えるスキルはないのか!?

『温もり』!?『動物調教テイム』!?


ええい、ダメ元だ!


僕は両手を前に突き出し、『温もり』と『動物調教』のスキルを同時に全力で発動した!


「落ち着いてぇぇぇ!いい子だからぁぁぁ!」僕は目をぎゅっとつぶって叫んだ。


ブワァァァッ!


黄金色の温かい光が僕の手から溢れ出し、突進してくる紫色の巨大スライムの体を包み込んだ。


死の酸の塊が、空中でピタッと止まった。ブクブクと煮えたぎっていた酸の音が、次第に小さく……小さくなっていく。小型車ほどの大きさだった体もどんどん縮んでいき、おどろおどろしい濃い紫色から、透き通った可愛らしい薄ピンク色へと変化していった。


そぉっと目を開けると、そこには都市壊滅級の死のスライム……ではなく、サッカーボールサイズの、ぷにぷに、ぽよぽよした小さなスライムがいた。そいつは僕の足首にすりすりと甘えてきている。


えっ……?


僕は足元で靴の掃除をしてくれている小さなスライムを見下ろした。(埃や汚れを食べてくれたらしく、僕の靴は新品のようにピカピカになっている)


「えっと……さっきのはシステムのエラーか何かか?こんなに小さくて、可愛くて役に立つ子が、都市を壊滅させられるわけないよな!」僕は声を上げて笑い、その子を抱き上げた。ゼリーのように冷たくて柔らかい。


「よし、お前はうちのカフェの清掃員第一号だ!名前は『モチ』でどうだ?」


モチは嬉しそうにぽよぽよと震えて返事をした。クロも近づいてきてモチの匂いを嗅ぎ、それから自分の毛づくろいを再開した。どうやら二匹は仲良くやれそうだ(たぶん)。


広大な土地を手に入れ、超絶可愛い黒猫を仲間にし、さらには優秀な清掃員までゲットした……。僕の可愛いペットカフェ計画、最高のスタートダッシュじゃないか!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ