第1話:街に着いたけど、なんでそんな目で僕を見るの!?
30分歩いて、ようやく到着した!街の城壁は途方もなく巨大で、めちゃくちゃ壮大だ。
僕は腕の中に黒猫を抱えながら、見上げるほど高い石壁を眺めていた。猫はもうぐっすり眠っている。僕の『温もり』スキルが効きすぎたのかな。最高の天然エアコンってところだね。
よし、いよいよ街に入るぞ!
僕は、鎧を着た二人の門番が立っているアルテラの街の門へと真っ直ぐ歩いていった。でも、僕が近づくと……。
「ひぃっ……!は、入るなっ!」
一人の門番が、幽霊でも見たかのように真っ青な顔をして悲鳴を上げた。
もう一人の門番に至っては、足がガクガク震えて地面にへたり込み、震える手で槍をこちらに向けている。
なんだこれ?なんでそんなに怖がってるんだ?僕は今着いたばかりなのに。それとも、僕の顔が盗賊みたいに見えるのか?
「えっと……街に入りたいだけなんです。誰かに危害を加えるつもりはありませんよ」
僕はできるだけ友好的な声で、親睦を深めようと満面の笑みを浮かべて言った。
でも、僕が笑えば笑うほど、二人の門番はさらに青ざめ、まるでマラソンでも走ったかのように滝のような汗を流し始めた。
「ど、どうぞ!お通りください、閣下!検問も通行料も不要です!だからお願いです、俺たちを食わないでください!」
僕は困惑しつつも、一銭も払わずにアルテラの街へあっさりと入ることができた。ちょっと罪悪感はあるけど、向こうがタダでいいって言うんだから、まあいいか。
中に入ると、街はものすごく活気に溢れていた。人があちこちを歩き回っていて、普通の人間に、アニメに出てくるような獣耳の人、さらにはドワーフまでいる!正真正銘の異世界だ!
でもね……。
なんで僕とすれ違う人たちは、みんな目を逸らすんだ?中には血の気を失って、急いで道の反対側へ迂回していく人もいる。僕を見ただけで大泣きし出して、母親に抱きかかえられて逃げられる子供までいた。僕の顔って、そんなに凶悪なのか?前の世界では、毎日上司に怒鳴られていたただの地味なサラリーマンだったのに!
僕は腕の中の黒猫を見下ろした。ちょうど目を覚ましたところで、大きな瞳で僕を甘えるように見つめてきた。
「お腹が空いたんだろ?そういえば、お前まだ名前がなかったな。うーん……真っ黒だから、『クロ』にしよう。どう?」
「グルァ……いや、ニャ〜」
クロは返事をしながら、僕の顎に頭をすりすりしてきた。めちゃくちゃ可愛い!異世界の猫って本当に甘えん坊だな。僕の『動物調教』スキルが効き始めたのかもしれない。
クロの可愛さに癒されていると、路地裏から街の人々がヒソヒソと噂話をしているのが聞こえてきた。
「おい、見ろよ……あいつ、災害級の『漆黒の魔虎』を抱いて、しかもサイコパスみたいな笑みを浮かべてるぞ……」
「ヒッ……なんだあの纏っている空気は。あの黒いオーラ……見ただけで魂を吸い取られそうだ。魔王の化身に違いない……」
は?漆黒の魔虎?黒いオーラ?魔王?一体なんの話をしてるんだ?周りを見渡してみても、怖い人なんて一人もいないぞ。もしかして、この辺りに危険なヤツでも隠れてるのか?
まあいいや。この街には変な人が多いんだろう。今の目標は、とりあえず何か胃袋に詰め込んで、それから僕の可愛いペットカフェを開くための場所探しだ!
「何か食べに行こう、クロ!」
「ニャー!」
大繁盛ペットカフェのオーナーになるための第一歩が、ついに始まった!




