【第17話】03 〜 雨宮香澄と紬の決意 〜
香澄と紬が目を覚ます。
朝日の差し込んだ、馴染みのあるいつもの場所。
子ども食堂『つながり』のテーブル席で、ふたりはうつ伏せに寝ていた。
「寝ちゃったのかなぁ……。あれ? 紬、ちょっと大きくなったみたい……?」
「やだ紬ちゃん、寝ぼけてるの? ちょっと居眠りしただけで、そんな竹の子みたいに成長するわけないじゃない……。二年生にしてはちょっと小柄なくらいよ」
「二年生……」
首を傾げて、紬がぼんやりとつぶやいた。
「なんかね、紬、ずぅ~っと長い夢見てたみたい」
「わたしも思い出せないけど、なんか怖い夢を見てた気がする……。坂田さんいないね?」
香澄が厨房を振り返る。
銀色に輝く厨房に、いつもの坂田佐和子の姿はない。
「香澄ねえちゃん、坂田さんが帰ってくるまえに、紬たちでお料理作れないかなぁ?」
「そうだね! いつまでも頼ってばかりもいられないし、きっと驚くよ、坂田さん!」
飛び跳ねながら、紬がはしゃいだ。
「いっぱい褒めてくれるよね、坂田さん!」
ふたりは厨房のなかで料理を始めた。
人参の皮をスライサーで剥きながら、香澄がぽつりと言う。
「わたし坂田さん大好き……。わたしも調理師免許とって、坂田さんみたいに子ども食堂を作るんだ」
香澄のそばに座って、玉ねぎの皮をむいていた紬が声をあげた。
「紬も手伝う! 紬もあったかいご飯、作れるようになるっ!」
そして恥ずかしそうに付け足す。
「……だから香澄ねえちゃん、ずっと紬と一緒にいてね」
包丁を置いた雨宮香澄が、しゃがんで小指を出した。
「……じゃあ指切りしようか。わたしと紬はずう~っと一緒。約束だからね!」
朝日に照らされた銀色の厨房で指切りをする、雨宮香澄と如月紬。
子ども食堂で出会ったふたりが深い絆で繋がる光景を、坂田佐和子はあたたかな眼差しでで見つめていた。




