第17話 ああ、文集に着手は2月だった
イカめ、2月でも半そで半ズボンで登校してきやがる。バケモノか?
「ををを、寒みーーーー!!」
いや、セリフと格好がぜんぜん噛み合っていないぞ。
こっちは上着はとうぜんのこと、手ぶくろも、マフラーだってしている。なにがやつにそこまでさせる?
「はいー、始めますからね」
「きりぃつ!」
「礼」
「おはようございます」
「はよざいまーす」
「おはよー!」
「あざまーす」
「あざーんす」
「ああーっす」
「おっす」
『オラ悟空』的なヒトいなかった?
「はい、おはよう。っさて、今日からみんなで文集を作ります」
「ええ〜!」
「ブンシュー? なにそれ」
「作文を書いてもらって、それをひとつにとじて本にするの。いい記念になるよぉ〜」
「作文! 終わた」
「まじでか。作文がいっちばんきらいなのに」
「まあそう言わないで。今度のは読んだ本のとかじゃなくて、自分自身の5年生を振り返ってほしい。この1年どうだったか。感じたこと。新しい発見。これからのこと」
文……集……だと!?
「きたッ!!」
「どしたの早川サン?」
立ち上がっていたか。
すごすごと座る。
「ああいえ、嬉しいなぁ〜って」
「なんだ、また廊下に立ちたいのかと思ったわ」
「いえいえ〜、どうぞお構いなく〜」
危っぶねえ。
おちつけ、まだ着手なんだ。ただ書き始めるだけで、製本はまだまだ先。
では今日から準備をしよう。目星をつけて、考えて、用意する。
対処方法。緊急連絡方法。避難場所。防災グッズ。武器防具。
準備を終えたならしばらく休眠しよう、もうひとりのわたしに任せて。文集を受けとった瞬間からが最後のスイッチになるはずだ。




