表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

柘榴石ノ月ノ刻‐一


「さて、と。」

星詠みの魔女から受け取ったものを、机の上に置いていく。

「“契約の首輪”に、念の為の“服従の足枷”、それから“召喚の魔法陣”……えーっと、『八割魔力が込められてるから、一割は供物を、残りの一割は召喚者の血を垂らすこと』だっけかな?」


リビングにあたる部屋を少し片付け、魔法陣を広げる。

「供物は……どこにやったかな……ま、召喚できりゃいいか。

雪解け水で育てたポットマリー、新月の日にしか咲かないルリジと……琥珀の葉をしたアンバーハーブ、これも入れとくか。」


魔法陣の上に薬草を並べていき、“仕上げ”としてナイフを左手で握る。

ぼたぼたと血が魔法陣に零れ落ちる。


『星の煌めきと混血の供物をお前に捧げる。我が呼び声に応え、契りを交わせ。』


淡く黄色に光り、風が吹く。


「……魔力が“皆無”な魔女様の血だ。大盤振る舞いしてやっから、意思疎通が図れるヤツを頼むぜ!」


光と風が激しさを増していく。


目が開けられない程になった頃、何かが“べちゃ”っと放り出された。


人間で言うところの十代の見た目。

上半身は、はだけたベストしか身につけておらず、下は短パン。

深い緑からオレンジのグラデーションになっている髪色。

べっこう飴のような二本のツノ。

そして、何が起こったのかわかっていない琥珀の瞳。


「……は?何が起きた……?オレ様のおやつは……?」


“おやつ”って……うーん、種族はいまいち判別がつかないな。

しかし、まだ幼体の個体を召喚してしまったらしい。

……おいおい、不良品を掴まされたんじゃあないだろうな、あとで星詠みの魔女をとっちめるか……


小悪魔インプか……?いや、悪魔デーモン……?」


「……は?」


「何にせよ、家周りをしてくれるブラウニーや、せめて家事をしてくれるシルキーが良かったんだが……」


「……あ"?」


「ま、しょうがないか……見たところお前さん、幼体のようだが契約できるかい?」


「……ハァ〜〜〜?!!お前いま、オレ様をそこらの小悪魔インプ悪魔デーモンと一緒にしたか!?偉大なるオレ様のことを!!?しかも幼体!?オレ様はもうじき成体だッ!!」


前半二つは独り言で、後半は召喚された奴に尋ねたつもりだったが、どうやら全部、己に言われたことだと認識したらしい。


「もうじき成体?……私の胸元ぐらいまでしか、ないくせに?……まあ、私としては何でもいいんだが、契約はできるのかい?てか、召喚用の魔法陣は再度、使用ができないんだから、私と契約してもらうよ。」

「ハッ!だ〜〜れがお前みたいな下級悪魔とオレ様を判別つかない“人間”と契約なんかすっかよ!契約失敗で泣いてろ、バ〜〜カ!アヒャヒャヒャ!!」


「おや、私と契約しょうぶするのが怖いのかい?」


「あ"?……そんなわかりきった、やすい挑発に誰が乗るか……」

「今なら左手の小指一本だけで、相手してやろうと思ったんだが……しょうがない、この魔法陣は破棄して、もっと強そうなのを呼ぶとするか。」


「誰が弱そうだって!?」


まんまと挑発に乗った悪魔の幼体(仮)が薬草の魔女に殴りかかる。

薬草の魔女はひらりと躱し、左手の小指を悪魔(仮)の後頭部目がけ弾く。

その衝撃で悪魔(仮)は吹き飛び、横転した姿を晒していた。


「お前!オレ様に何をした!!」

「“何をした”って……小指で弾いただけでぶっ飛んでったのはお前さんの方だろ?」

「そんなわけねぇだろ!……ッ、これならどうだっ!」


体勢を立て直し、風の刃を薬草の魔女に向かって放つ。

薬草の魔女は避けることをせず、左手を前に出し、先程と同じく小指で放たれた風の刃を弾いていく。


「は、反則だろ!?“人間”が反魔法を使えるなんて聞いた事ねぇぞッ!?」


その言葉を聞き、薬草の魔女は頭を搔く。


「全部ハズレだよ。」

「ハズレ……?」

「正解は……」


悪魔(仮)はここで気を抜いて、戦闘態勢を解除してはいけなかった。

突然、目の前から薬草の魔女が消えた。

“どこだ”と目線を彷徨わせたが、見つからない。


「私は、反魔法を使ってないし“人間”じゃない。」


声がする方へ振り向こうとした瞬間、意識が途切れる。


「……魔力が皆無なただの“魔女”さ。」

「て、聞こえてないか。……ま、いっか。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ