「灰の跡地〜結晶溜まりの街」その1
朝の日差しが眩しい、私はしっかり睡眠を取って宿から出る。集合場所は村の中心にある【枯れた大樹】と決めていて荷物を纏めて行くと既に全員揃っていた。
「わ、私が最後!?」
予定より全然早いのに、皆偉いや。
「届け人、焦らないでいいよ?僕達は“君”と旅に出られるのが楽しみ何だと思うよ」
「届け人様はいつも一人で帰ってきますから心配なんです」
「心配?」
確かに私はいつも一人で帰ってる、癒し手とか仲間とか居たはずなのに・・・
私は人に言われて初めてこれまでの日々を振り返る・・・
そう言えば、私の仲間って誰だっけ?何でだろ?何も覚えてないや。
「帰る度に疲労して二日間爆睡してますから余程疲れたんだろうなって」
「そうだっけ?ごめん、あんまり覚えてないや」
もしかしたら覚えてないだけで印象が薄かった仲間だったのかもしれない。
記憶に無いなら対した記憶じゃないってことかな?
「皆、荷物の再確認した?」
私の号令に皆はバッチリ!とサインした。
「よし、早速行くよ!ヤエ君はしっかり皆の後ろに付いてきて!」
気弱だけどしっかりシイナちゃんの腕にくっつく。ふふ、可愛いな。
「前衛は私、カイト君がやるから二人は支援をお願い」
後方二人は頷き、村の外に出る。
私の住む村で一番有名なのは王都ベテルギウス、この村から二日間以上移動しないといけないけど結構近代化が進んでいる。
特徴的なのは【クローン人間】が共存してる場所で、脳味噌にチップを埋め込めば三人まで情報を共有できるとか。
ちょっと怖いけど私の価値を見出した国だ、私も尽力をつくして頑張ろう。
今回の旅先はポルクス地方、あまり知らない国だけど双子が多い国らしい、なんかゲシュタルト崩壊しそう。
道のりが遠いからその間に二人には沢山仲良くしたい。
特にヤエ君は。