「やっぱり癒し手がいない(絶望)」
☆★☆★ 酒場にて
「マスタ〜癒し手いませんか〜?」
中に入ると冒険者から騎士団、平民達が集まる集会所みたいな場所だ。
「は〜い♪癒し手のアヤでーす♡」
【酒場スピカ】のマスターの【アヤ・スピカ】は風俗と勘違いしてるのか自分を差し出してきたので抑制する。
「そういうのいいのので」
適当にあしらおうとしたけどアヤちゃんはお構い無しにディアンドルの胸の谷間を魅せる。
「おっぱい好き?」
私の手を掴み胸に揉ませようとしたがカイト君に止められた。
「マスター、色仕掛けはダメですよ?」
「も〜♪相変わらずなんだから〜」
ニコニコしながら本題に入ると即答された。
「ごめんなさい〜癒し手は丁度全員居なかったわ♪」
そんな清涼感のある顔で言われても膝から崩れることには変わりないからね?
アヤさんは他の人員を斡旋してくれたけど止めた。
アヤさんにお礼を言って酒場を後にする。
仕方ない、今回はなるべく戦闘は避けて旅に出掛けようと皆に伝えていると先程から端っこで蹲る女の子が目に入る。
私は何とはなしに声を掛けてみた。
「ね、君」
声を掛けられてビクリとパンを落とした。ローブ姿だとよく分からないけど男の子かもしれない。
「ぼ、ボク?」
ちんまりした姿勢で弱々しく反応すると私は目の前に座る。
「どうしてそんなところに居るの?」
理由を聞くとどうやら昨日冒険者になったばかりの新人らしい。なったのは良いものの元々コミニケーション能力が低く、どうすれば話せるようになるかと迷ってるといつの間にか端のほうで縮こまってたと。
「ぼ、ボク・・・えっと・・・どうすれば・・・」
既に泣きそうになってる男の子に私は優しく肩を叩く。
「酒場に入ろうよ♪」
潔く連れ出そうとしたが凄く嫌そうな顔をする。
「ごめんなさい・・・ボク・・・・全然仲良くできる自信が無いです」
ついには泣き出してしまい収拾がつかなそうになる。
どうしたものかと思ったが解決策は簡単だ。
「君、名前は?」
「ボク・・・ヤエです」
「ヤエ君ね、もし良かったら長旅になるけど私のパーティーに来ない?」
一瞬、困惑したが直ぐに理解してくれた。
「い、いいの?」
泣いてる子を置き去りになんか出来ない、慣れないなら慣らしてしまえばいい。
私はヤエ君を新しくパーティーに入れることにした。