「キリの雑貨店」
「いらっしゃーい!!」
来店すると明るく元気な錬金術師とお金大好きな青髪の女性が飛びついてくる。
「あら?あらあら??あららら〜ら??どなたかと思えば届け人様じゃない〜?」
肩出しオーバーオフショルダーというかほぼ上裸みたいなギリギリ見えてないコーデをした女性は【コトネ・フラストレーション】、片割れはこめかみが非対称のショートカット、マイクロオーバーオールにケープを羽織った特徴的なコーデの【キリ・ベルン】。
通称ぼったくりコンビの彼女等の商品は元の価格の1.5倍高い。
「回復薬ってあります?」
私は二人に聞くとにこやかに対応して持ってきた。
「アタシの回復薬は質が違うよ〜?はい!」
持ってきたのは通常よりも二倍高い回復薬だった。
錬金術師なクセにどケチだ。
「た、高くない!?」
これにはカイト君も反論すると二人はうざいくらいに溜息を吐く。
「そこら辺の商品より品質は断然上だよ?これが適正価格よ?」
「いやいや、いくら何でも値段の幅が高くない!?元値は三百ベルだよね!?」
面倒くさいポイントその一、不満を言われると何故か値上げしてくる。
「は?なら八百ベルにしてあげる」
「それはもうハイポーションレベルだよね!?」
「可愛い女の子に暴言は護衛案件ですよ?」
面倒くさいポイントその二、普通に脅してくる。
「届け人!癒し手が居なくて心許ないよね?ね?アタシの品質、分かってるでしょ?」
ぐうの音も出ない、確かにそれに関してはお墨付きを誇れる高い品質で治療が早く痛みに耐える時間も短い。
でもここで頷けば絶対調子に乗る、本当なら素直に褒めたいのに。
「一応はね、でもそんなに高いなら近くの店で・・・」
ガシッ!とコトネさんに腕を掴まれた。
「それってあそこの錬金術師が経営してる店?」
「そだよ?あっちは適正価格だし腕も悪くない、ぼったくり店より良いかなって?」
「確かに、品質は下がりますが有用性はあちらが上ですよね♪」
「なら、早く行こうか」
そうしようと店を出ようとしたがキリちゃんは店の前に妨害する。
「アイツはダメ!錬金術師を全然使いこなせてないから!私の方が百倍上手いよ!」
「でも高いなら買わない、どれだけ衒学的な事を言われようが私は手頃で簡単に入手できる方を手に取るよ」
コトネさんは私の腕を掴む。
「私達ってお友達よね?ね?お友達価格があるの知らない?」
聞いたことのない言葉に首を振って店を出ようとしたらまた邪魔してくる。
「と、届け人〜!!意地悪しないで頂戴♪ほら!この値段なら買ってくれるかしら?」
開示してきた値段に私は仕方なくサインした。どうも錬金術師同士は仲が良くないみたい。
「こ、今後ともご贔屓に!届け人!今度新しい攻撃用アイテム提供するから宜しくね!?」
ベタベタと子犬のように甘える二人に仕方なく頷いた。
なんなら新商品の攻撃用のアイテムを買った。
二人はホッと胸を撫で下ろして私達が見えなくなるまで手を振っていた。
こうして私達は少し割高にアイテムを購入し、癒し手が居ないか、もう一度酒場に向かった。
「」