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星の涙  作者: ならん
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光の渓谷

光の渓谷を進んでいると、日光が岩肌に反射して幻想的な景色を作り出していた。水のせせらぎと風の音が周囲の静けさに穏やかなリズムを奏でていた。しかし、その平和な雰囲気を打ち破るように、地面から突如として不自然な光が湧き上がった。


僕たちは光の道をたどって進むと、突然地面の脆く崩れる感触が足元に伝わった。直感で危険を感じ、僕は素早く後ずさりした。

「バキッ、バキッ」と地面が割れていく音が続いた。

リアナが警告の声を上げた。「気をつけて!そこはトラップみたい!」


大きな音が鳴り響いた後、目の前には、地面がほとんど見えないほどの深い穴が開いていた。地面が薄くなっており、一歩間違えれば落ちてしまいそうだ。リアナとリトも緊張した様子でその場に留まっていた。


僕のポケットから星の涙が勝手に輝き始めた。その不思議な光は、まるで警告を発しているかのようだった。僕は慎重に星の涙を取り出し、その光を見つめた。星の涙は穏やかに、しかし明確に僕たちの前を照らしていた。その輝きは、トラップを示唆し、安全な道を教えているようだった。


リアナは驚いた様子で「それはどういう……?」と言葉を発したが、僕は集中していた。


その光に従いながら、僕たちは慎重に、まるでダンスをするかのようにトラップを避けた。


光の道を進むと、遂に目的の場所に到着した。僕たちの目の前には、古代の祭壇がそびえ立っていた。周囲には謎めいた文字が刻まれ、祭壇は長い年月の沈黙を守っているようだった。


僕はこの祭壇がかつてどんな目的で使われていたのか、そしてなぜこの渓谷に存在するのかを知るため、周囲を詳しく調べ始めた。祭壇の存在は、この渓谷がただの美しい場所以上の意味を持っていることを示していた。



◇◇◇



光が導いた先にある古代の祭壇を見つめながら、僕たちはその謎を解き明かそうとしていた。


「これは一体何だろう?」


僕は周囲の謎めいた文字を指摘しながら言った。


「この祭壇はかつてどんな目的で使われていたんだろう。そして、なぜこんな場所に……」


リアナも祭壇を興味深く眺めていた。


「確かに不思議ね。この文字は古代の言語に見えるわ。もしかしたら、ここには何か重要な意味が隠されているかもしれないわ。」


その時、僕は地面に半分埋もれた小箱を発見した。「見て、これは何だろう?」と言いながら、その箱を掘り出した。


箱の中には、古代の文書と奇妙な形をした宝石が入っていた。その宝石は星の涙に似ていたが、なんとなく違って見えた。


リアナが興味津々で言った。「その宝石、あなたが持っている宝石に似ているわね。でも、何かが違う……」


僕は文書を手に取り、読み始めた。


「これは……光の渓谷に伝わる古代の呪文と、儀式についての説明が書かれているみたいだが……」


読み進めるにつれて僕の顔は表情を暗くしていた。

それをリアナは興味深く僕の顔を見つめながら言った。


「それは一体どういうこと?何か危険なの?」


僕は首をかしげながら答えた。「うーん、詳細は書かれていないんだ。」

僕は文書を再び眺めながら、この不確かな情報をどう扱うべきか深く考え込んだ。


 光の渓谷の深部へと進んだ僕たちは、神秘的な雰囲気に包まれた渓谷の祭壇に立っていた。日が暮れ、空には星々が瞬く中、僕は文書に記された儀式の手順に従い、祭壇の周囲に星の涙と光の渓谷で見つけた宝石を丁寧に配置した。

古代の言葉で呪文を唱え始めると、突然、地面から強い光が放たれた。この光は天に向かって伸び、星々と渓谷を繋ぐ壮大な光の柱を形成した。まるで星々からの答えのような、圧倒的な現象だった。


その瞬間、光の渓谷で見つけた宝石は突如として消滅し、その場には星の涙だけが残された。星の涙は、まるで何か大きな力を吸収したかのように、強く輝きを増していた。僕はその変化に驚き、同時に新たな力の覚醒を感じた。


リトもこの現象に反応し、祭壇の周りを慎重に歩き回っていた。彼の耳はピクピクと動き、彼なりに何かを感じ取っているようだった。時折、リトは不思議そうに星の涙を見つめ、その輝きに釘付けになっていた。


リアナもその光景に圧倒されていた。「これは……信じられない。その宝石が、まるで新たな力を目覚めさせたようね。」


光の柱が消えると、渓谷は再び静けさを取り戻した。光の渓谷の神秘的な出来事の後、リアナは僕の方をじっと見つめ、穏やかだが少し迫るような声で尋ねた。


「その宝石は一体何?あなたはいつもそれを大切にしているけれど、その正体は何なの?」


僕は少し躊躇しながら、星の涙を手に取り、彼女に向けて見せた。

「これは星の涙。リアンの町で見つけた宝石だよ。」


リアナは興味を持ちつつも、さらなる詳細を求めた。

「それだけ?どうしてそんな力があるの?」


僕は内心で彼女に対する疑念を抱きつつも、あえて曖昧に答えた。

「詳しいことは僕にもわからないんだ。」


リアナは少し不満そうな顔をしたが、それ以上詮索することはなかった。「分かったわ。でも、もし何か分かったら教えてね。」


その瞬間、僕はリアナとの間に微妙な距離を感じた。

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