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Chapter.2-2 父の再訪

「あんたはつぐなってるだろ。この今生こんじょうで」

 言われて、和華のどかはポカンと口を開けて、一瞬沈黙した。

「……どういう意味……」

 呆然と呟く間に、冴月ひづきの美貌が、すっと降りてくる。彼は、パイプ椅子に座る和華を見上げるようにして片膝を突いた。

「違うか? あんたは、その生まれ持った能力の所為で、両親に疎まれて捨てられたんだろ。受け入れてくれたのは祖父じいちゃんと祖母ばあちゃんだけで、他人にだって遠巻きにされてたって」

「……だけどそれは」

 冴月への償いとは関係ない。けれど、冴月は『黙って聞け』と言うように、そっと和華の上腕部を掴んだ。

「嫌な話だけどな。アイツ……サヤノにそもそもアイツのままで償えなんて、言うほうが無謀なんだ。だからきっと……俺もあの世へは行ったことがねぇから想像だけど、閻魔えんまサマも匙投げたんだろ。心底改心させることが無理なら、もう記憶を徹底的に抹消して、せめて魂だけにでも罪をあがなわせようとしたんじゃないか」

 冴月の、細く長い指先が、ゆっくりと和華の頬に近付く。少し、躊躇ためらうように寸前で動きを止め、遠慮がちにその掌が、和華の濡れた頬をぬぐった。

「アイツは、自分が苦しんだ分、相手も苦しめっていう人間だった。それが、どんなに見当違いなことでもな。どっちにしろ、それがアイツの思う『償い』だったなら、あんたは……アイツの転生であるあんたは、今まさに今生でそういう人生を送ってんだ。それでいいんじゃないか」

 冴月君、と呼ぼうとしても、もう嗚咽おえつに遮られて声が出ない。

 本当に、それでいいのだろうか。彼の言葉に、甘えてしまって本当にいいのか。

(……だめだよ。許されていいはずない)

 本当は、今日の――正確に言えば、昨日彼が倒れた理由を探るだけのはずだった。カーテンから勢いで飛び出した時、葛葉くずはと行き合い、彼女がここで待つように身振りで示したので、救護室のいたベッドにそっと腰を下ろした。

 葛葉が理由をただし始めたので、それが聞けると思って息をひそめていたら、冴月のとんでもない生い立ちまで知ってしまった。

(赤ちゃんから母親を奪うなんて……!)

 それをやらかしたのが、本当に自分の前世なのだとしたら、和華は自分で自分を許せなくなった。

 記憶がないから知らない、なんて、最低な言い逃れだ。

 おまけに、冴月に不死の呪いまで掛けた。解き方なんて分からないが、その呪いからは何としても彼を解放しなくてはならない。

 数百年に渡って彼を苦しめ続けたあがないが、それで終わるとも思えないけれど――

「……あたし……絶対、呪い解くから。その方法、見つけるからっ……!」

 涙で曇った視界の中で、冴月の目が一瞬、キョトンと見開かれる。そして、小さく苦笑が返ってきた。

「……ま、あんたの気が済むなら好きにしたら」

「するわ」

 大真面目に頷いた直後、泣いた所為かシャックリが出た。

 一拍のののち、冴月が軽く吹き出す。

「なっ、何よ、もうっ……!」

「悪いっ……」

 クックッ、と肩を震わせて笑う冴月を、表面上はふくれっツラで見下ろした。

 こんな風に笑う彼を見るのは、初めてかも知れない。

 ずっと、そんな風に笑っていて欲しい。皮肉めいた笑みでなく、屈託のないその笑顔で。

 けれど、それを見ているのはなぜか幸せだけど、幸せだからこそ、自分はそれを――彼の笑顔を見つめる資格なんてないかも知れない。

(……あたしのバカ)

 ああ、違う。前世サヤノの大バカ野郎。

 どこまで自分は苦しめば、彼への贖罪しょくざいが完了するのだろう。どうしたら、何をすれば自分は、遠慮なく彼の隣で一緒に笑っていいのか、それを許されるのか。

 袋小路に迷い込んだ気分で、和華はまた零れ出す涙に往生おうじょうする。

「……和華?」

「ッ……」

 何でもない、違う、大丈夫だから。

 脈絡のない言葉たちは、どれも音にならない。

 掌に顔を伏せ、首を振っていると、不意に抱き寄せられた。

 息が止まりそうになる。冴月は、それ以上何も言わずに、黙って和華の背をポンポンと優しく叩いていた。

 まるで、幼子にそうするように。


***


 翌朝、ハッと気付いた時には、和華はベッドの上にいた。救護室のいたベッドの上だ。

 背中を叩いてくれる冴月の掌が心地よくて、いつの間にか寝入っていたらしい。冴月が運んでくれたのだろうか。

 慌ててそのベッドを飛び降り、冴月が使っていたベッドの周りにあるカーテンを引き開けるが、彼はすでにそこにいなかった。

(……ちょっと待って、今何時?)

 付けたままだった腕時計を見ると、九時過ぎだった。

(うっわぁ……めちゃくちゃ寝過ごしたぁ)

 いくら普通の家庭と違って、夏休み中親の目がないという環境とは言え、普段なら有り得ないことだ。休み中は主婦兼業の和華にとって、貴重な半日を寝過ごすことは、致命的だと言うのに。

「あ、和華ちゃん、起きた?」

 おはよう、という爽やかな挨拶に、顔を上げる。入って来たのは瀬凪せなだった。

「あっ……おはようございます! ……っていうか、えっと……」

 おはよう、と言われたので『おはよう』と返してしまったが、今はもう午前九時台だった、と思い出す。

 まるでそれを読んだかのように、瀬凪は、

「って言っても、今午前九時だけどねー」

 と言葉を継いだ。

「……すいません。何か寝過ごしちゃったみたいで……」

「仕方ないわ。昨日は色々あったから」

「あ……そう言えば、冴月君は?」

「冴月君?」

 鸚鵡返おうむがえしに言った彼女は、一瞬キョトンとその目をみはる。

「あの子なら食堂よ。八時頃起き出したみたいだったけど、食堂とここの位置関係分かってなかったみたいでね」

 結局、部屋の外でぼんやりしていたところへ、葛葉が迎えに来て、一緒に遅い朝食をりに行ったらしい。

「あたしはあなたの様子見に来たのよ。そろそろ起きてるかなって」

「……ホント、すみません……」

「いいのよ。目覚まし時計もなかったでしょ?」

 はいコレ、と言いつつ、瀬凪が何やら封筒のようなものを差し出した。

「これは?」

「昨日言ってた、妖気除け。電子機器には一番に貼って。携帯以外の機械用にも余分に入れてあるから」

「助かります~」

 思わず涙目になって、封筒を押し頂く。

「あはは。足りなくなったら言ってちょうだい」

「そんなに量産してあるんですか?」

「ウチのセクションには必須だもん。何せ、妖とか混血とかも結構勤務してるから」

「……ですよね」

「じゃ、食堂行きましょっか。和華ちゃん、今日のご予定は?」

「えっと……ケータイ取りに行く以外は、あたし個人としては特に……」

 あれから随分日が経っているような気がするが、実際には二日目だ。

 その間に、一人でやらなくてはならないと思っていたこと――警察にあの妖薬を届けることと、携帯の買い換え――は、あらかた片付いている。

「でも、学校に戻る用意はしたいから、そろそろ家に帰して欲しいですけど」

「そう、その件ね。部長から伝達あるみたい。朝食食べながら聞けると思うから、早く行きましょ」


***


「――仕込み(・・・)は、完了しました」


 太刀川たちかわがその場に集まった全員を前に口を開いたのは、和華が遅い朝食を大半、腹に収めた頃だった。

「九月一日付けで、冴月君と水無瀬みなせさん、水澤みずさわさん、まゆずみさん、葛葉さんには、洲脇すわき学園へ潜入していただきます」

「人数が多過ぎぬか?」

 眉根を寄せて訊いたのは、葛葉だ。

「多方面から調べたほうが、終わりも早いですし、あそこはマンモス校ですからね。合計五人、シレッと増えたところで誤魔化しは利くでしょう。その為の仕込みでもあります。それと、水無瀬さん」

「はいっ?」

 急に話題を振られて、和華は思わず、裏返った声で返事をしてしまう。

 それには頓着なく、太刀川は続けた。

「あなたが現在在学中の聖條せいじょう大付属ですが、水澤さんの在学校である堂山どうやま高共々、仕込みを完了しております。万が一、あなたのお父様からのお問い合わせがあったとしても、抜かりはありません。ご安心ください」

「はあ……」

「何か、疑問点か不安点はおありですか?」

 言われて、即座に答えそうになったが、危うく呑み込んだ。ここは、公衆の面前だ。

「いえ、この場では……ちょっと」

「分かりました。あとで、個別に伺いましょう」

「あ、それと、洲脇学園に入るとなると、やっぱり荷造りが要りますよね。一度、家に帰りたいんですけど……」

「ええ、結構ですよ。明日には全員で出発して、且つ別々に学園入りしてもらいますから、今日中にはこちらへ戻っていただきたいのですが」

「分かりました」

「ほかの潜入組の方も、何かご質問は」

「詳細の説明はなしか?」

 食後のコーヒーを傾けながら口を開いたのは、冴月だ。

 太刀川が、にっこり笑って、「それも今日明日中、出発前にはいたしますので」と言ったのを締めに、その場は解散となった。


***


 初対面の時から比べると、大分態度が軟化した冴月が、空間を使って送ってくれると言ったので、その言葉には甘えることにした。

 今日も温度計は、勢いよく背を伸ばしている。無駄なエネルギーを消費するのは、何もなくても遠慮したいところだ。

「あーあ……買い込んできた食料が、無駄になっちゃうなぁ」

「なら、寮に持ってけばどうだ?」

「あ、そうだね。クーラーボックス、どこに行ったか……買ったほうが早いかな」

 他愛のないことを話しながら、冴月の空間へ足を踏み入れた和華は、ふと気付いたように「そう言えば」と言葉を継いだ。

「冴月君、何でウチの神社のこと知ってるの?」

「あ? あー……」

 冴月は言い淀んで、一度空間を閉じる。

「……言いたくないなら別にいいけど」

「いや、そうじゃなくて……何て説明すればいいかな……世話になってたんだよ。ずっと昔に」

「昔?」

「ああ。当時の住職夫婦が、混血の孤児だけ集めて世話してたんだ。サヤノと何回目かでり合ったあと、這々《ほうほう》のていで逃げた先で動けなくなってたトコ、助けてもらったことがあってさ」

 サヤノ、という名前を聞くと、急に気分が落ち込んだ。それ以上聞きたくなくて、短く「そう」と言って話を打ち切る。

(サヤノ……)

 自分と冴月の間には、嫌でも彼女のことが付いて回る。当然だ。

 冴月によれば、自分は『サヤノ』の生まれ変わりで、そのサヤノは冴月に対し、虐待の限りを尽くした挙げ句に呪いをプレゼントしてくれたという因縁の相手だ。

 目の前の問題はほかにもあるのに、サヤノの名を聞けばどうしても、冴月に掛けられた呪いを解く方法を早く、と思ってしまう。

 せめて彼女の記憶だけでも残っていればその方法は分かったかも知れないが、冴月に会ったあとで名前だって初めて聞いたのだから、そこは言ってもどうしようもない。

 はあ、と吐息を漏らした時、「和華」と呼ばれて我に返る。

「着いたぞ」

「あっ……あ、うん、ごめん」

 小走りに空間の出入り口を出た時、「和華!?」と頓狂に叫ぶ声がして、和華は思わずその方向を振り返った。

 空間を閉じた冴月が、小さく舌打ちするのが聞こえる。

 二人の視線の先には、スーツ姿の男が二人立っていた。

 一人は父・綾小路あやのこうじ和俊かずとしで、もう一人は先日父に従っていた、サングラスの男だ。名前は知らない。ボディガードか何かだろうか。

 父は、驚いた顔から徐々にその表情に苛立ちを混ぜ込みつつ、大股にこちらへ歩んでくる。

「和華! 今どこから出て来た!」

 和華の手前で足を止めると、父は憤然と叫んだ。

「ど、どこからって」

 戸惑うように足を一歩分退()くと、父は乱暴に和華の左上腕部を掴んだ。

「痛い!」

「どこに行っていた! 心配したんだぞ!」

 どこから出て来た、という問いに答える前に、父の質問が変化する。ソの内容に、和華も早々に激昂した。

「心配って何!? 心配だったのはあの薬でしょ!?」

「そうだ! お前は嘘吐きな上に無責任だな! ビジネスの基本はコミュニケーションだぞ! どうして正式にイエス・ノーの返事を寄越さない!?」

「何勝手なこと言ってんのよ! あんなの、答えはノーに決まってるでしょ!!」

 一拍のののち、父の口角がニヤリと嫌らしい形に吊り上がる。

「……ノー、と言ったか」

「ええ、言ったわ」

「ならば、今から見合いの席を設ける。田口たぐち。至急、先方へ連絡を」

「はあ!?」

「かしこまりました」

 和華の頓狂な叫びを余所に、父に答えたのは、サングラスの男だ。

「ちょっ……何でそうなるの!?」

「言ったはずだ。薬を売らないのなら、大手ホテルチェーンの御曹司と結婚してもらうとな。相手は今年二十三歳。星守ほしもりホテル本館の重役に就いたばかりだ。悪くないだろう?」

「何でそんなこと勝手に決めてるのよ! あたしの人生よ!?」

「私の娘に生まれた時点で、お前の人生はお前のものではなくなっている。すべて、私の政略に役立つ為の駒となることは決まっていたのだ」

「あんたは赤の他人よ!!」

「戸籍のことを言っているのなら、心配要らない。昨日からお前は、元通り『綾小路和華』に戻っている。母さんのこともだ。いずれ、お前という長女がいたことを思い出すだろう。お前がおかしなことさえ言わなければな」

「絶対嫌よ! 第一、あの薬はもう警察に渡して来たわ!」

 厳密に言えば警察ではないが、和華にとっては似たようなものだ。

「何?」

 一瞬、父は眉根にしわを寄せた。が、すぐに鼻先でせせら笑う。

「おかしなことを言うな。警察? お前にそんな度胸があるはずがないだろう」

「何ですって?」

「万が一、それができたとしてもだ。警察は私に一切手出しはできない。今回のことで警察に駆け込んでも同じことだと忠告しておいてやる。私の娘なら、もう少し利口になることだ」

「あたしはあんたの娘なんかじゃない!!」

「いいや。DNA的には残念ながら、九十九・九パーセント、父子関係あり、と結果が出るだろうな」

「そんなもの関係ないわ! あたしは掛け値なしに本当のこと言ってるのに、それを嘘だって決め付けて虐待するよーな男は、あたしの父親なんかじゃないって言ってるの! あたしのお父さんは、亡くなった水無瀬のお祖父じいちゃんで、お母さんは水無瀬のお祖母ばあちゃんよ!!」

 それに答えたのは、パン! という乾いた音と、遅れて頬にジワリと滲んだ痛みだ。

 ノロノロと空いた手を頬に添える。

「……何するのよ」

「黙れ! 政略の人形は人形らしく、その口を閉じていろ! 田口、連れて行け!」

「は」

 会釈したサングラスの男――田口は、和華に大股で歩み寄った。

「失礼いたします、お嬢様。こちらへ」

「放して、嫌!」

 炎が目の前をよぎったのは、その時だった。

「うわっ!?」

 田口が悲鳴を上げて、和華から一歩下がる。

「何だっ!?」

 反射で目を瞑っていた和華には、父が疑義の叫びを上げる声しか聞こえない。

 直後には、周囲はシンと静まり返っていた。上腕部に誰かの手の感触を感じ、ソロソロと目を上げる。

「今から室内に出るぞ。できるだけ急いで荷造りして、寮に戻る」

 耳元に冴月の声が聞こえた。周囲は真っ暗闇――冴月の持つ異空間だ。

「アイツらは」

「多分まだ外でパニックしてるだろ」

 バキン、とひび割れの音を立てて、出入り口が冴月の言う通り室内に開く。玄関を入ってすぐの場所だ。

「早くしろ」

 静かに鋭く言った冴月は、ボトムのポケットから符を取り出して玄関に貼り付けた。

「何それ」

「俺だって半分は祓魔師の息子だぜ。風で派手に暴れるだけが能じゃねぇんだ」

 冴月はニヤリと唇の端を不敵に吊り上げた。

「とは言え、宮司としてのじゅつここ(・・)で少し習っただけだから、あんまり長くは持たねぇ。急げよ」

「どういうこと?」

 和華は急ぎ足で自室に向かいながら、口だけで冴月に問う。

「言ったろ。昔、この水無瀬神社で世話になったって。ここでは混血の孤児ばっかり育ててたからな。人間として、霊能力持ってる奴も少なくなかった」

 彼が答える内に、自室に辿り着く。冴月は、出入り口で足を止め、和華の部屋には入らずに続けた。

「あれはその時、宮司夫婦に習った符術の一つだ。あれを貼っとけば、普通の人間なら、しばらくはこの建物があることそのものが認識できなくなる」

「しばらくってどのくらい?」

 和華は、冴月が部屋の中を見ていないのを確認して、タンスの引き出しを開けた。上に着るものはともかく、さすがに下着は異性に見られるのは気恥ずかしい。

「持って十分くらいかな」

「嘘! 追加のお札貼っといてよ!! てゆーか、お札追加で時間延長できる!?」

 キャリーバッグをうっかり空間に置いてきてしまったので、和華は適当なボストンバッグに衣類を放り込んだ。

「できなくはないけど」

「じゃっ、お願い! そう言えばさっき炎出してたけど、燃え広がらないでしょうね!」

「……助けてもらっといて何つー言いぐさだよ」

 冴月の呟きに、「緊急時なんだから仕方ないでしょ!」と逆ギレとしか思えない言葉を投げ返してしまう。

「ま、いいよ。さっきの鬼火はただのハッタリだ。一分もすれば消えるし、熱もないし燃え広がったりもしない。相手には火傷も何もさせない代物だから安心しろよ」

「そう、よかった。アイツらが火傷してもザマーミロだけど、関係ない人に被害が及んだらたまんないわ」

「そこはまったく同感だけど……」

 珍しく言い淀んだ彼のほうに、ふと視線を向ける。彼は、礼儀としてか、やはりこちらは見ずに付け加えた。

「……やっぱあんた、どっか過激だな」

 やっぱり、とはどういう意味だろう。

 しかし、それを問う暇も、ゆっくり考える隙も今はない。

 時間延長してくる、と言ってその場を離れた彼の背を見送る間も惜しく、和華も程良く白くなった脳内で、持って行く荷物はほかにないかを必死に考えていた。


©️神蔵 眞吹2023.

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