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我輩は猫魔導師である! 〜キジトラ・ルークの快適ネコ生活〜  作者: 猫神信仰研究会


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276・今日のおやつはメメポテ!


 ククク⋯⋯ククククク⋯⋯冒険者ギルドのメテオラ支部長問題、危ういところであった⋯⋯(冷や汗)


 ⋯⋯いや、よく考えたらこれ、陛下やギルド側に人事を一任せず、最初から俺が介入するべき案件だったか?

「猫の働きすぎ改革」が念頭にあったため、余計な雑務を増やさぬよう遠慮していた影響もあるが⋯⋯

 しかし冒険者の取り扱いは、メテオラの住環境にも大きく影響する。彼らを管理する立場のギルド支部長には、こちらと価値観の近い人物が欲しい。

 結果的には俺の知らぬ間に最良の人選がなされていたようだし、良しとすべきであろう。


 さっきナナセさんとアイシャさんが冒険者ギルドに入った後、俺はテーブルの下に身を潜め、すぐさま『じんぶつずかん』を熟読した。


 件のベルガリウス・オプト氏。猫力はまあまあ高めの81で、その意味でも問題はなかったのだが⋯⋯「メテオラ支部長」という役職に対する認識が非常に素晴らしかった。


 現地住民との融和方針、冒険者の制御とその滞在人数の制限、琥珀利権への消極的かつ政治的配慮に満ちた距離感⋯⋯


 これらは我々にとってほぼ満額回答であり、こんな人物にいきなり白羽の矢を立ててくれた冒険者ギルドは実はかなりの有能揃いなのではないか? などと猫は感心してしまった。

 ⋯⋯他の立候補者が明らかにヤバそうだったことからは、そっと目を逸らす。結果さえ良ければそれで良い⋯⋯

後でリオレット陛下にも話を通し、「ぜひ王命で支部長人事を確定に!」とお願いしておこう。権力者の正しい頼り方である。


 なお、ベルガリウス氏はまだ独身で王都に家族などもいない。見た目のお年は四十超えてそうなのだが、実はまだ三十六歳。

 うちの新入社員、ブラジオスさんより一つだけ年上なものの、まぁほぼ同年代といって良い。どっちも人より老けて見られる苦労人気質なので、この後、顔を合わせたらたぶんお互いに「あっちのほうが少し年上だな⋯⋯?」と思うはずである。なかよくできそう。


 そんなわけで、するっとスマートに自己紹介をしたその日のうちに、さっそく彼をおやつタイムにご招待した。

 目的は相互理解と猫アピールである。

 今日はたまたま有翼人のソレッタちゃんもキャットシェルターに滞在中なので、先に顔合わせをさせてしまおう。


 ⋯⋯そのソレッタちゃん、すでにメテオラでは「猫の巫女」っぽい扱いを受けており、地元の名士(?)になりつつある。先日の猫祭における猫神楽で、その地位を確固たるものにした。


 衣装制作と舞踊指導にあたった魔族ヘンリエッタ嬢との縁まで生まれ、人脈面でもだいぶつよつよ感が増した。将来が不安である。変な方向(※信仰)に行かぬよう、猫がしっかり導かねばなるまい⋯⋯


 さて、肝心のおやつタイムであるが。

 ギルド側に他の来客が来ると面倒なので、ベルガリウスさんには一旦、ナナセさん達と一緒にギルド本部から出てもらい、路地裏からキャットシェルターに導いた。


 わけのわからぬ異空間系猫カフェにしばらく戦々恐々としていたが、テオ君を抱えたソレッタちゃんが「じっ」と見ていたせいか、割と早めに大人としての矜持を取り戻す。

 まがりなりにも元冒険者、若い女性や子供が平気な顔をしているこの場所で、取り乱すわけにはいかぬという矜持もあろう。それでも緊張感は隠しきれぬ。


「こ、これは、また奇っ怪というか不可思議と申しますか⋯⋯あの、アイシャ様。ルーシャン様は、このことを⋯⋯?」


「もちろんよくご存知です。陛下やリーデルハイン家の方々も、みんなルーク様のことはご承知ですので⋯⋯対外的には秘密にしてもらいますが、向こうに行ったら、ほとんどの人は知ってる感じですかね」


「メテオラの有翼人さん達に至っては、皆、ルーク様の信奉者です。こちらのソレッタちゃんもですね」


 ナナセさんがソレッタちゃんの頭を撫でながら微笑む。ソレッタちゃんはにこにこしているが、何か圧を感じる。威嚇とかではないが、これは⋯⋯信仰心⋯⋯?


 たぶん、俺の前で「頼りになるところを見せたい!」とか、そんな感じの向上心的なアレである。決して「巫女としての自覚」とか「亜神への忠誠心の発露」とかそういう重いヤツではない。違うって言って。


「はじめまして。ルークさまにお仕えしています、ソレッタです。こっちのぬいぐるみはルークさまのご加護の象徴、テオです」


 テオ君は無言で威嚇のポーズ(挨拶)


 テオ君の素体はソレッタちゃんのお母様が端切れと藁で作った猫のぬいぐるみなのだが⋯⋯デザインは大きく変化していないものの、当初より体が丸くなり、中身が藁とは思えないぐらいふかふかになった。謎が深い。


 元が端切れなので体毛はなく、猫っぽいのも目元と口ぐらいで、いわゆる(ΦωΦ)こんな顔。さすがに表情の変化はないが、ぐにぐにとよく動くし、何故かまったく汚れない⋯⋯防汚系の耐性とかついてそうである。お風呂にも入れるが、何故か水を吸わぬので常にサラサラである。本当に謎が深い⋯⋯


 なお製作にあたってはケーナインズのシィズさんやうちのリルフィ様もお手伝いしたそうで、俺の抜け毛で作ったフェルト生地を肉球付近に使ったりと、なかなか凝った出来栄えだったりする。


 そのテオ君が、ベルガリウスさんをじっと見つめた後、そっと寄り添った。

 ベルガリウスさんはやや戸惑いつつも、「これは撫でても大丈夫な感じ?」と察し、ゆっくりと手を背中にのせる。

 一方、ソレッタちゃんは俺を撫でる。


「テオが『この人はだいじょうぶ』っていってます」

「そっかぁ⋯⋯」


 わかるんだぁ⋯⋯? 俺が把握した『じんぶつずかん』情報がテオ君側にも行っているのか、あるいは俺が「大丈夫!」と判断したからそれに乗っかっているのか、はたまた俺とは違ってケモノ的な直感を持ち合わせているのか⋯⋯謎は深(略)


 ベルガリウスさんは困惑しつつも居住まいを正した。


「改めて⋯⋯お招きいただき、感謝いたします。いずれは『腹を割って話せれば』とは思っていたんですが、いきなり信用をいただいたみたいで、なんというか⋯⋯恐れ多い限りなんですが、あの、私の見た目、怪しくなかったですかね?」


 グラサンはともかく目つきは優しいし、我々に対しては物腰も丁寧だったので、本人が思うほどに変な印象はなかった。


「いえ、特には。こっそり路地裏で子猫に餌とかあげてそうだな、とは思いました」


「んんっ⋯⋯ご、ご存知でしたか⋯⋯いえ、今はもうルーシャン様の保護施設へつれていくようにしていますが⋯⋯放し飼いの地域猫もおりますので⋯⋯」


 俺は『猫の精霊』なので、猫さんを大事にしないと「フシャー」される⋯⋯とでも思っているのだろう。お笑い草である。こちとら立派な『トマト様の下僕』なのだ。ククク⋯⋯おまえもトマト様の虜にしてやろうか!


「それで、ええと⋯⋯冒険者ギルドの支部設立の件なのですが、これは全面的にご協力いただけるということで⋯⋯?」


「そうですね! 我々としても、継続的に迷宮を掃除⋯⋯探索してくれる人材が欲しいのです。メテオラの有翼人さん達もたまには迷宮に入りますが、深層に行くことはないですし、迷宮からとれる琥珀をちょろまかされるのも困ります。冒険者の懐に入る分にはいいのですが、ある程度、流通を制御しないと、悪巧みする人達が寄ってきそうなので⋯⋯基本的に王立魔導研究所を窓口として、そこから各貴族に売却する流れを作りたいと思います」


「国庫の立て直しの一助⋯⋯ってところですか。先代陛下の時代に、うちもだいぶ予算を削られてしまいまして⋯⋯その影響で、琥珀の利権に目が眩みそうな連中がそれなりにいます。ただ、うちがそこに手を出すとどう考えても汚職まみれになりますんで⋯⋯まず国庫にいれてもらって、そこから冒険者ギルドへの予算拡充を正式に検討してもらえれば、というのが自分と今のギルド長達の存念です」


「リオレット陛下とルーシャン様のお考えも、だいたいそんな感じです! 冒険者ギルドに関しては、陛下もたいへん気にされていまして。立て直しが急務だということは理解されていますので、そこはご安心ください。宮廷政治の掌握に苦慮されていて、『今すぐに』というわけにはいかないのが心苦しいと、よく仰っています」


「⋯⋯あ、そんな頻繁に話し合われているんですね⋯⋯?」


 懸念するのもわかる。一国の王の政治的な相談相手が「かわいい猫さん」とか、ファンシーを通り越して不安視ふあんしぃであろう。


 アイシャさんがマカロンをもぐもぐしながら微笑む。


「ルーク様と陛下はたいへん友好的な関係です。あと、この流れでトマティ商会も国策商会かと勘違いされているかもしれませんが⋯⋯『そう見える』ように立ち回っているのは事実ですが、トマティ商会はあくまでルーク様の持ち物です。ある意味、私達より上位の存在ですので⋯⋯このことはどうかご内密に」


「⋯⋯ん? いえ、確認なんですが⋯⋯その『私達』というのは、王立魔導研究所のことですかね? 一商会が、国家機関より上位の位置づけと⋯⋯?」


「いえいえそんな」と否定しようとする俺の口を、ソレッタちゃんがそっと小さなお手々で塞いだ。おや?

 そしてアイシャさんがにっこり微笑む。


「いえ。そうではなく⋯⋯『ネルク王国そのもの』より、トマティ商会のほうが、実質的な地位は上という意味です。なにせ『亜神』たるルーク様の直臣ですので⋯⋯商会内の人員、一人一人が、国賓に勝る重要人物とお考えください」


「⋯⋯えっ。あ、亜神⋯⋯?」


「⋯⋯ルーク様は、非常に慈悲深い猫さんなので⋯⋯彼らに万が一、なんらかの被害が及んだ場合、それを為した者には正真正銘の神罰がくだると思われます。特にガラの悪い冒険者の暴走などを、私も非常に危惧していまして⋯⋯ベルガリウスさんの役割は、貴方が思っている以上に責任重大です。正直、貴方の差配がネルク王国の安寧、もしくは滅亡につながると言っても過言ではないです」


「ちょっと待ってください!? そのレベルの責任を押し付けられるほどの給料はもらってないっすよ!?」


 かわいそうになってきたので、猫はあわててソレッタちゃんのお手々を肉球でてしてしし、この会話に口を挟む。


「アイシャさん、脅かしすぎですよー⋯⋯あの、ベルガリウスさん。私は決して、アイシャさんの言うようなやべぇ存在ではありませんので、なるべく気楽に接してください! ささ、おやつでもご一緒に」


「ど、どうも⋯⋯これは⋯⋯なんです?」


 アイシャさんはマカロンを適当に貪っておられるが、本日のメインはそれではない。昼飯抜きで頑張っていらしたベルガリウスさんに配慮して、ちょっとお腹に溜まるものを複数ご用意した。ストレージキャットさんが配膳までしてくれる。


「メテオラ名物の『サツマイモのメイプルシロップ和え』です! こっちのローストビーフのサンドイッチは、王都にもありますかね? それからトマト様のミネストローネと、デザートにはカスタードのアップルパイをご用意しましたので、ぜひお試しください!」


「⋯⋯おやつではないですね? いえ、昼飯抜きだったので、大変ありがたいですが⋯⋯!」


 ローストビーフは王都にもあり、グレイビーソースもなかなかの完成度なのだが⋯⋯「胡椒」がないので、この一味でだいぶ印象が変わる。

 ミネストローネはトマト様の味見用。

「サツマイモのメイプルシロップ和え」は、要するに「大学芋」なのだが⋯⋯「大学芋」というネーミングにすると明らかに転生者案件になるので、ネーミングはまだ検討中である。

「メテオラポテト」とか「メイプルポテト」みたいな当たり障りのない方向性でいくか、ちょっと捻って「メメポテ!」みたいにして、初見時の「?」感をあえて刺激していくか⋯⋯まぁ、商品化の段階で改めて考えたい。


 ベルガリウスさんはまず見慣れたサンドイッチにかぶりつき、「ん?」と首をかしげた。


「⋯⋯これ、めちゃくちゃ旨いですね? ローストビーフ自体、そもそも高級品ですが、それにしても旨い⋯⋯肉? ソース? パンも柔らかくてソースに合ってますし、でもそれだけじゃなくて、何か、こう⋯⋯知らない香辛料が入ってますか?」


 クク⋯⋯なかなか良い舌をお持ちである。が、胡椒のことは話しても通じぬはずなので「ちょっと珍しい香辛料を使ってましてー」と流しておいた。


「トマト様のミネストローネはいかがです? 初めての味わいかと思いますが」


「はい、こちらもたいへん美味です。酸味があるのに優しいというか⋯⋯妙にほっとする味ですな」


 ミネストローネは各家庭ごとに違いの出やすい、イタリア版の味噌汁みたいな立ち位置の家庭料理である。

『具だくさんのスープ料理』という定義はあるのだが、具材は季節によって変わるし、実は必ずしもトマト様が入っているとは限らない。冷蔵庫の残り物を適当にぶち込む、みたいに雑な感覚でも許される。

 で、そういう時にもトマト様さえ入っていれば、だいたい味がいー感じにまとまるので⋯⋯ある意味、ご家庭の救世主的なメニューといえよう。


 本日の具材は、基本的にメテオラ産のお野菜。

 じゃがいも、にんじん、たまねぎ、キャベツ(っぽいもの)といった定番野菜に加え、ホワイトラディクスや俺の知らぬハーブなど、こちら独自のお野菜も混ざっている。

 コンソメや胡椒も入っているし、さらにパスタはリーデルハイン領のものなので⋯⋯俺がもたらした前世食材とこちらの世界に元からあった食材とをうまく組み合わせた、融合の味でもある。

 メテオラでも定番にして鉄板のメニューとして愛されており、この味が大丈夫であれば、移住後の生活も問題あるまい。食べ物が合うか否かは士気にも健康にも影響する。

 

「で、こちらが⋯⋯メイプルシロップとサツマイモ、ですか? どちらも初耳ですが⋯⋯じゃがいもとは違うんですかね?」


「だいぶ違いますね。『根菜』という共通点こそありますが⋯⋯サツマイモは『根』で、じゃがいもは『地下茎』という違いもあります。メイプルシロップは、甘い樹液を煮詰めてより甘くしたものです。どちらもメテオラの特産品ですので、現状、メテオラでしか食べられない品となっています」


「ほう。では、さっそく――」


 メメポテ(仮)を一欠片。フォークで突き刺し、口元へ運ぶ。そして味わい始めたと同時に、ベルガリウスさんの肩がびくんと跳ねた。


「えっ⋯⋯? いや、こいつは⋯⋯! なんですか、これ!? この、なんともいえない甘い香り! うっま⋯⋯これ、ダメなやつでしょう!? それこそ、貴族しか食べられないヤツじゃ⋯⋯!」


 メイプルシロップの真価は、その「香り」にある⋯⋯と思う。そもそも味と香りは密接な関係にあり、全然甘くないはずのものに甘い香りをつけるだけでも、脳が「甘い」と錯覚することさえある。

 バニラエッセンスとかアーモンドエッセンスがまさにそんな例だが、メイプルシロップもまた、その馥郁たる香りによって、実際の味以上に「甘く」感じさせてくれる甘味料なのだ。

 いやまぁ、実際の味もだいぶ甘いんですけど。それはそれとして、「香り」の要素も非常にでかいという意味である。


 ベルガリウスさんは、はっとして青ざめた。


「ま、まさか⋯⋯トマティ商会では、コレも商材として扱うんですか!? 下手したら争奪戦で死人が出ますぜ!?」


 そんな大げさな⋯⋯とも言い切れぬ。店頭ではともかく、輸送中に街道で強盗に襲撃されそうな懸念はあり、一般商会であればその時点で死人が出てしまう。このメイプルシロップは琥珀と並んでヤバい商材なのだ。どっちも琥珀色で「樹液」に由来するという点まで一致している。すなわち山の恵みである。


 対策としてカエデさん達、「シノ・ビ」を護衛につける予定だが、ベルガリウスさんはまだそんなことを知らない。


 猫はあえて余裕を見せるべく、にこにこと応じる。


「将来的にはその予定です! 今年はトマト様のバロメソース生産だけで手一杯になりますし、話題性を持っていかれてしまうのも困るので、取り扱いませんが⋯⋯」


 ベルガリウスさんは真っ青な顔でメメポテ(仮)を見つめた。

 ⋯⋯これが、俺のコピーキャット飯に慣れていない人のメイプルシロップに対する反応か⋯⋯たいへん参考になる⋯⋯(震)


「あのー。何か、懸念点が⋯⋯?」


「は、はぁ⋯⋯いや、琥珀の利権に関しては、魔導閥の領分を尊重するってことで流れを作れますが⋯⋯これは『トマティ商会の商材』なわけですよね? これの製法の秘密を探りたい連中が、メテオラに押しかけてきそうな気がしまして⋯⋯あと、何の樹液からでも精製できるわけじゃないでしょうから、その植物を盗みに来る連中も⋯⋯」


 まぁ⋯⋯出てくるでしょうね⋯⋯


「製法に関しては、隠すほど難しいものではないです。また木に関しても、苗木を販売しても良いくらいなのですが⋯⋯おそらく『気候条件』がとても重要なので、雪が降らない地域では材料となる樹液をほとんど収穫できません。ネルク王国は、山岳部以外はほとんど積雪しないはずですので⋯⋯メテオラ以外の土地では、なかなか難しいかと思います」


「となると、ますます値段が高騰してえらいことに⋯⋯いや、まさか、迷宮とトマト様以外にもこんな課題があったとは⋯⋯へたな職員は連れていけませんね、これ。現地の状況も見て、いろいろ考え直さねえと」


 どうやらベルガリウスさんは、冒険者達を制御する上で、ある程度の成算をすでに立てていたようである。が、メイプルシロップの登場でその前提がひっくり返ってしまったのだろう。


「ベルガリウスさん。おやつの後で、一度、メテオラを軽く見ておきませんか? 正式な異動前ではありますが、現地の様子を見てみれば、王都にいるうちに対応しておくべきことが見えてくるかもしれません」


 そんな俺からの提案に、ベルガリウス氏はしばらく呆けた後⋯⋯


「⋯⋯馬車で一週間の道程と⋯⋯聞いていたんですが?」


 と、やたら困惑した表情で力なく呟いたのだった。


(追記)

ギリギリのタイミングであとがきを書いていたら、うっかりセッションタイムアウトで投稿をミスりまして⋯⋯!(>Д<)

あとがきだけ追記です。


まずは予定していた記念SSが、急な作業の追加で間に合わず⋯⋯

予告しておいてたいへん申し訳ないです orz

とはいえ八割方は完成しているので、たぶん日曜までには! 今度こそ!


そして猫魔導師の8巻も、おかげさまで無事に発売中です。

購入報告もありがとうございます!


今回はハム先生の挿絵の落星熊のモフみが本当に素晴らしく、急に冷え込んできた昨今、あの毛皮に羨望の眼差しを送るばかりです。

モフみを⋯⋯もっとモフみを⋯⋯(禁断症状)

インフルも流行っているようですので、皆様もどうか暖かくしておやすみください。とりあえずコタツはだしました(早)


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― 新着の感想 ―
ルークさんの抜け毛使ったお人形なんてもう御神体では……?
>俺の抜け毛で作ったフェルト生地を肉球付近に使ったり 手の裏で毛が伸びてぬいぐるみの中で充填材になってない? もふもふの布の中身は伸びた毛でびっしりだ! 本物の毛を使った人形の髪が伸びるのはオカルトの…
>そのレベルの責任を押し付けられるほどの給料はもらってないっすよ!? 支部長ハウスを雉虎組施工の快適住宅にしてもらえば衣食住のうちふたつは王侯貴族並みになるから…まあ
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