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我輩は猫魔導師である! 〜キジトラ・ルークの快適ネコ生活〜  作者: 猫神信仰研究会


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203/288

【番外編】はたらくねこさん ~黎明編~

こちらはサーガフォレスト版・「我輩は猫魔導師である」五巻の発売記念SSとなります。

本編の時間軸とはズレがありますので、ご注意ください。


 その日、俺はペーパーパウチ量産に関する打ち合わせのため、王都のクロスローズ工房にお邪魔していた。

 店主にして工房長のクイナさんは、紙作りの職人さんである。


 紙と一口に言っても、その種類はたくさんある。

 たとえば前世においても、文房具屋さんに行けば和紙、印画紙、上質紙、コート紙、マット紙、クラフト紙、わら半紙、ケント紙など、様々な性質の紙が売られていた。


 こちらの世界でも、特にネルク王国では製紙産業がかなり発展しており、ぶっちゃけ品質では前世の平均的な紙といい勝負ができそうなレベルである。

 さすがに生産性と価格の安さではちょっと及ばないが、庶民が文房具として使える程度には普及しており、決して「高級品」扱いではない。


 化学分野が前世ほど成熟していないはずなのに、どうしてそこまで紙作りの品質が高いのか?

 この疑問への答えが、「魔力・魔法・各種の魔道具」である。

 こちらの世界には、「化学変化」ならぬ「魔力変化」という事象が存在する。

 つまり、各人の使用する魔法や魔道具が、素材に対して「薬品」と似たような効果を発揮する仕組みがあるのだ。


 転生者がちょくちょくいる割には蒸気機関や電気技術が生まれていないのも、初歩的なそれらと比べてしまうと「魔法や魔道具のほうが圧倒的に便利やん」という事情によるものかもしれぬ。技術の発展に「魔法」「魔道具」というデカい参入障壁がある感じだ。


 一方で「魔道具関連の技術発展」は素晴らしく、印刷・製紙界隈も魔道具抜きでは成り立たない。ペーパーパウチ用紙(仮称)の発明も、そんな環境から生まれた偉業である。


 発明者であるクイナさん自身が、まだこの発明の真価を全然理解しておられないのが歯がゆいが、流通が始まれば嫌でもわかるはずである。

 そしてその時、クイナさんの名が「発明者」として表に出ると、貴族や有力商人からの交渉とか圧力といった身の危険がないとも限らないので……その対応策も今のうちから検討しなければならない。


「……というわけで、今日は契約関係のお話をしたいのですが……金銭的な対価については、売上に応じて変動ということで合意を得られましたが、このことは対外的には伏せておいてください。クイナさんにとって良い内容でまとめた自負はありますが、それゆえに外へ漏れると変な勘繰りをされかねません」


 ……ぶっちゃけ、「バロメソースが大ヒット!」という流れの後でこの契約内容が外に漏れると、「クロスローズ工房には大金がある!」と犯罪者その他に確信されてしまい、防犯上の問題が出てきそう。

 クイナさん、ユナさんの姉妹とこの工房には、すでに猫魔法の護衛がついているが――彼らが動くと傍目には「ただの怪奇現象」に見えてしまうので、なるべく避けたい。


 俺はストレージから新規の書類を取り出し、カウンターのクイナさんへ手渡した。


「で、契約内容を伏せる代わりに、周囲へ説明できる内容の、偽の契約案をご用意しました。こちらは契約書の形にはしませんが、いわゆる『王都での常識』に即した、誰が見ても違和感のない内容になっているはずです。技術情報を買い切りにして、その技術の他言を禁ず、みたいな内容ですね」


「はぁ……私としては、本当にそっちでも良いのですが……」


 クイナさんは不思議そうなお顔であるが、猫はさらりと受け流す。


「いずれ必要になると思うので、口裏合わせのためです。近い将来、もしも他の貴族や商人からの接触があった場合、こちらの偽の契約内容を盾にして、ペーパーパウチ技術の販売先である『トマティ商会』、及び王都での協力者たる『宮廷魔導師ルーシャン様』に問い合わせるよう、伝えていただければ幸いです。あとのことはこっちで処理します」


「お気遣いいただいて恐縮です。法律とか契約のことになると、あんまり詳しくないもので……助かります」


 王都の職人さん達はだいたいそんな感じらしいが、そもそも特許とか著作権とかの法整備がなく、「貴族からの庇護」がその代わりになっているような状態なので――

 トマティ商会とペーパーパウチ技術の場合、建前としてはルーシャン様の庇護を受けつつ、リーデルハイン家と軍閥の影もちらつかせ、将来的には『国王』ロレンス様にも守っていただく感じになりそうだ。

 そしてその頃には、我がトマティ商会も一流企業の仲間入りを果たしているはずである。


 クイナさんが小さく挙手した。


「ところでルークさん、一つ質問があります」


「はい、なんでしょう?」


「紙の名称については、もうお決めになられました?」


 ……紙の名称。ふむ?


「ペーパーパウチ用紙……ではないんですか?」


「それはあくまで用途ですから、商品名としてはちょっと違和感があります。普通、技術を貴族の方に買っていただいた場合には、その貴族が商品としての名称を決めるんです。商会の場合でも同様ですね。もちろん、職人に提案をさせることもありますが――たとえば家の名前を混ぜて宣伝を兼ねたり、すでにブランドがある場合にはその名称を冠したりします。今回の場合、たとえばですが、『トマティ紙』とか『リーデルハイン紙』とか、ルーシャン様の家名から『ワーズワース紙』とか……そういう名称になるのが一般的ですね」


 アレか。ティッシュペーパーにネ◯アとかス◯ッティとかク◯ネックスとか名付けるような感覚か。いわゆる商標であろう。

 そういや前世の「ケント紙」も、イギリスのケント地方が由来だったっけ……?


 クイナさんの手が、考えこむ俺の背をそっと撫でた。


「今回は『紙そのもの』を商品として売るわけではないですし、『ペーパーパウチ紙』とかでも、わかりやすくていいとは思いますが……ルークさんのお話をうかがっていると、『ペーパーパウチ』というのは技術としての名称のようですし、紙の名前をこれと同じにしてしまうと、それが『技術』のことなのか、『紙』のことなのか、後々、少し混乱しそうな気もします。別の名前をつけてはいかがですか?」


 なるほどなぁ……そういうことも考える必要があるのか。

 まずトマティ紙はない。当面はうちで独占する予定の技術ではあるが、うちを『紙の業者』と勘違いされたら困る。

 リーデルハイン紙は……主な生産拠点はリーデルハイン領であるが、紙の名前に家名を使うと、当商会と子爵家の結びつきが世間への印象として強くなりすぎてしまう。


「トマティ紙とリーデルハイン紙は諸事情からダメですねぇ。ワーズワース紙も、たぶんルーシャン様としては避けたいところかと……クイナさんには何か案あります?」


「難しいですね。あの……私の本来の目標が、『ユナのポスターを長持ちさせられる用紙の開発』なのはご存知ですよね? そっちの紙には『クロスローズ紙』と名付けるつもりだったんです。今回のペーパーパウチ用紙は、その目標からはかけ離れているので、別の名前を用意したい印象で……」


 工房名を冠するのもダメか。こういう時、クラリス様やリルフィ様がいてくだされば良い案をくれそうなのだが、あいにくと今日は俺一匹で動いている。


「急いで決めることではないですし、もう少し考えてみましょう。紙についている商品名の例を、他にも教えていただけますか?」


「はい、それはもうたくさんあります。貴族の家名、産地の地名、職人や商会の名前……シンザキ様式の建築物でよく使われる、白くて温かな風合いの障子しょうじ用『シンザキ紙』とか、医療用のマスクに使われる高密度の『アルビオン紙』、書物の装丁用で、固くて丈夫な『プロトコル紙』……」


 ……転生者の名残とゆーか、前世とビミョーに関係しそうな名称なのは気のせいではあるまい。


「プロトコル……そういえば学者の家系として有名らしい『プロトコル家』の方が知人にいるのですが、何か関係ある感じです?」


「昔、その紙を作った職人に、プロトコル家が出資していたようです。今はもう製作技術が広まっていますし、利権などはもうないと思いますが、名前と名誉は残っている状態ですね」


 ……ううむ。「後世に残る」という要素も考慮したほうがいいか。

 ペーパーパウチ用紙は世紀の大発明であるからして、産業史、経済史に名前が残るのはほぼ確実である。


 この話はいったん持ち帰り、その日の夜、俺はクラリス様とリルフィ様にもご相談した。


「紙の名前……そういうのも決めなきゃいけないんだ?」


「……ルークさんが見出したものですし、商会主の名前でもありますし、『ルーク紙』というのはだめでしょうか……?」


「あんまり目立ちたくないのでそれもちょっと――クイナさんの発明品なので『クイナ紙』というのも考えたのですが、辞退されてしまいました。人名、地名は諦めて、用途や素材感を感じさせる名称のほうがいいかな、と考えているところです」


「素材感……灰色で水や空気を通さない、ゴワゴワで硬い紙……」


 考え込みながら、クラリス様が俺の喉を撫でた。ごろごろごろ。

 その後、いくつかの案が出た。

 雨雲みたいな灰色の紙だからクラウド紙。

 いろんなものを遮る性質があるからバリアー紙、もしくはウォール紙。

 前世のレトルトパウチはアルミニウムを使用していたので、フェイクも兼ねてアルミ紙……というのは、「アルミニウム」の知名度が全然ないので断念。

 ボーキサイトの鉱床は探せばありそうだが、そこからアルミニウムを抽出する技術が、こちらの世界に果たしてあるのかどうか……とりあえずネルク王国にはない。仮に他国に存在したとしても、世間に広まっていないということは機密扱いであろう。


 他にも案は出たのだが、どうもピンとこない。

 別にヒット商品を目指しているわけではないので、このくらいの安易なネーミングでまったく問題ないのだが……それでも何かもう一声、納得感というか、刺さる要素が欲しい。


 その時、クラリス様にもたれかかっていた白い巨大な毛玉が声を発した。


「ぴたごらすはひらめきました」


 ピタちゃんが天啓を得た。


 ……でもソフトクリーム紙はさすがにちょっとなぁ……関連ないし……


「みずとくうきをとおさない、はいいろのかみ……ひかりをはんしゃさせるとにぶく

ひかって、まるできんぞくのようです。ルークさま、『シルバー紙』というのはどうでしょう」


 …………………………えっ!? まともな提案!?!?


 ピタちゃんの思いがけないムーブに動揺するあまり、目を見開いて硬直する猫一匹。


「ピ、ピタちゃん……? だいじょうぶ? ソフトクリームたべる……?」

「いただきます」


 よかった、いつものピタちゃんだ。


 良いアイディアへのご褒美として、リルフィ様に持ってもらったソフトクリームを一心不乱に舐めるピタちゃん。

 その姿を横目に、クラリス様はちょっと不思議そうなお顔。


「シルバー紙……イメージとしてはわかるんだけど、金属を使った高級な紙とか思われないかな?」


「それはむしろ好都合です。そもそもコスト的には絶対有り得ないので、あくまで『色のイメージ』からのネーミングだと伝わるでしょう。誤解されたらされたで、実際の素材を勘違いさせる効果も期待できますし、製造コストが高いとでも思われれば、うちで技術を独占しやすくなります。もちろん将来的には解ける類の誤解ですが、トマティ商会の足場が固まるまでの時間稼ぎができれば充分なので、積極的に誤情報を流したいくらいです」


 さらなる検討の結果、印刷用の紙ではないし、性質的にも「紙」のイメージからは逸脱しているので、こちらのペーパーパウチ用紙は『シルバーシート』という品名に落ち着いた。

 

 ……前世感覚だと「高齢者の優先席」みたいな呼び名になってしまったが、こちらの世界にシルバーシートは存在しないのでまぁよかろう。

 そもそもアレ、「老人用の席だからシルバーシート」になったわけではなく、「国鉄が優先席に銀色の座席モケットを採用し、それを『シルバーシート』と名付けた結果、シルバー=老人を指すイメージになった」という話を聞いたことがある。

 つまり「イメージに即したネーミングをした」わけではなく、「ネーミングから新たなイメージが生まれてしまった」例なのだ。


 そのため、海外では「シルバー」に「老人」という意味合いはなく、「グレイ」や「ゴールド」などが高齢者をイメージさせる色となっている。たとえばロマンスグレイとかゴールデンエイジとか、リトルグレイとかゴールデンレトリバーとか……後半は違うな?


 翌日、クイナさんにもこの提案を持っていき、「いいと思います!」と、めでたくパウチ用紙のネーミングが確定したところで――拳闘士のユナさんが練習からご帰宅された。


 せっかくなのでおやつタイムにそのお話をしたところ、ちょっと苦笑い気味であった。


「シルバーシート……うーん、シルバーシートですか……」

「あれ? なんか気になる要素とかありました?」

「いえ、そういうわけじゃないんですけど……ノエル先輩が、なんか調子に乗りそうだなぁ、って」


 拳闘の女子王者、ノエル先輩。

 そのフルネームは「ノエル・シルバースター」で、持っている称号は『白銀の拳聖』――なるほど、銀色である。


「そのシルバーシート?の広告を企画する機会がもしもあったら、ノエル先輩にも声かけるといいですよ。たぶん喜んで乗ってきます」


「バロメソースの広告は出しますけど、袋の広告はないでしょうねぇ……この『シルバーシート』の名称も、各商会や産業関係者には広まるはずですが、一般レベルにはあんまり浸透しないと思います。そしてバロメソースの広告に関しては、ぜひユナさんにご協力いただければと!」


 ユナさんが九龍球(色とりどりのフルーツを丸いゼリーで包んだ香港発祥のスイーツ)をスプーンですくいながら、目をぱちくりとさせた。


「私でいいんですか? それこそノエル先輩もいますし、トマト様は赤いので、そのイメージに合いそうな赤い髪の人気選手もいますけど」


「ノエル先輩と一緒が良ければその方向で検討しますけど……いずれにしても、ユナさんにはぜひご協力いただきたいです。まっすぐ突っ込むあのファイトスタイルが、活力の湧くトマト様のイメージと相性いいですし、これから商売を立ち上げる我々としては『挑戦者!』的な勢いも欲しいんですよね」


 CMや広告においてより重要なのは、知名度や人気そのものよりも、この「イメージ」「印象」である。

 追記すれば、パウチ用紙の「シルバーシート」という品名も、「(イコール)優先席」というイメージがないこちらの世界だからこそ成立したネーミングであり、前世だったら別の名前にしていた。


 まぁ、広告といっても媒体が新聞とかチラシであり、テレビとかラジオはないので、ユナさんご自身に何かしてもらうことはない。せいぜい原画のモデルくらいだが、それすら既存のポスターやブロマイドを参考にできる。

 広告起用の場合、本人と『戦乙女の園』の運営側から同意を得た上で、規定の料金を払えばいいらしいので、ハードルもそんなに高くない。

 

「ルークさんにはお世話になっているので、私でよければもちろん協力しますけど……正直、あの美味しさなら、広告とか要らないと思うんですよね」


 ユナさんは純粋にそう思っていそうだが、これは追加の説明が必要か。


「必要なのは、売上を確保するための宣伝広告ではないのです。『社会的イメージ』を作り上げるための、印象操作……これが最大の目的になります。ついでに王都で大人気の拳闘を支援する姿勢を見せることで、拳闘好きの方々に、『トマティ商会は支援者』と思ってもらえます。王都の市場に新規参入する外様とざまの我々にとって、この効果は馬鹿にできません」


 狙いはもう一つある。

 ユナさんを広告起用し、運営側とのパイプを得ることで――拳闘場での出店にも、トマト様の関連メニューを採用してもらえるよう、働きかけやすくなるのだ。

 ついでに選手の皆様の食事にも採用してもらえれば言う事なし! これがセールスプロモーション、いわゆる販促活動である。


 ククク……王都では、場当たり的にこれらの経済活動をやっている商会はちらほらあるのだが――その効果をきちんと検証したり、二手先、三手先の明確な目的をもって手を打っているところはほとんどない。

 商売のノウハウ的な書物もあんまりないし、基本的には思いつき&経験則でみんな動いているので、前世知識を持つ俺はこの点でも割と有利だったりする。ちゃんと転生者ムーブできててえらい。

 ……亜神の立場でやるべきことかどーかは、まだ議論の余地がある……(反省)


 二日連続、日帰りでの王都出張を終えてリーデルハイン領へ戻ると、本社の休憩室でナナセさんが、みんなに囲まれて黄昏たそがれていた。どしたん? 話聞こか?


「……あ、社長。おかえりなさい」

「ただいまです! ……元気ないみたいですけど、何かありました?」


 ジャルガさんが愛想笑いを返す。


「いえ、そういうわけではないんですが……」

「……社長がまとめてくれた、春からの宣伝施策の予定表を見ました……」


 あー。アレか。今朝、「来年の予定なので、一応把握しておいてくださいね!」と渡しておいたやつ。


「やはりまだ草案ですし、詰めが足りないですよね……」

「……いえ、充分です。充分以上によくまとまっています。効果的だと思いますし、社長の人脈のヤバさも思い知りました……でもですね、でも、あの……」


 ナナセさんがちょっとだけひきつっている。あくまでちょっとだけ。


「どうして、どうして王都での偉い人達との会談・折衝役が、ぜんぶ私一人なんですか!? 新入社員ですよ!? なんで侯爵家とか公爵家とかが普通に並んでるんですか、この接触予定リスト!?」


 あー。それか……


「大丈夫です! もちろん私も、手荷物のような顔をして同行します。まぁ……ご存知の通り猫なので、対応役としてはナナセさんに頼るしかないのですが……」


 ジャルガさんは(美人だけど)お貴族様に対応できるほどの教養はさすがにない。アンナさんとカイロウ君はそもそも商習慣にすらうとい。グレゴールさんは初対面の相手をどうしても威圧してしまいがち……

 そしてクラリス様達は「ホルト皇国へ留学中」なので、商会的には頼れるのがナナセさんだけなのだ。

 付き添い・護衛としてケーナインズは連れて行くが、お貴族様との商談ならば、ナナセさんのほうがぜったい頼りになる……


「その方達は、ルーシャン様やライゼー様が先日、バロメソースの試供品を配ったお貴族様達でして……トマティ商会としても、出店時にはご挨拶にうかがう必要があるのです。でも実際には当主様ではなくて、執事や使用人の方との会談になることが多いかと思いますので、安心してください!」


「……あ、そうなんですか……? そ、それはそうですよね! 侯爵様とか公爵様なんて、普通は会えませんよね!」


 ……………………うん。そうね……もし『リーデルハイン家の陞爵しょうしゃく予定』と、『新規ダンジョンの発見』さえなかったら、その当地から来た商会の挨拶なんて適当に流されるでしょうけれどね……今回だけはちょっとね……たぶん(現地情報の収集のために)当主本人が出てくるケースのほうが多くなるよね……


 ナナセさんの胃をおもんぱかり、ここは優しい嘘をつく猫一匹……

 悪い社長でごめんね、ナナセさん……(合掌)


 ……間に合った……? (一応)間に合った!


 というわけで、書籍5巻の発売記念SSでした。

 新入社員ズは本編のほうでしばらく出番を作れないので、ここらで少し補完をば――


 さて、おかげさまで会報5号、各所で無事に発売中のようです。

 冒頭付近からオズワルド氏が挿絵に登場、ユナとサーシャのスパーリングに英検ブチギレ猫さん、貸衣装屋でのコスプレ?と、今回は余録以外の加筆も多めでお送りしております。


 電子も含めて、店頭orサイトでお見かけの際にはぜひよしなにー。


 




 ……あとがきの行数計算を完全に間違えて、二ページで収める予定が三ページになってたとかいまさら言えなぃ……orz

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― 新着の感想 ―
ナナセくん、新入社員しかいないんだよ。
大丈夫大丈夫1頁くらい。後書きが3行ほど長かったせいで そのあと白紙が十数頁あるって本を見たことがあるから。
ルークさんは前世の職でコンサルティング業でもやっていたんだろうか あまりにも的確な営業戦略でびっくり
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