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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

悪役令嬢がやってくる

今更騒いでも、もう遅い! ~女神様は恋愛至上主義~

作者: まい

 タイトルはわざと。


 最近見かける頻度が高いので、ふざけてみました。




 あと、これは世界設定の解説が過剰なブツです。


 本編と呼べる部分はとても少なく、ハイスピードで過ぎます。


 「え? これだけ?」と呆れないで下さいね?

 神と人類との距離が近い世界。


 ここはイチーヤラアブ王国。


 「なにがなんでもまず愛だ」を(かか)げる女神、ラアブを守護神として(まつ)り、その名を(いただ)く国。



 このラアブ神は、懐が中々に深い。


 男女の恋愛のみならず、本気なら種類を問わず道ならぬ(インモラルな)愛だって祝福し、命の営み(よるのうんどうかい)も推奨する。


 同性で婚姻(けっこん)しても、神の力にすがれば子供を授かれたりする、とても素晴らしい女神である。


 女神の祝福を受けた国民は、肉体的な出産トラブルと無縁になるし、子供を産めない体になる事も無い。


 病は普通にかかるが、死病と呼ばれる重すぎる病に関しては女神の力で発生しないよう、抑えられている。


 また、容姿は千差万別。 派手なピンク髪が地毛となる子も普通に産まれるし、成人でも身長が子供みたいな人類も時折見かける。


 祝福によって見目の良い民ばかりで、国では普通の子と扱われても、他国の基準では美少年美少女と言う現象もザラ。


 ラアブを奉る国の美男美女は、他国では傾国……つまり戦略兵器として認識され、恐れられている。


 狩猟も漁も、(かて)となった生き物への感謝を忘れなければ、命を奪う罪に問わないので問題ない。



 そんな存在こそが、ラアブ神。


 この女神を下世話な言葉でまとめてしまうと、こう言えるだろう。




 愛の女神




 馬鹿にしているのかと言われかねないが、そうとしか言えないのだから仕方がない。


 その理由は、物の本でラアブ神が言ったとされる言葉を抜き出せば、嫌でも理解できるだろう。


「愛さえあれば」「愛は何物にも(まさ)る」「他人の恋愛事情をオカズに、いくらでもごはんを食べられますわ」「よしいけ、そこで(えぐ)る様に口吸い(ちゅー)だ」


「おいチ○クシャ(へたれ)、そこでなぜ押し倒さない」「近くで恋愛臭(らぶしゅう)がする」「恋愛は格闘技」「恋愛の狙撃主は最強」「初々(ういうい)しい看病でドキワクは、見てる方もご馳走」


「真剣ながら(ひそ)やかな道ならぬ恋愛もまた、美味」「本気で愛し合うふたりの仲を邪魔するなかれ」「(にせ)婚約が本当の婚約になるのって良いよね」


「未亡人を支えていたら、それが恋愛に発展するとか笑いが止まりませんわ」「ひとりを(にぎ)やかに取り合うとか、ニヤニヤしますねぇ」「すれ違ったまま別れるのは悲しすぎる」


「貴族の政略結婚でも愛が芽生えるなら良いけど、苦痛しかない場合は悲しい」「動物と? お互いが本気なら、良いでしょう」「真剣に愛し合ってるからって、何しても良い事にはならない」


 まだまだ抜き出せるが、ひとまずこれまで。



 ピーピングトム(でばがめ・のぞき)にしか見えないが、真剣に恋愛をする者へは本気で応援する。


 相手の居ない者の娼館利用だって、いつか本気になれる相手と会えたらいいねと、生暖かく見守り容認している。


 もちろん働いている側も、(いつわ)りとは言え愛を教える者として祝福で保護され、仕事中での病気等とは無縁でいられる。



 まるで近所の浮いた話が大好きな奥様みたいな性格だが、力を持って行使している女神である。


 愛する信徒へ、祝福と言う愛で包んで久しい。



 (ゆえ)に、愛の女神。



 この女神を奉る国は性質上、身分違いによる差別がとても少なく、おおらかな性格をした者が多い。


 貴族や王家でも、複数の夫人を抱える事がとても少ない。


 様々な愛の形を認め、その形を守れる環境づくりに本気を出す女神が御座(おわ)すので。




 そんな女神でも、認められない事がある。


 それは――――



~~~~~~



 王都の大聖堂。


 女神像前に神力(しんりょく)で浮かぶ、成人男性の頭並に大きなハート型のピンクダイヤを通し、女神へ結婚の誓いを宣言するのが結婚式でのならわし。


 余談だがどんな小さな村でも、像のサイズが違えども、女神像が置かれて浮遊するピンクダイヤが現れれば、そこは立派な教会となる。


 そんな女神の愛に満ちた場所で、関係者や国民の代表などを呼び、美男の王太子と美女である婚約者の結婚式が行われる。


 ……はずだったのだが、この場には婚約者がおらず、出席者や大聖堂の外で見物していた者も含めて、空気が()てついていた。



 原因は王太子。


 式の段取りをまるっとすっ飛ばして、見事なウェディングドレスで着飾った見知らぬ女性を連れてきて、大演説を()ち上げたから。


 女性との馴れ初(なれそ)めから始まり、恋し、どれだけ愛しい相手なのか。


 そしてそれを聞かされる結婚予定だった婚約者側の関係者からは、それはもう筆舌(ひつぜつ)に尽くしがたい感情が伝わってくる。



「――――結婚相手を、この女性(ひと)にする! 婚約者(アレ)への愛は尽きた! 私はこの人を心底愛そうと決めたのだ!

 この人も私を婚約者(アレ)に代わって愛してくれると、誓ってくれた! 愛があれば大概(たいがい)の事は許されるのが、女神の教えであろう!?」



 ははっ、王太子はぬかしおる。


 しかも()()()()()()()ウェディングドレスの女性を連れた状態で。




 ラアブ神は愛の女神。


 確かに愛があれば、大抵の事はガバガバ判定によってセーフとなる。


 見物に来ている国民には、王太子へ同意する姿が(わず)かに見られる。



 だが、熱心な信者達は知っている。


 熱心でなくとも、周りをよく見ている者も知っている。


 女神でも許さない、認めない愛もあると。



 この王太子へ声をかけたのは、父たる国王。


 目が()わっており、強い威圧感を感じる。


「ならばここで演説せずに、神へ誓えば良かろう?」


 挑発するような、突き放すような声で(うなが)せば、王太子は「うむ!」と応じて意気揚々とピンクダイヤの前まで女性と共に(おど)り出る。


 それから王太子だけ諸手(もろて)大仰(おおぎょう)に振り上げ、声を張り上げた。




「女神ラアブよ! 婚約者との婚約を破棄し、この者と婚姻する事を認め(たま)…………たま!? タマああああぁぁぁぁあああ!!!!?」


 たま?


 (たま)で一度とまり少し腰回りをなで回したと思ったら、急に海老反(えびぞ)りながら奇声を上げた王太子の様子を見て、この場に(かい)した一同の頭には、その言葉が浮かんでいるだろう。


 だが、少数でもこの現象を知っている者もいる。


 これは……。



「ラアブ様よりの罰だ。 ラアブ様は筋を通さない愛を認めない」


 すかさず解説を差し込む国王に、事情が分かっていない参加者全てが首を(かし)げる。


「今後一切、通常の子作りはもちろん、女神様へ()うて子供を授かる事も出来ない証として、こやつの()を否定されたのだ!!」


 ひぇっ!


 罰の内容を知った男性諸氏の大半の腰が、今一斉に引けた。


 もちろん国王の腰も、よく見ないと分からない程度だが引けている。


 王太子は海老反っている体勢のまま、顔の色を無くして気絶中。



「罰を食らうのは男だけではない! 女は定期的に崩れない体調の異変で、実感するだろう!」


 ウェディングドレス姿の女性は()()()()()()()を目視して顔面蒼白になり、膝から崩れ落ちて両膝立ちした状態で放心。


 この異変が何なのかに気付いた女性は、思わず悲鳴を上げる。


 残る人達の中で、気付きはしたが悲鳴を上げず、とても微妙な顔をする者達もいる。


 毎月のつらいアレが来ないなら、それはそれで楽になって良くない? とか思ってしまうのだろう。


 デメリット(わるいぶぶん)はとても大きいが、メリット(いいぶぶん)とも思ってしまうのだ。


 でも今後一切子供が出来ないのは……と葛藤(かっとう)してしまうのだろう。




 次代の国王の慶事(けいじ)となるはずだった明るい会場は一変し、悪夢がごとき災厄に見舞われた。


 少しして気が付いた王太子が、ハート型のピンクダイヤや女神像へ女性との本気の愛を叫ぼうとも何も起きず、国王からの指示で騎士が動いて王太子と女性をどこかへ運んでいった。



~~~~~~



 女神ラアブは筋の通らない恋愛を認めない。


 婚約者がいるのに、他の誰かと愛を(はぐく)むなんて認めない。


 しかし愛し合う二人へ別人を(あて)がう、引き裂くような婚約は認めない。


 愛の無い婚約をしてから、他の誰かを愛していたと気付くのは大好物。


 でもだからって、愛が無くともその婚約をないがしろにしてしまうのは、望ましくない。 ちゃんと話し合え。


 


 不貞は嫌いだが、関係者の全員が承知しているなら認める。


 でもやっぱりこっそり不貞・不倫なんてしないで、全てを関係者全員に打ち明けて清算して欲しいと願っている。



 他にも愛し合う者達を理不尽に引き裂く悲劇や、愛し合える相手と出会えるかも知れない未来を奪う行為も認めない。


 遊びや欲望、悪意でする寝取りなんて、もってのほか。


 強盗とかに押し入って、ついでに乱暴したとかふざけるな。


 つい、とかムシャクシャしたからとか、そんな理不尽なんてくそ食らえ。


 他人の幸せは言祝(ことほ)ぐものだろう。


 不幸せな結婚生活から救いだす系の寝取りは、正直微妙。 両者の敬意とか行き違いとか悲劇とか、要因が色々あって判断が難しい。




 信者達の恋愛劇を、まるでドラマみたいに眺めて楽しんでいるラアブ神。

 だからこそ、その(もと)(つど)う者の幸せを望んでいるのだろう。

イチーヤラアブ王国

 イチャラブ。 ただそれだけ。 それをもじっただけ。


ラアブ

 愛さえあれば。 バリバリ恋愛脳で、守備範囲はとても広い。 素敵な(面白い)恋愛模様を見つけると「あら~~♪」とか言って、とても喜んでいるらしい。

 今回みたいな天罰を下したり、大きな災害や戦争が起きると明るい恋愛なんてしてる場合じゃないので、予知として神託。 作中でちょろっと出た農作物の安定生産化など。

 そう言った力を振るっているために、人類にとても身近な神として(うやま)われている。


王太子

 名無し。 婚約者を捨てて、他の女性へ入れ込んだ不倫男。

 頭お花畑で、女神の教えを都合よく解釈して、暴挙に出た。

 ラアブ神からの罰=破門とも言えるので、平民として国外追放された。


婚約者

 名無し。 式が始まっても、婚約者の王太子が迎えに来ないから、事故か? とか心配しながら待ちぼうけしてる、とても良い子。


ウェディングドレスの女性

 名無し。 王太子に惚れ込み、猛アタックで寝取った女性。 王太子と同じく頭お花畑。 こいつこそ悪役令嬢。

 ラアブ神に罰を受けた上で見放され、王太子と同じ流れに。

 それでも王太子と一緒に居られるから、それで十分とか思っているのか、王太子を甘えさせまくって堕落の道へと連れていっているのに、本人はまだ気付いていない。


その他

 モブの皆様。 ラアブ神の祝福で、モブとは思えない外見をしたモブも多数存在する。




世界設定?


容姿設定

 特に設定はしておりません。 多くても2000文字とか程度の文量を想定していて、サラッと読める作品として書いていました。

 結果は……はい。 これで、更に容姿まで描写したらクド過ぎますので、省略。 そんな形となりました。


赤ちゃん事情

 本編でこそっと言ったけど、ストレート(ヘテロ?)の男女が行う子作り以外でも、子供を授かれる手段が存在。

 大聖堂以外にも村の教会でも可能。

 浮くピンクダイヤに、結婚相手とふたりで子供が欲しいと願うだけ。

 それでふたりに似た赤ちゃんが現れる。


恋愛事情

 かなり自由。 身分差はロマンにあらず。 そんなのを気にする国民は極めて少ない。

 赤ちゃん事情がアレなので、人口減少が! とか言う問題が入り込む隙間などない。


結婚事情

 結婚したら表面化する、性癖(せいへき)問題。

 特殊な物は家族で要相談。 ふたりで乗り越えられれば良いけど、駄目な場合は特殊なパートナー関係を他者と結んで解消する事も、承知の上なら黙認されている。


宗教事情

 神々として、ひとくくり。 そこからどの神を主神としてあがめるか、それが宗派となる程度。 宗教と言えばこんな感じで、宗教戦争は起きないので安心。


ハート型の浮くピンクダイヤ

 大聖堂や教会などへ建立した女神像の前に、いつの間にかポヤッと出現する物体。

 女神ラアブがその地を祝福している証にもなっている。

 見れば見るほどピンクダイヤなのだが、さわれず盗むことなど出来ない。

 手に取れないのになぜピンクダイヤと分かるのか? と問われても、そうとしか思えないのでそう呼ばれている。

 まさに神の力や存在を示す一端。


追放処分の、ふたりの今後

 美男美女(傾国)が野へ解き放たれた。

 そうなったらどうなると思う?

 波乱万丈。

 ()む事の無い人生の危機。

 プライベート クライシス オン パラダイス!

 平穏が訪れない人生よ、こんにちは。



言い訳

 異世界恋愛カテゴリに、これが該当するのか?

 その辺は、頭お花畑コンビと恋愛大好きな女神と作中で連呼されている“愛”が、恋愛成分という事でどうかひとつ(滝汗)

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― 新着の感想 ―
[良い点] ラアブ神様を崇めよ [気になる点] 追放物によくある「まだ付き合ってない二人をクズ男がかっさらう」とか「実は最初からクズ男の女だったけど気のある振りして良い感じを演出してた」とかはラアブ神…
[良い点] シェル:浮気はダメよ? 浮気は!! [気になる点] ティアナ:ガクガクブルブル セレ&ミアム:ひぇぇええええええぇぇぇぇっ!! [一言] エルハイミ:ふーんだっ! みさきR:w
[一言] 愛は偉大だ!    恐ろしい神罰でした。
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