表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

企画参加作品

汽車

作者: 桜桃露雨
掲載日:2020/07/21

イルカさんの「なごり雪」の雰囲気を真夏に。

この村を出ていく少女を見送る「わたし」

だが、この村にあの少女は住んでおらず、誰も訪ねてきていない。


 いつからだろう?ホームに少女が立っているのは…水田を渡る風は肌に心地よく、せみ時雨すら涼しげに聞こえる。汽車を待っているように、線路の先を時たまのぞき込み姿が垣間見え。

 山影から煙が見えてきた…もうすぐだ、あの山影にもうすぐ汽車が現れる。

 白いワンピース、腰を赤いリボンで絞った姿…わら帽子を模した、白いつば付きの帽子から見え隠れするおさげの先にも同じ赤いリボンが見える。

 ベルトで閉める革の小ぶりなトランクを足元に置いてノースリーブの袖口に見え隠れする白い肩がきらりと光るのは汗だろうか?

 汽車が到着し少女が乗り込む…その時ちらりとこちらに微笑みかけたうっすらと色づく唇がやけに鮮明に見える。

 ああ…汽車が出ていく、少女を乗せて…


 不思議なのはこの集落に住む人間は全員顔見知りだがあの少女は初めて見た。


 ひときわ大きくせみ時雨が響き、一瞬感じた眩暈を振りほどくように頭を振ると…そこはいつもの駅だった。国鉄合理化でディーゼル化せずSLが引退する前に廃線になった単線ローカルの跡地で駅舎は公民館として使われている。…そう、線路跡はすでに土砂崩れでふさがり、国鉄から払い下げられた駅舎は公民館としての余生を過ごす。


 だが、私は確かに…数十年ぶりの最終列車を見たんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ