コーヒーブレイク
「現市長と魔族が繋がっていることはわかった。だが、それなら私達を狙う理由はなんだ?」
詩音の疑問にセルイは頭をかくと、
「そこなんスよね〜! 魔族との繋がりはわかった。けど、オレ達を狙う目的が見えてこないっス!」
唸るセルイと詩音は、しばらく考え込む。しかし答えは出てこない。
「ん〜!! ダメっスね! わかんねぇ!!」
「同じくだ」
結論が出ない二人は、場所を移動する事にした。
現市長の生家跡を出て、近くのカフェに入る。適当に注文をすると、席に座る。
「はぁ〜! とりあえず休憩っス!!」
「かふぇというのか? 初めて入ったが、雰囲気が……なんと言っていいのかわからんが、不思議な感じだ」
「詩音の世界には、こういう飲食店ないんスか?」
セルイの疑問に、
「食堂はあったがな。こういう店はない……はずだ。多分」
歯切れの悪い詩音に、
「そうっスか。じゃあまぁ、お初って事で!!」
そうあえて明るく言うと、詩音は微笑み、
「……お前は優しいな。人間よりも」
彼女の言葉に頬をかくと、
「……オレは……。まぁいっか! そうっスよ! 優しい吸血鬼なんスから、少しは敬ってほしいっスね!」
「? 敬われたいのか? 初耳だ」
呑気に言う詩音に、セルイはわざとらしい咳をすると、そのタイミングで注文の品が来た。
「ささ、飲んで飲んで!」
セルイに促され、詩音が注文したカフェラテを飲む。
「……美味しい」
詩音の言葉にホッとした顔をする。
「よかった〜! 口に合うか心配だったっス!」
そういうとセルイも注文していたコーヒーを飲む。
「? お前のはまた違うな?」
「ブラックコーヒーっスね! 初めてには苦いかもっス!」
「そうか。それじゃ遠慮しておこう」
そう言うと、二人はしばしコーヒーブレイクを楽しんだ。
「それで? この後はどうするのだ?」
詩音の問いに、セルイは、
「そうっスね〜。もう少し魔族の事を調べたいっスけど……。アテがないっスからね……」
「どうしてそんなに魔族にこだわるのだ? 私が言うのもなんだが、本題は聖リントの残党では?」
詩音の指摘に、セルイは頷くと、
「そうなんスけどね〜!! あっちはあっちで手がかりないし……。どうしたものか?」
その時だった。セルイのスマホが鳴る。
「! マリ達からっス!」
「!!」
「もしもし。……うん。うん。……なるほど。……わかったっス!!」
セルイは通話を切ると、
「マリ達がなんか掴んだみたいっス!! 行くっスよ! 詩音!!」
「あ、ああ。ちょうどかふぇらても飲み終わったしな! 行こう!!」
****
二人がマリの家に着くと、レオンが玄関前で待っていた。
「お二人とも、思ったよりお早かったですね?」
「そりゃあ、急いで来たっスからね!」
「それで? 何がわかったというのだ?」
二人の反応に、のんびりとしながらレオンが言う。
「それは中に入ってからです。……どうぞ」
促されるまま中に入り、マリの部屋に入ると、
「遅かったじゃない!! こっちは命懸けなのよ!! 呑気にティータイムとかしてたら許さないんだからね!?」
不機嫌そうなマリに苦笑いを浮かべると、詩音が、
「こーひーぶれいくしてただ……むごっ!」
「しー。余計な事言わない!!」
「聞こえてたわよ!! ふん!」
マリの機嫌が更に悪くなる。そんな様子を見て、
「そうカリカリしていては、美しいお顔が台無しですよ? 私の愛しいマリ」
レオンの言葉に、頬を赤く染め、マリは、
「ふん! 今回はレオンに免じて許して上げるわ!! ……それで、本題だけど!!」
静かに先を促すセルイと詩音を確認すると、マリが話し出した。
「聖リントの残党だけど……居たわよ」
「!! ホントっスか!?」
「ええ。表向きは……現市長直属の部署のスタッフの中に、アンタ達が寄越した反対派のリストと合致する人物がいたわ」
マリの言葉に、セルイが目を丸くする。
「!? つまり、こうっスか? 現市長派の中に聖リントの残党がいたと。……つまり、最初から現市長はハンナ教団と敵対するつもりだった?」
マリは頷くと、
「その読みで正解ね。この二組織はただ敵対しているだけじゃない……アンタ達を巻き込んで敵対しているわ」
その言葉に、詩音が反応する。
「私達を巻き込んで? なぜだ?」
詩音の質問に、マリは首を振ると、
「さぁ? 南部聖司の娘だから……魔剣と関係あったから……吸血鬼だから? 理由はわからないわ」
そう言われ、詩音が言う。
「……そうか。う〜む。なんだか踊らされている感じで不愉快だな!!」
「詩音に同感っスね。……俺を踊らせるとはいい度胸だ……」
静かに怒り殺気を放つセルイに、三人は身震いすると、レオンが話題を変える。
「と、とにかく! 残党はみつかりました。次はどうされるのです?」
彼の言葉にセルイはいつもの調子になると、
「そうっスね〜。オレ達の情報と引き換えにするつもりで、聖リントの残党のリストを渡してきた……それも、自分の部下の情報をっス。おかしいっしょ?」
セルイの話に頷く三人。その様子を見て、
「これ自体が罠って可能性もあるっスね……。マリ、他の件で新情報は?」
突然話を振られたマリは戸惑いながら、
「……他? 進展はないわよ?」
「そうっスか。じゃあ、引き続き調べてほしいっス! 」
「……わかったわよ。アンタを敵に回すのは二度とごめんだわ」
そう言うと、マリは机のパソコンに向かう。それを確認すると、セルイは詩音と共に部屋を後にした。
「それじゃあ、レオン! マリの事頼んだっスよ!」
「ええ、お任せください。……現市長との戦いの際には、是非このレオンをお呼びください!」
最後の言葉に苦笑いを浮かべながら、二人はマリの家を後にした。
「さてと! どうしますか!!」
ん〜と伸びをしながら、セルイが言うと、
「……。現市長とやらが我々になぜこだわるのか? そこが知りたい」
詩音の言葉にセルイは頷くと、
「そうっスね! そんじゃ現市長を探りますか!」
「? どうするのだ?」
首を傾げる詩音にニヤリと笑うと、
「そりゃあ、聞くんスよ。……現市長に直接ね!」




