皇
「それで? すまほでどうやって探すんだ?」
首を傾げる詩音にセルイが言う。
「オレ達の情報を買おうとしてるヤツに絞って、調べて行こうかな〜って思ったっス。なんで、マリ達にデータを送ってもらうっス!」
そう言うと、スマホを操作する。すぐにデータが送られて来た。
「さてさて、何か進展するといいんスけどね……」
データを閲覧し、めぼしいものをピックアップしていく。
「ん〜と、コイツとコイツとコイツ……んで……!?」
セルイの手が止まる。
「? どうしたのだ?」
「……以外な名前が出てきたっス」
「……以外?」
またしても首を傾げる詩音に、セルイは、
「……この街の現市長っスよ!」
「!? どういう事だ!?」
驚きながらも冷静にセルイが言う。
「オレにもわかんねぇっスけど! オレ達を狙う必要が現市長にはあるって事っスね!」
「……どうするのだ?」
疑問符を浮かべたままの詩音に、
「そうっスね……」
それだけ言うと、セルイは無言になる。しばらく考えたのち、口を開く。
「……餌を撒きますか!」
****
夜になり、二人は隠れ家を出る。
「なぁ、本当にかかるのか?」
不安げな詩音に、
「……五分五分っスね。ま、やってみますか!」
二人が着いたのは、西部にある船着場だった。気配を消し、コンテナの一角に隠れる。
しばらくして、船着場に誰かがやって来た。その人物は、声を張り、
「おい! 不知火セルイと篠楽木詩音の新情報を貰いに来た!! 出てこい!! 皇マリ!!」
そう呼びかけると、スーツケースを置く。その様子を見た二人は頷きあい、一斉にその人物を取り囲む。若い男だった。二人は武器を構える。
「な!? ……謀ったな!! クソ!!」
悪態をつきながら男は抵抗せず両手を上げる。
「さてと、どこの誰か教えてもらうっスよ?」
そう言うとセルイは男の身体を触って調べ、銃を没収し、名前が書かれたプレートを見る。
「危ないのをお持ちで。えーと、なになに? 市長秘書の……和宮類!?」
その名前に、詩音が反応する。
「確か、シーニー殿の部下に和宮と言う男がいなかったか!?」
セルイが頷くと、男=類は不気味な笑みを浮かべ、
「弟を知っていたか。全く、参ったな!」
そう言うと類はわざとらしく咳払いをすると、一瞬のうちにジャンプし、煙幕を投げた。
「ゴホッゴホッ! これだから忍者は!! 狡いんスよ!!」
「またこれか!? にんじゃと言うのは厄介だな!! ゴホッ!!」
咳き込む二人を嘲笑うと類は、
「そのスーツケースはくれてやる!! 精々足掻けよ!! 死なずのセルイと閃光のブラックパール!!」
それだけ言って姿を消してしまった。
「どうするのだ!? セルイ!!」
「とりあえず、詩音は離れて!! オレがスーツケースを開けるっス!!」
セルイの指示通りに詩音が距離を取ると、慎重にセルイがスーツケースを開ける。
中には札束と、何かの資料が入っていた。爆発物等が無いことを確認すると詩音を呼び、資料だけ取ると足早に二人はその場を後にした。
****
隠れ家に戻ると、セルイが電気を付け、資料を開ける。
「さてと、何があるかな?」
「なぁ? あのお金は持ってこなくてよかったのか? この世界の単位はわからんが、結構な金額だったのではないか?」
詩音の言葉にセルイは頬をかきながら、
「いやぁ、ああいう金ってきな臭いし、受け取ったら後々面倒な事になったりするんスよ! あの秘書が持ってきた資料だけで十分なんスよ。オーケー?」
納得したのか無言で頷く詩音を確認すると、セルイは資料の封を開ける。
中に入っていたのは……聖リントの内部報告書だった。
「な!?」
「む? なんだったのだ?」
読めない文字だったからか、覗き込むのをやめ、素直に聞く詩音に、
「これには聖リントについて書かれているっス。なになに? どうやら聖リントがハンナ教団に変わる事と……神さま反対派の顔写真付きの名簿っス!!」
セルイの話を聞いていた詩音が目を丸くする。
「反対派と言う事は、つまりは残党か!?」
「そう見たいっスね! その反対派のリーダーの名前は……皇陽一!?」
「な!? 皇って!!」
詩音の言葉にセルイが頷きながら言う。
「マリの苗字と同じっス! おそらく偶然じゃない!! マリ達の所へ行くっスよ!!」




