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時間

「明日だと!?」


  あまりに急な話に、詩音が驚く。


「なるほど。強引な手段を使って来た理由はそれっスか」


  セルイの言葉にシーニーが頷く。


「ええ、もう時間がありませんの。ワタクシ達としても全面戦争をしたくはないんですのよ? 出来れば穏便にハンナ教団を壊滅させて頂きたいですわ」


「戦争! 壊滅! なんて甘美な響きでしょう!」


  シーニーの言葉に反応し、テンションを上げるレオンをセルイが睨んで黙らせる。


「壊滅って言ってる時点で物騒なんスけどね……。まぁ、分かったっス。そんで? オレ達には何をして欲しいんスか?」


  セルイの質問に、シーニーが言う。


「出来れば交渉して頂きたいんですの。ハンナ教団と」


「オレ達を囮に使うと?」


  セルイの言葉に、


「どう受け取って頂いても構いませんわ。とにかく、明日の夜十時に、中央部のセントリリア教会に来てくださいまし。そこが、決戦の地ですわ」


「分かったっス。詩音、レオン。二人ともいいっスね?」


  セルイの有無を言わせない威圧感と言葉に、二人ともただ頷くだけだった。


「それじゃ解散でいいっスよね?」


「ええ、おかえり頂いて構いませんわ」


  それを聞くと詩音を再び抱え、レオンを連れて飛び立って行った。


****


「うぅぅぅっ。やはり飛ぶのはもう嫌だ」


  家に着いた途端開口一番にそう言うと、シノンは崩れ落ちるようにして、膝をついた。


「……まぁ、今回ばかりは悪かったっスよ」


  首を振り詩音は立ち上がると、


「あの女の依頼を受けると言う事は、ハンナ教団と対立すると言う事だろう? 私はきな臭く感じるのだが!? それに……」


  詩音はそう言い、セルイと向かい合う。


「……父上と対立する事に抵抗がある。正直に言えばだが。だが、それ以上に、ぞうきいしょく? されるために呼ばれた事こそが納得行かない! だから! ケリを付けたい!」


  詩音のまっすぐな目を見て、セルイが言う。


「わかってるっスよ! 最後まで付き合うって言ったっしょ?」


  そう言って詩音の頭を撫でる。


「……私は子供じゃない」


  そう言いながら、セルイの手を振り払う詩音。その光景を見ていたレオンが口を開く。


「お二人の世界中に恐縮なのですが。なぜ、シーニー様もそれからハンナ教団? の皆様も、セルイ様と詩音お嬢様が一緒に行動している事を知っているのでしょう? ハンナ教団に至っては、確か剣? で判別してきたのでしょう?」


  レオンの疑問に、セルイも頭をかきながら言う。


「そこが謎なんスよね……。オレと詩音が出会ったのは偶然っス。その後、剣コレクターのおっさんとこまで行って、そこで詩音の親父さんの剣があって……。うーん確かに出来すぎっスね」


  詩音も反応する。


「まるで何か、見えない糸で繋がれているようだな……」


  悩む三人。そうしていると、どこからか蜘蛛が這ってきた。

  それをみた瞬間、セルイの目付きが変わり、その蜘蛛を叩き潰す。


「!? 突然どうしたと言うのだ!?」


「コレっスよ! コレ! 良く見るっス!!」


  潰された蜘蛛を良く見てみると、それは機械で出来ていた。


「なんか妙な蜘蛛だな?」


「この世界の技術で造られた、人工の蜘蛛っスよ! コイツがオレ達の情報を流してたっス!!」


  セルイの言葉に詩音が言う。


「こんな小さな蜘蛛が人為的に造られるのか!? なんという世界なんだ!!」


「今はこんな時代ですか。感慨深いですねー」


 二人の反応に苦笑いしながらセルイが言う。


「まだ時間はあるっス。この蜘蛛を作ったヤツを探すっスよ! このまま放置していたらやばい気がするんで」


 セルイの言葉に詩音が首を傾げ、


「だがどうやって探すのだ? 壊してしまったぞ?」


「大丈夫っス! 力加減したから……ん! この通り、データの送信機自体は無事っス! これを……逆探知してっと」


  荷物を漁りながら、送信機に機械をくっつけていく。

  それを邪魔してはならないと、詩音とレオンは見守る事にした。二人は無言で、壁際に立つ。

 しばらくして、セルイが二人に声をかける。


「逆探知成功っス! 二人とも、犯人の元へ行くっスよ!」

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― 新着の感想 ―
[一言] 変なところでテンション上げるレオン……やっぱり好き(*´艸`) しかし、機械の蜘蛛が情報を流していたとは……。 あっさり逆探知したセルイ、流石ですね! 一体どこへ辿り着くのか……!
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